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リアクション
「ギルドの連絡によれば、この辺りで目撃情報があったようだが……」
「見えたりませんでふね」
「みゅー……」
【スレイプニル】に跨って外の警備に当たっていたのは十文字 宵一(じゅうもんじ・よいいち)、リイム・クローバー(りいむ・くろーばー)、コアトー・アリティーヌ(こあとー・ありてぃーぬ)。
彼らはギルドを通して外の警備にあたっていた。
そのギルドによれば小型イレイザー・スポーンの姿が若干数確認されたそうだ。
「現状こちらに向ってくる気配はないと言っていたが、やつらは何をするかわからんからな。賞金もかかっているし、一石二鳥だ」
「あっ、あそこに影がありまふよ」
「みゅー!」
暗くなりつつある荒野に暗い影が映りこんでいた。
小型イレイザー・スポーンだ。少数ではあるが街に向えば混乱は避けられない。
何よりも皆の思い出に一点の曇りができてしまう。
「賞金ついでだ。悪く思うなよ!」
【スレイプニル】でイレイザー・スポーンに急行する。
風を切る音を聞きつけたイレイザー・スポーンたちが宵一たちに気付く。
「リイム、コアトー! 固まって行動していない奴らを先に!」
「わかりましたでふ!」
「わかったよー!」
背にリイムを乗せたコアトーが飛び出し向っていく。
「狙いを付けて、引き付けて、ギリギリで、撃ちまふ!」
『スナイプ』を使用して限界まで集中力を高めてから『クロス・ザ・エーリヴァーガル』で持って敵を攻撃。
空中からにも関わらず狙いはそれずにイレイザー・スポーンを瞬く間に爆散させる。
同じ要領で孤立していた敵を倒していく。
「これだけならばヴィサルガ・プラナヴァハを使用するまでもない。一気にカタをつける!」
敵の集団へと一直線で向っていく宵一。その手には【代理人の大剣】が握られていた。
スポーンたちが必死の抵抗として攻撃するも彼には当たらず空を切るだけ。
「斬るってのは、こうやるんだ!」
剣技の極み、鮮烈に、苛烈に相手を斬り伏せる技『ソードプレイ』。
スポーンたちにそれを防ぐ術はない。その体を地に倒れこませることしかできなかった。
「こんなものか。案外あっけなかったな」
「さすが宵一さんでふ!」
「お見事お見事ー!」
「お前らの援護もあったからな。……しかし、周りには何もいなさそうだな。何だったらお前たちだけでも祭りに行ってきてもいいぞ」
宵一たちが現場に駆けつけるまで、一度もイレイザー・スポーンには遭遇しなかった。
また報告のあったここでも予想を遥かに下回る数しかいなかった。
それに警備に当たっているのは宵一たちだけではない。そこから考えるに宵一たちが祭りを楽しんでも全然構わないのだ。
「宵一さんとどうするでふか?」
「俺は……剣を振るうしか芸がない奴だからな。金と何かを守れるならそれに越したことはない」
「なら僕もお付き合いするでふ!」
「ワタシも、ワタシも!」
「そうか。ありがとう、もふもふ」
礼をいいつつ二人を抱きかかえてもふもふし始める。
もっふもふで可愛いから仕方ないのだ。
宵一は可愛い二人をひたすらもふりながら警備を続行するのだった。
♪ピンポンパンポーン
『ご来場の皆様にお知らせいたします。
夜もふけてまいりましたので寒さにお気をつけくださいませ。
さて、もうすぐ【オペラハウス・アヴニール】にて音楽祭が始まります。
料理なども振舞われますので是非お立ち寄りください。
またお祭りの最後に私、ミルキーヘミングウェイからささやかなサプライズをご用意しております。
ですので、最後までお祭りをお楽しみください』
♪ピンポンパンポーン
「ふぅ。貸して頂いてありがとうございました」
「いえ。それよりも最後に何があるのか楽しみですよ」
「ささやかなサプライズですから、そこまでのものはありませんよ。それでは」
ミルキーヘミングウェイがインフォメーションセンターを後にする。
どうやら最後に何か企んでいるようだが……。一体、何をするのだろうか。