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空京警察特殊9課――解禁、機晶合体!――

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リアクション


エメネア

「う……産まれるですよぉ〜〜〜」
「へ!? み、み、身に覚えがないッスよ!?」

 うろたえる良雄の目の前で、エメネアの身体が光に包まれる。
 その光景を偶然に見つけたバズ・ローカスト(ばず・ろーかすと)が、好奇心を全開にして近寄っていた。
(何かのアトラクションか?)
 床にうずくまって発光しているエメネアの様子は明らかに異常だった。呼吸はしているみたいだが、それ以外はピクリとも動かない。気を失っているのだろう。
 周囲の買い物客たちも、不安げな表情で集まってきた。
 良雄が倒れているエメネアを医務室へ連れて行こうと、彼女の身体を起こしたとき、

「な、何ッスかこれ……」

 突然に鞭状の光が数本伸びて、天井を強く殴打した。
 砕けた天井の破片が二人の上に降り注ぐ。

「うわあ、危ないぞ」
「に、逃げろおお」

 集まっていた人たちは、危険を感じて一斉に逃げ始めた。エメネアの周囲が一気に空白地帯となる。
 取り残された良雄とバズは、エメネアの正面から迸る鞭のような光を、呆然と見つめていた。それは宙に向かってうねりを続け、まるで生きているようだった。
(なんだか分からないが面白そうだな、これ)
 そんなことを思いながら、バズはエメネアの背後から近寄った。そして、近くをうねっていた光の鞭へ手を伸ばすと、思いっきりぎゅっと握る。
 瞬間、強烈な力を受けたバズは勢いよく吹き飛ばされて壁に激突した。

「あわわ、大変ッスよ!」
「と、とまらないんです〜!」

 正面から出ていただけの光が、全方向に迸る。
 全身から無数の光の鞭を放出したエメネアが、無差別な破壊を始めた。

■■■

 二十八階は様々な場所の特産品を主としたショップ階層だった。
 試食を堪能し、さあ買いあさるぞ! と意気込んでいた姉ヶ崎 雪(あねがさき・ゆき)の耳に入ってきたのは、まず遠くからの爆発音。続いてコンクリートが抉られるような破砕音だった。

「な、何事でござるか!?」

 一緒にいた坂下 鹿次郎(さかのした・しかじろう)がきょろきょろと見回すと、逃げ惑う人々の波を見つけた。逃げてきた方向から推測して、フロアの丁度対角線上の位置だろう。
 何かが起きているのは分かる。吉兆の是非はともかく、その何かに、鹿次郎はとても興味をひかれた。

「拙者、行かなければならない気がするでござる。そんな気がぷんぷんするでござるよ!」

 鹿次郎はそう叫ぶと、逃げ惑う人々の間を器用に走り出した。
 さりげなく、手にしていた携帯ゲーム機に映る数値をチェックしているのは、きっと気のせいだろう。

「あっ! お待ちなさい!」

 美味しそうに待ち構える商品と涙の別れを果たし、新しい試食品を手にした雪が後を追う。
 憑りつかれたようにすいすいと移動する鹿次郎とは逆に、雪は手にした食べ物を落とさないようにゆっくりと移動していた。
 雪がやっとのことで音の発生源までたどり着くと、

「エメネアさんの愛が痛いでござるぅぅ」
「わわっ、ですわ!」

 正面から見慣れた陣羽織が飛んできたので思わず横へ蹴り飛ばした。

「ひ、酷いでござる……」
「食べ物にぶつかりそうだったのですもの、自業自得ですわ」

 壁に激突した鹿次郎がずるずると床に落ちていく。
 雪は涙声の少年を無視して正面を見た。
 そこに居たのは怪しげな光を放つエメネアと、止めようとする良雄の姿だった。

■■■

 エメネアから迸る光の凶器は、壁や天井、そして床までもを攻撃していた。
 鞭が届く範囲にあるものを見境なく殴り、抉り、破砕する。対峙する少年はなんとか止めようと突撃を試みるが、不規則に動く光に阻まれて、その都度吹き飛ばされていた。

「助けてくださいぃ〜〜! ごめんなさいぃ〜!」

 中心に居る少女は泣きながら謝り、助けを求めている。
 この階層にいる買い物客たちは全員避難したが、このままではビル全体が危険になるだろう。
 そんな時、ティセラたちがビルの前に到着した。