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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

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【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

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 謎のテロップはさて置き、祭りが始まってからかなりの時間が経った。
 にも関わらず祭りの勢いが衰える気配はまったくない。
「さあ次は解体ショーレポート! お前を解体してやろーかー!」
「今日は終始絶好調ね」
 セレンの勢いも衰える気配がない。無尽蔵の体力を思うがままにふるい、次は解体ショーへ。
「さーよってらっしゃいみてらっしゃい! 本日開催の解体ショー!」
「新鮮魚にゃ酒が必要! 一度飲んだら病み付きになるこの日本酒を提供するぜ!」
「魚と酒とあなたと私! ここによらなきゃ損も損!」
「……絶好調どころか振り切れてたのね。間髪いれず宣伝側に回るとは驚きを隠せないわ」
 紫月 唯斗(しづき・ゆいと)朝霧 垂(あさぎり・しづり)が合同で行う解体ショー。
 いや、料理、酒、憩いの場、これだけ揃ったのだ。簡易型料亭とでも言うべきか。
「人だかりは上々だな。よしっ! お前ら、気合入れて捌いてけ!」
 「おうっ!」と鍛冶職人たちが野太い声で返事をする。
 そして鮮やかな手捌きでみるみるうちにマグロを捌いていく。
「すごいすごい! カメラさん、ちゃんと取ってるー?」
「見事なものね。ところで捌いているのは鍛冶職人のようだけど、そんなことまでできるのね」
「鍛冶職人たるもの、魚の一匹や二匹捌けないでどうする!」
 その理由は果たして理由になりえるだろうかと疑問なところもあるが、鍛冶職人になるには魚も捌けないとだめなようである。
「あんたら、レポーターか? ならうちの料理を食べてきな! エクス!」
「すでにやっておる! 酒に合う料理ならまかせておけ! ライゼ、そっちも頼むぞ!」
「はーい! お刺身はエクスさんに任せて、僕は焼いてみようかな」
 調理場で威勢良く料理を行っているエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)ライゼ・エンブ(らいぜ・えんぶ)
「お二人さんは酒は飲めるのか?」
「もちろんばっちこいよ!」
「二人とも飲める年齢よ」
「よっしゃ! ならこいつ、【時駆け】の出番だ!」
 どんっ! と一升瓶がセレンたちの前に差し出される。ラベルには【時駆け】と記載されている。
「んじゃ告ぐからちょっとまってな。トクトクトクっと、はいよ!」

「見た目は日本酒みたいだけど、それだけじゃないような……」
「なにこれおいしーっ!」
「……少しは香りなんかも楽しんでみたら?」
「はっはっは! 酒は楽しく美味しく飲めたらそれでいいんだよ! ほら、飲んでみなって」
 ツッコミもままならないまま、セレアナも飲んでみる。
「……不思議ね。ベースは日本酒、のようだけど後に響く感じはない。サワーやビールのような飲みやすさもあれば、最後にウイスキーの重厚な香りが喉奥で楽しめるような」
「【時駆け】のコンセプトは全ての酒のいい所取りした最高の酒! なんだがまだまだその息には達していないんだよ」
「そうね。少しだけ喧嘩しているような味な気もしたわ」
「ぷはー! もう一杯!」
「はっはっは、そっちの方は気に入ってくれたみたいだな!」
「酒だけじゃないぞ! もうすぐ料理も到着だ!」
 唯斗が言い示したとおりのタイミングで料理が運ばれてくる。
 シンプルなお刺身と、マグロ焼き。これは、酒が進むラインナップ。……じゅるり。
「おつまみね! いただきまーす!」
「いただくわ」
「……うーん、新鮮でほっぺた蕩けちゃう。いいえ、むしろ蕩けない方が嘘ね!」
「焼いた方も硬くなりすぎない絶妙な焼き加減ね」
 二人の感想を調理場で聞いていたエクスとライゼに更に気合が入る。
「このガヤガヤした感じの中での料理。……昔を思い出すのぅ」
「そうなんだ。……今ってさ、すっごく楽しいよね?」
「そうでなければ調理などしておるまいて」
「ふふっそうだね」
「おぬしのその料理の腕も大した者だ。うちの連中にも見習ってほしいくらいにのう」
「エクスさんがお上手だから、安心してるんじゃないかな?」
「そうか。なら期待には応えんとな。そらお前ら! どんどん注文をとってくるが良い! このエクスが全て応えて見せようぞ!」
「僕も和洋中なんでもいけるからねー!」
 その二人の気合に応えるべく、注文を取っているもの達の速度が上昇。
 一声かけるだけでスピードアップさせるとは、恐ろしいスキルである。

「ふっふっふ、和風と言えば日本。日本といえばわっち! とどのつまり、わっちに和風料理はまかせろ! 醤油どばー!」
「こ、こらやめんか! それではマグロに醤油をつけてるのではなく、醤油の中にマグロがある状態ではないか!」
「日本と言えば醤油でありんす! とりあえず付けとけば大丈夫大丈夫!」
 偏りマックスな考え方をもってしてそれを押し通すはハイナ・ウィルソン(はいな・うぃるそん)
「あっちで座ってろと唯斗が言っていただろう!」
「だって酒も肴ももうないのよ? だったら動くしかないじゃない!」
「ゆ、唯斗さーん!」
 収集がつかなくなると踏んだライゼが唯斗を呼び寄せる。
 事に気付いた唯斗もダッシュが駆けつけた。
「ハイナ、もう酒も魚もなくなったのか?」
「そうでありんす。それに一人では寂しいのよ」
「それもそうか。そしたら、おーい垂!」
「ん、なんだー!」
「こっちでハイナと一緒に飲んでてくれ! 【時駆け】も一緒になー!」
 その呼びかけに応えた垂も戻ってくる。が、その顔が若干赤い。
「ん、お前飲んでたのか?」
「あの二人が美味しそうに飲むもんでついついな。それじゃハイナ、唯斗、飲むかー!」
「三人で飲むのなら楽しいでありんすな!」
「おう、そうだな! ……ん、俺も含まれている? っておい二人とも! 引っ張るな! 引きずるな! 俺を拉致るなー!」
 残響を残しながら二人に引きずられていく唯斗。頑張って二人を相手してほしい。
「あら、唯斗さんの様子をみにきたのですがお取り込み中のようですね。また後にしましょうか」
「そうですね? 次はどうしましょう」
「ルカルカさんのところにお邪魔しましょうか」
「了解です。それじゃ僕は先に最後の準備をしてきますね」
「お願いします」
 ミルキーと係り者が唯斗に挨拶に来ていたが、それに唯斗が気付けるはずもなかった。
 ちなみに唯斗のもう一人のパートナーのリーズ・クオルヴェル(りーず・くおるう゛ぇる)は今どうしてるかというと。