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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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【ぷりかる】出会いこそが願い?

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「……この声」
 日奈々は聞いた事のある声と足音に少しほっとし、振り向いた。

「で、何してるんだ」
「……あの、石を買いにお店に行ったグィネヴィアちゃんが、行方不明になっちゃって」
 日奈々はゆっくりとシリウスに答えた。

「行方不明!?」
「詳しい話をお願いします」
 まさか事件に遭遇するとは思っていなかったシリウスは思わず声を上げ、リーブラは詳細を求めた。
「……実は」
 日奈々は速やかに事情を全て話した。

「……そういう事かそれでグィネヴィアを捜していると」
 話を聞き終わったシリウスは納得し、勇気を振り絞って頑張っている日奈々を見た。
「……聞き込みが、一番だと分かっているんだけど」
 日奈々は小さめの声で捜索が上手く行っていない事を洩らした。

 もうシリウスとリーブラのこれからの行動はもう決まっている。
「グィネヴィアは後輩にあたるわけだし、今後縁がないとも限らない。オレも手伝うぜ」
 シリウスはニカッと笑いながら協力を申し出た。事情を知り、困っているのを見たら手伝わない訳にはいかない。
「仲良くするには良い機会ですし」
 リーブラも笑顔で言った。

「……ありがとうですぅ」
 日奈々は二人の協力に感謝をした。きっと自分一人ではなかなか聞き込みを出来なくてグィネヴィア捜索も進まなかっただろうから。
「まずは……」
 シリウスは魔法携帯【SIRIUSγ】でグィネヴィアの携帯にかけてみるが、コール音ばかり。
「……やっぱり、でねぇよな」
 シリウスの予想通りの展開だった。
「地道に聞き込みしかありませんわ」
 リーブラはグィネヴィアの声が聞けなかった事に危機感を感じていた。もしかしたら、出られない状況なのではないかと。
 三人は協力してグィネヴィア捜索に当たり、有力な情報を元にとある場所に向かった。

 亡き職人の店、前。

「……あれは」
 舞花は先客を発見した。
「やはりここでしょうか?」
 弾と宵一に訊ねた。
「……調べる価値はある」
 と宵一。舞花の情報を元に『捜索』を持つ宵一も探し場所にここを選んでいた。
「……グィネヴィアさんを連れているのが亡くなったこの店の主とそっくりと聞いて確かめようと思って」
 弾も舞花に答えた。相手は女性だが自分より年下なので何とか緊張せずに話せた模様。弾はキーアの情報からドアを開けた男性が犯人だろうと考え、捜索していた時に犯人の姿を知り、職人の店を調べる必要があるとここに来たのだ。
「……そうですか。様子はどうですか?」
 舞花はうなずき、状況を確認した。
「営業をしていないためか寂れている。これから店内を確認するところだ」
 宵一は、看板も無く、少し寂れ始めている店を見ながら言った。主がいないためか余計にそう思う。
「はい。慎重に行きましょう」
 舞花はこくりとうなずき、何が待っているか分からない店へと三人は突入した。

 突入した三人はどこからか聞こえる話し声を追ってすぐに目的の部屋に辿り着いた。

 目的の部屋前。

 三人は辿り着いてもすぐに踏み込む事はしない。何が待っているか分からないからだ。
 ただ、漏れる音から危機が迫っている感じではない事は確か。
「……男性の声と女性の声がするな」
 宵一はドアに耳を当て室内から聞こえる声を確認。
「と言う事はここにグィネヴィアさんがいるという事だね」
 弾は女性の声の正体を予想。後はドアを開けて確認するだけ。
「……連絡しておきますね」
 『根回し』で連絡のやり取りが出来るようにしている舞花は他の捜索者に直接連絡を入れた。この先にいるのはグィネヴィアと誘拐犯の可能性が高い。なるべく早く援軍に来て貰わなければならないためだ。
 連絡を終えてから三人は突入した。

 亡き職人の店、前。

「……職人とそっくりの青年と聞いて辿りついたのが」
 麗はどんどん色褪せていくだろう店を見ていた。『貴賓への対応』を持つアグラヴェインの丁寧な聞き込みと舞花の得た目撃情報からここに辿り着いたのだ。
「ここですね。石専門店から消えたグィネヴィア様の目撃証言を辿った先が再び石専門店とは」
 アグラヴェインは神妙な感じで店を見ていた。
「そうですわね。早く救い出さなければなりませんわ」
 麗は表情だけではなく声にも力を入れた。

 早速、突入しようとした時、
「……あの、麗ちゃんもこのお店に着いたんだねぇ」
 聞き込みと情報で辿り着いた日奈々が麗に話しかけた。
「ん? あぁ、あなた達」
 声をかけられた麗は急いで背後を振り返り、快く三人を迎えた。
「手に入れた情報を統合した結果、ここを調査する必要を感じて来てみたのですわ」
 リーブラが代表してここに辿り着いた経緯を簡単に話した。

 その時、シリウスに連絡が入った。
「……連絡か。突入するのか。オレ達もちょうど店前だ。すぐに行く」
 相手はドア前にいる舞花からだった。話はすぐに終わった。
「……今、この店に舞花と宵一、弾の三人が突入している。しかもここで正解だ」
 シリウスは簡単に言った。もう時間がない。自分達も早く向かわなければならない。何が起こるのか分からないのだから。

「それなら早く行きましょう!」
 麗は真っ先に歩き出した。その後ろをアグラヴェインが追った。
「オレ達も行くぞ」
 シリウスは気を引き締め、店への突入を決めた。
「……無事ならいいのですが」
「……グィネヴィアちゃん、待っててね」
 リーブラ、日奈々はそれぞれの心配を抱え、シリウスに続いた。

 シリウス達と日奈々が突入した後、
「……ここですね。もう、突入しているみたいですから急がなければ」
 加夜とローザマリアは聞き込みと他の捜索者の情報から辿り着く事が出来た。
 途中、舞花からの突入の連絡も受けたのだ。
「早く行こう。グィネヴィア、騙されやすいから。他の人はいるだろうけど、何が起こるか分からないし」
 ローザマリアは気を引き締めながら加夜に言った。
「そうですね」
 加夜はうなずき、気を引き締めた。
 二人は店へ突入した。