イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

リアクション公開中!

【後編】『大開拓祭』 ~開催期間~

リアクション

「みんな、今日はここ『ニルヴァーサル・スタジオ』に遊びに、じゃなくて視察を手伝ってくれてありがとう」
 まだ日は落ちきっていないものの、金などのことも考えて早めに宴会を行うことにした視察団一行。
 その音頭をルカルカがとっていた。
「後は楽しむだけ! ここからはなるたけ無礼講で楽しもう!」
「ルカルカ、宴会を始める前に」
「……ああ! そうだった、ごめんなさい。宴会と一緒に入隊歓迎もやっちゃうね。それじゃキルラス君、どうぞー!」
 呼ばれたキルラスややはぎこちない様子で立ち上がり、自己紹介を始める。

「初めましてー。【鋼鉄の獅子】の新人として今度からご一緒させていただく、キルラス・ケイです。ネタ要員として使ってやってください」
「こんなこと言ってる彼ですが魔弾の狙撃手としての異名も持ち、前衛後衛で活躍できるオールラウンダーだからどんどん援護してもらおうね! それじゃ金団長からも一言どうぞ?」
「む、そうだな。君は特技などはあるか?」
 そう言われたキルラスの脳内では特殊変換が巻き起こる。
(と、特技……。つまりそれって、得意な一発芸はあるのかってことだよな?)
 いや、違うと思う。が、キルラスの考えは止まらない。
「その特技を生かし【鋼鉄の獅子】として、ひいては教導団として……」
「い、一発芸行きます! 日本の一部地域である猫踊りやります!」
 そう言って超感覚で猫耳尻尾生やしながらぴょんぴょん跳ねだした。
「猫の超感覚とは、わかっていますね!」
「ナナは猫が絡むとちょっと熱くなる癖、直しましょうね」
 冷静でないナナと冷静なルースの絡みがまた場をわかす。
「……そのような意味で言ったのではないのだが」
「まあまあ。さっ場も盛り上がったことだしこのまま始めちゃおう! それじゃ団長も一緒に、かんぱーい!」

かんぱーい!

「団長、先ほどのシュミレーターでの助け、お見事でした。お注ぎいたします」
「悪いな」
「金殿は酒も飲めるのか。いやはや、強くないものなどないんだな!」
「おいおいダリル。もう酒がないのかー? 俺が告いでやるよー。それにしても淵将軍と組んで勝てないとは思わなかったぜ、はっは!」
「頭を撫でるな」
「ああ金団長はお酒を飲む姿までかっこいい……」
「いや、うん、どうだろうな。あ、ルカ大尉、お酒注ぎますよ」
「ありがとー」
 目まぐるしく行きかう会話はまだまだ終わらない。

 その一角には長曽禰 広明と月摘 怜奈(るとう・れな)の姿がある。
「わざわざ来ていただいて、ありがとうございます」
「どうってこたぁねーさ」
「そう言えば長曽禰さん、午前はどうされていたんですか?」
「あー仲のいい友人におやっさんて呼ばれて怒ってただけだな」
「あら、面白いご冗談ですね」
「半分本当だけどな」
「お二人とも、おつまみはいかがですか?」
 怜奈のパートナーである杉田 玄白(すぎた・げんぱく)が胃の消化を助けるようなおつまみをもってきて登場した。
「ありがとよ。しっかし、相変わらず日本人まっしぐらな名前だな」
「長曽禰さんもそうだと思いますよ?」
「ふふっ」
 三人がしっぽり話すかたやその横ではどんちゃん騒ぎが行われている。
「いやーそれにしてもさっきのキルラス君の一発芸はよかったよかった。これからもよろしくな!」
「こちらこそよろしくです」
「おい、なななー! どこ行くんだよー!」
「いいからいいからちょっときてってばー!」
 どこもかしこもお祭り騒ぎだがここは一際お祭り騒ぎだ。
「ルカルカ、今日は案内ご苦労だった。もういいぞ」
「そうですか? それじゃお言葉に甘えて……真一郎さーん」
「あ、あの金団長、お酒お注ぎしましょうか?」
「ああ、頼む」
「参謀長もどうぞ」
「ありがとう。だがいいのか? 話の途中だったようだが」
「いいんです。鷹村はこれからルカ大尉とで忙しいようですから」
「なるほど。では代わりと言ってはなんだが私が相手になろう」
「あ、ありがとうございます」
「いやーやっぱりお酒はうまいのー!」
「相変わらずだな。見てるだけで胃がもたれる」
 数名を除いて宴会というメイルシュトロームに巻き込まれまくっている。

「すごい騒ぎです。僕には少しついていけないかも」
「まま、そういわずに楽しもうぜー俺と一緒に!」
「ウォーレンさんも楽しそうですね。そうだ、ついでに苦手だって言ってたお刺身に挑戦しましょう」
「い、いやそれはちょっと……」
「いいからいいから」
「……楽しい記念だ! いっちょ食べてみますかー!」
 そう言ってウォーレンと玄白は二人を置いて刺身へと直行。
 余談にはなるが意外と美味しかったらしい。
「……気を使わせたようね」
「ん?」
「いえ。そういえば、長曽禰さんはお強い方ですか」
「ほどほどじゃねぇか? お前さんはどうなんだ?」
「私は、まぁ……地球に居た頃、鍛えられましたの。お酒に強い女性はお嫌いですか?」
「嫌いってことはないが、泣かれたり絡まれたりするのは嫌かね」
 普段冗談は滅多に言わない怜奈の貴重な冗談が飛び出た。
 宴会とはそういうものだ。
「あの、もしよろしければですが……このあとバーで飲みませんか?」
「別に構わないが、あんまり飲めないぜ? おせっかいな友人に無理はするなって釘刺されてるからな」
「あ、ありがとうございます。ルースさん、ナナさん、もうバーにはいけますか?」
 これまたしっぽり隅っこでちびちび飲みながら談笑していた夫婦に話しかける。
「大丈夫ですよ。お酒の準備もあるから、先に出ようと思ってましたからね」
「ただちょっとだけ準備があるので、でき次第連絡しますよ」
「わかりました」
 そう言ってナナとルースがクリニエールと向う。
「……準備といってもちょっとだけ夫婦で飲むだけですけどね」
「これくらいなら許してくれますよ。でも、二次会も終わったらまた付き合って下さいね?」
「もちろん、オレもナナと話したいですからね」
「あら、ナナは幸せ者ですねっ」
 夫婦愛が止まらない。更に別の場所でも。

「今日はお疲れ様でした」
「真一郎さんも色々フォロー、ありがとう」
「できることをしたまでですよ。さあ、あとはゆっくりしましょう」
「うん! あっでも、寝る時間になったら特別室に案内しないと」
「そうですね。ですので酔いつぶれないくらいに飲みながらゆっくり浸かりましょう」
「そうだね。……えへへ、やっと二人の時間がとれたね。うれしいなぁ」
「俺も嬉しいです。こんなに幸せいいのかって思えるくらい」
「似たもの同士だね」
「はい」
「……」
「……」
 はいカメラさんストーップ! ここからは夫婦タイムなのでお引取りくださーい!
 このままだとミルキーさんにも怒られますよー!

 ……さて、ところ変って宴会所の外をなななとシャウラが並んで歩いていた。
「いきなり走り出すからどうしたのかと思ったぜ」
「なななはちょっとお酒の匂いが苦手なの!」
「あーっぽいぽい」
「……すっごくバカにされたような気がする」
「でもそんなところも含めて俺はなななが好きだからな」
「まったく。でも、そーいうゼーさん、嫌いじゃないよ」
「……うん?」
「だ、だからね。ゼーさんの特別がなななのように、なななの特別がゼーさんなんだよって言ってるんだよ」
「……それって、その」
「……ゼーさんの本気は伝わったから。だから、なななを恋人にしてくれるかな?」
「もちろんだ!」
「うわっ!」
 驚天動地ながらも反射的になななを抱きしめたシャウラ。
「嘘じゃないんだな、夢でもないんだな! ……俺、絶対なななのこと大切にする!」
「そうじゃないと許さないよ」
「そうだ! みんなに言わなきゃ! 早速宴会所に戻って報告しないとな!」
「なななはM76星雲のみんなに報告しなきゃ!」
「行こう、ななな!」
「うん、ゼーさん」
 俺たちの恋物語はまだ、始まったばかりだ!
 こうして各所で大波乱を巻き起こしながらも宴会は続いていく。
 幸せが幸せを呼び大幸せ状態なのだ。
 あ、あと。

※このシナリオにおいて、未成年はノンアルコール飲料を飲んでおります。