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学生たちの休日10

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学生たちの休日10
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    ★    ★    ★
 
「おや、今日はクリスマスデート……か?」
 いそいそと出かける準備をしているムハリーリヤ・スミェールチ(むはりーりや・すみぇーるち)を見つけて、御空 天泣(みそら・てんきゅう)が声をかけました。
「うん、お友達の男の子から誘われちゃったー。ごはん食べて、それから予約してあるホテルに行って夜景見て止まるんだってー」
 無邪気に、ムハリーリヤ・スミェールチが答えます。
「ちょっとまって、それはダメ、ダメだよ!」
 あわててラヴィーナ・スミェールチ(らびーな・すみぇーるち)がムハリーリヤ・スミェールチを止めます。どう考えても、そのシチュエーションは危険すぎます。
「ははは、大胆な彼氏……だな。いったい、いつからつきあってたんだ?」
 さすがに、プライベートのことまでいちいち口を出しすぎるのもと思って、御空天泣が一応訊ねます。
「うん、昨日ネットで知り合ったのー。顔見るの初めてー。楽しみだなー」
 あっけらかんとムハリーリヤ・スミェールチが答えます。即座に、男たち二人が顔を見合わせました。
「今日は、家でクリスマス会があるんだよ」
「ああ、そうそう、クリスマス……だったな」
 とっさに言いだしたラヴィーナ・スミェールチに、御空天泣が口裏を合わせます。
「というわけで、ムハも今日はここにいないといけないんだよ」
「えーっ、そうなのー? 行っちゃダメー?」
「ダメ!」
 まだ行きたそうなムハリーリヤ・スミェールチに、男たち二人が口を揃えて言いました。
「じゃ、行かなーい。それで、みんなにプレゼント用意するー」
 あっさりと、ムハリーリヤ・スミェールチが二人に従いました。思いっきり素直です。素直すぎて、もの凄く危ないですが。
 そういうことになりましたので、御空天泣とラヴィーナ・スミェールチが、あわててクリスマス会の用意をします。
 御空天泣がムハリーリヤ・スミェールチを手伝わせて部屋の飾りつけをする間に、ラヴィーナ・スミェールチが急いで食べ物やプレゼントを買いに行きました。
 なんだかんだで、即席のクリスマスパーティーの支度ができあがります。ムハリーリヤ・スミェールチの方も、いかがわしいデートの予定などもうすっかりと忘れて、凄く楽しそうです。
「ただいまー。ケーキとかターキーとか買ってきたよー」
 荷物をかかえてラヴィーナ・スミェールチも帰ってきました。
「かんぱーい」
 楽しく騒ぎながら、知らない人にはついていかないようにと、ラヴィーナ・スミェールチがこんこんとムハリーリヤ・スミェールチに語りました。けれども、肝心のムハリーリヤ・スミェールチの方は、ターキーと格闘することの方が大事のようです。
「それじゃ、お待ちかねのプレゼント交換会だよ」
 綺麗に梱包された箱を二つ持ち出してラヴィーナ・スミェールチが言いました。それに合わせて、御空天泣とムハリーリヤ・スミェールチもそれぞれプレゼントを一つ取り出します。
「ちょっと待ってよ。なんで二人とも一つしかないんだよ。足りないじゃないか」
「えーっと……。仕方ない……二つに分けるか」
 何やらごそごそと、御空天泣がプレゼントの入っている茶封筒に中身を、もう一つの茶封筒に分けました。
「うーんっと、ちょっと待ってて」
 何やら、部屋の外に行って、ムハリーリヤ・スミェールチもごそごそとプレゼントを増やしているようです。
「それじゃ、今度こそ、プレゼントこーかんだよ」
 ラヴィーナ・スミェールチが仕切り直しました。
「天ちゃんにはパソコン用のケーブル巻き取り機。これで、パソコンの裏に這いずり回っているケーブルを整理してよね。ムハにはポケットカメラね。これで変なコトした奴を写真に撮れば、後でボクたちが闇に葬るから」
 ラヴィーナ・スミェールチが、二人にプレゼントを手渡して言いました。その代わりに、ラヴィーナ・スミェールチがもらったものと言えば……。
「こ、これは……。ゴミ?」
「いや、ゴミじゃない。再利用……だ」
 茶封筒の中から出て来たUSBメモリを見て唖然とするラヴィーナ・スミェールチに、御空天泣が言いました。しかも、USB1です。はたして、一ギガあるのでしょうか……。
「それで、こっちは……なぜに女の子の服……」
 ムハリーリヤ・スミェールチからもらったプレゼントを開いて、ラヴィーナ・スミェールチが絶句します。
 中に入っていたのはフリフリのドレスでした。
「リーリちゃんからは、以前みつぐ君からもらったお洋服でーす。さあ、ラヴィちゃん、着てみよ、みよっ?」
「ちょ、ちょっと……」
 体格の差でしょうか、三人の中で一番小柄なラヴィーナ・スミェールチが、あっけなくムハリーリヤ・スミェールチに押し倒されて脱がされていきます。なんだか、ムハリーリヤ・スミェールチはもの凄く楽しそうです。
「天ちゃん、助け……て……」
 必至にラヴィーナ・スミェールチが御空天泣に助けを求めますが、そっちもそれどころではないようです。
「これは……」
 スーパー袋の中から出て来たのはパンツでした。まだほんのり暖かいです。
「洗濯機に入れておこう」
 端っこをつまんでバスルームへと行きますと、御空天泣は洗濯機の中へムハリーリヤ・スミェールチの脱ぎたてパンツをあっさりと放り込みました。
 戻ってくると、部屋には女の子が二人いました。
 すっかり女装させられて、ラヴィーナ・スミェールチは涙目です。さっそく、ムハリーリヤ・スミェールチが写真を撮りまくっています。
「後で、写真集を発売して儲けますー」
 嬉しそうにムハリーリヤ・スミェールチが言いました。