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四枚の贋作

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四枚の贋作

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エピローグ

 これにて一件落着。
 アゾートが、みんなを見ながら言った。
「……ありがとう。ボクを絵の世界から出してくれて」
「なあに。このななな様にかかれば、どんな事件だってお安いご用だよ!」
 とくに目立った活躍をしていないなななが、自信たっぷりに胸を張った。


 四枚の名画が、美術館に到着した。
 飾られていくそれらの絵は、いちだんと存在感を放っている。
「どうですか、コードさん。やはり本物は素晴らしいでしょう」
「確かにな」
 堀河一寿の問いに、コードが感慨深く答えた。
「特にこれが美しい。心が洗われるようだ……」
 目を細めながら彼が指さしたのは、『ヴィーナスの誕生』だった。

「ふふっ。これなら、なななだって負けてないよ!」
 なななはそう言って、ヴィーナスのポーズをしてみせる。
「あっ。楽しそう。みんなもやろうよ!」
 すかさず、ルカルカも同じポーズをとった。

「そういうことなら任せといて!」
「あたしも、ヴィーナスになりきるのはやぶさかじゃないわ」
 素肌を魅せつけることには定評のある、レオーナ・ニムラヴスと、セレンフィリティ・シャーレットのふたりが、ビキニ姿になってつづいた。

「わ、私は……そういうのはちょっと……」
「いいじゃん、やりなよー。楽しそうだよ!」
 相棒のマーガレットに促されて、リース・エンデルフィアも、おずおずとヴィーナスの仕種を真似た。

「ほら。弾もやってきなさいよ」
「えぇ! なんで僕なの!?」
 エイカに背中を押されて、赤面する弾がヴィーナスの形態模写をした。

「私も女神になってみるのコトね!」
 ロレンツォも、悠然とヴィーナスのポーズをとった。

「さすがに、俺は遠慮させてもらうよ」
 うまく逃げ出したエースが、ちゃっかりと給湯室で紅茶を淹れていた。同じように抜けだしていた相棒のメシエと、一寿・ヴォルフラムのコンビへお茶をふるまう。

「あ、あれ? オレはやらなきゃいけない流れなのか?」
 逃げ遅れたヴァイスが、おろおろしながら言う。ナノマシン化したアルバの、ケタケタという笑い声が聞こえた。
「いや。別にいいんだけどさ。その……」
 ヴァイスは、アゾートに向き直って言った。
「アゾートさんも、いっしょにどうかな?」


 どこか気難しいところのある彼女だが。
 この状況で断るほど、非情ではなかった。
「……いいよ」
 アゾートはこくんとうなずくと、群れのなかへ入っていく。
 
 そしてみんなと一緒に、美術史を代表する美女のひとり、ヴィーナスと同じポーズをとった。

担当マスターより

▼担当マスター

水琴桜花

▼マスターコメント

 お読み頂きありがとうございます。
 絵の中に閉じ込められたアゾートでしたが、皆様のアクションによって、無事に救出することができました。感謝です。

 また、犯人も検挙することができました。とはいえ、リアクションにある通り、彼は悪気があってやったわけではないのです。どうか許していただけると嬉しいです。

 ちなみに。
 みんなでとったヴィーナスのポーズは、端っこで紅茶を嗜むエースさんたちを含めて、館長が記念写真に収め、入口に堂々と飾るそうです。


 それでは、またお会いできる日を楽しみにしています!