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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

リアクション

 同日 某時刻 シャンバラ教導団 装輪装甲通信車内
 
 裏椿 理王(うらつばき・りおう)桜塚 屍鬼乃(さくらづか・しきの)は今まで集めた情報を精査していた。
 情報をデータベース化し、サイバーテロに備え教導団のデータ室ではなく別の場所の「装輪装甲通信車」内に教導団のシステムとは切り離したサーバーを立てた二人。
 二人はそこで情報のやりとりを誘導し行っていた。
 特に敵パイロットとの交信記録に混ざっていた音楽に着目し、音を拾い出した理王は、その音から他の音声や戦闘時の音を除去し、乃伊豆キャンセリングもかける。
 それらを徹底したことで、拾いだされた音はどんな音楽なのかがはっきりわかるまでにはなった。
 更に、開示する情報に関連のある人物名として『一文字理沙』とそれに関するデータとして音楽も組み込み、仲間へと配信する理王。
 その作業を進めながら、理王は今までのイコン戦闘における相手パイロットとの通信に混ざっていた音楽との比較を試みた。
「やっぱりな。ビンゴだ――」
 二つのサウンドファイルの波形が表示されるモニターを見ながら理王は頷いた。
「どうやら、あのパイロットが流していた曲は『一文字理沙』の曲だったらしい」
 すると屍鬼乃も理王の端末に一枚の写真を送る。
「こっちでも進展があったよ。どうやら、この人が岡崎軍曹みたいだ」
 送られてきた写真を理王が見ると、そこには質実剛健そうな武人風の男が写っている。
「岡崎軍曹に関する情報ならこちらでも集まりつつある」
 今度は逆に理王が情報を屍鬼乃の端末に送る。
 今まで行われてきた戦闘のシーンと、岡崎軍曹の流派を比較する二人。
 やがて二人はある結論に行き着く。
「やはり似ている気がする」
 屍鬼乃が言うと、それに理王も頷く。
「そうだな。オレもそう思う。もう少し深く突っ込んで洗ってみよう」
 それからしばらくして、理王は一つの情報を手に入れた。
「なんてことだ……こいつは――!」
「どうした?」
 驚きに息を呑む理王に屍鬼乃が問いかける。
 すると理王は再び屍鬼乃の端末に情報を送り、口を開く。
「岡崎軍曹は新たな剣術流派を興そうとしていたらしい。そして、その流派というのが『最強の流派となることを目指し、技を磨き続ける』ことを理念とする流派で、唯一絶対の最強ゆえに、多の中から特定する為の方法――即ち、名前を必要としない流派。彼は、そう言っていたらしい」