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【第四話】海と火砲と機動兵器

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【第四話】海と火砲と機動兵器

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 同時刻 迅竜 ブリッジ

 戦闘終了後。
 ルカルカに向けてイーリャ・アカーシ(いーりゃ・あかーし)は言った。
「……やっぱりイコン調査からの情報は限界ね。白竜大尉がテロ組織の情報について情報開示をしてくれるそうだし、一度本部までいってくるわ。
ルカルカ大尉、来てすぐですが少し部屋をお願いします」
「ええ。大丈夫です。部屋はそのままにしておきますので、気を付けていってらしてください」
 ルカルカが言い終えると、ブリッジに高天原 鈿女(たかまがはら・うずめ)が入って来る。
「アカーシ博士、あなたに渡したいものが」
 そう言う鈿女はパイロットと思しき三人を連れていた。
 一人は金髪の女性――リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)
 そして、残る二人は彼女の仲間であるシルフィスティ・ロスヴァイセ(しるふぃすてぃ・ろすう゛ぁいせ)またたび 明日風(またたび・あすか)だ。
 実は彼女達は四人のチームなのだが、リカインの頭に乗ったクラゲ型のギフトであるシーサイド ムーン(しーさいど・むーん)が金髪のウィッグにしか見えない為、三人に見えているのだ。
「実はこの人、フィス姉さんが凍結能力を応用して私のジェファルコンにひっつくって言い出して……それを無理矢理実行してしまったんです」
 リカインが言うと、シルフィスティも頷く。
「通常のイコンの索敵機能では生身の感知は出来なかったはず。向こうが油断していればあるいは……と思ってね、自分の五感で実際に確かめてやろうと思ったのよ」
 シルフィスティが言うと、リカインが後を引き継ぐ。
「それで、bisタイプが撤退していく時に後を追ったんです。そして、フィス姉さんが機体から消失点に向かって跳んだんですが……」
 随分と無茶をするシルフィスティに驚くイーリャに向けて、リカインは言った。
「敵の何かがあればそのままひっついて潜入しようとしようと思ったそうですが、『何か見えない壁のようなもの』に弾かれて、結局、わからなかったそうです」
 先程とはまた違った種類の驚きをみせるイーリャ。
 そんな彼女に鈿女は一枚のディスクを差し出す。
「彼女達の機体が収集したデータをサンプリングさせてもらいました。持っていってください。私の方でも分析を進めますが、アカーシ博士ならきっと役に立てて頂けるかと。それと、新たに現れた漆黒の機体について収集できたデータも入っています」
「ありがとうございます。投入された新たな機体……その詳細な分析はもちろん、またコードネームを考えないといけませんね。では――」
 敬礼するルカルカたちに答礼するとイーリャはブリッジを後にする。
 格納庫に向かったイーリャは、そこに置かれているフィーニクス・NX/Fに搭乗する。
 もう一つのシートには既にジヴァ・アカーシ(じう゛ぁ・あかーし)が搭乗しており、起動準備を既に整え終えていた。
「来るなりにトンボ返りね、もう……ま、NXならひとっ飛びよ」
 その一言とともにジヴァはペダルを踏み込み、機体を発進させる。
 カタパルトから飛び出す際、ジヴァは迅竜に向けて一言呟いた。
「すぐ戻ってくるわ!」
 機体も巡航状態に入った頃、イーリャは口を開いた。
「まずこちらから提出する情報は解析結果の全て……敵機が改修された範囲では一般的な部品の組み合わせで作られていること。それと敵機と○竜系のパーツにあった謎の紋章。そして葦原で確認された撤退時のワープのような動き。この三点ね」
 するとジヴァも口を開く。
「……で、なんとなくイーリャが言いたいことはわかる気がするけど。未来じゃないけど、フィーニクスみたいに異世界・平衡世界の技術が関わってるんじゃないかっていいたいんでしょ?」
 そしてジヴァは少し考えた後に付け加えた。
「あたしもちょっと気になった点はあるのよね。こないだの戦闘……ストークとフリューゲルbisの戦いを見るに、フリューゲル一般機は大体ストークと互角よね」
「ええ。それが?」
「敵さんの声、ストークと初見にしては随分因縁ありげだったそうじゃない? この辺もなーんかクサい気がするのよね〜」