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リアクション
第二幕:消えた野盗
祭りで賑わう街の雑踏に倣うように歩く一組の男女がいた。
クエスティーナ・アリア(くえすてぃーな・ありあ)とサイアス・アマルナート(さいあす・あまるなーと)の二人だ。
彼女たちは久瀬から得た情報や宿屋などの宿泊施設での聞き込みから野盗の軌跡を追っていた。
「十数名もの人が数日滞在してるなら食料は必ず必要なはずです」
「そうだな。外で見つからない以上、潜伏している可能性は高い。だとすればクエスの言うように食料は死活問題だ」
ですよね、と自分の考えが正しいことに自信が持てたのかクエスティーナは笑顔になる。このあたりサイアスはクエスティーナのパートナーとしてとても思慮深く感じられる。事実そうなのだろう。サイアスはクエスティーナを補佐するために事前に警備担当の者たちから話を聞いていた。だからこそ野盗は街の中に潜伏しているという考えに賛同しているのだ。
「だから脱走の手引きをした人が食糧とかも大量に購入してると思ったのですが……成果は芳しくありませんね」
「久瀬の話に出てきたライアーという観光客のことも気になるが情報が足りなすぎるな。これだけ聞きまわって不審人物の一人もいないってのはどういうことだ」
行き詰まり、という言葉が該当する状態だ。
二人の努力はいまのところ形になってはいなかった。
「一休みましょうか」
クエスは噴水広場にあるベンチに腰かけた。
サイアスは近くの露店で飲み物を買ってくるとクエスに渡した。
「この街に大勢の野盗さんが……隠れていらっしゃるのですね」
クエスティーナは祭りで賑わう街並みと目の前を行き交う人々を眺めながら呟いた。
しばらく休んでいると同じように街で調査をしていた夜刀神 甚五郎(やとがみ・じんごろう)が姿を見せた。彼の近くには草薙 羽純(くさなぎ・はすみ)とホリイ・パワーズ(ほりい・ぱわーず)、ブリジット・コイル(ぶりじっと・こいる)の三人の姿もあった。
「お久しぶりですね」
「うん? ああ、おぬしらか」
クエスティーナの挨拶に夜刀神は険しい顔つきで応えた。
サイアスが問う。
「甚五郎も野盗の調査に駆り出されたのか?」
「そうだ。目撃情報がないってことは人を襲ってないってことだろう。逃げること優先で隠れてるんだろうが、完全になりを潜めることは出来ない。人間、生物である以上食事やらなんやら、必ずすることがあるからな」
それで、と続く言葉はクエスティーナによって紡がれた。
「市場とかで調べても足取りがさっぱり掴めません」
「そうだ……」
さきほどの険しい顔つきは成果がでなかったからに違いなかった。
「私たちも夜刀神さんと同じ考えて調査していたのですが――」
続けるクエスの言葉は来訪者によって遮られた。
葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)とコルセア・レキシントン(こるせあ・れきしんとん)の二人である。彼女たちも独自に調査していたのだろう。その手には手帳が握られていた。葛城はクエスたちに近づくと開口一番言い放った。
「情報共有いたしましょう!」
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