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【第五話】森の中の防衛戦

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【第五話】森の中の防衛戦

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 同日 天御柱学院 某所
 
「興味沸くなー」
 一人呟きながら、笠置 生駒(かさぎ・いこま)はキーボードを叩き続けていた。
 海京にて、生駒は天学サイドから独自に事件の調査を行おうとしていた。
「って……興味本位で首を突っ込んでいいことじゃあ……ないで……しょう……」
 隣からキーボードを叩く音に混じって声がする。
 それに対し、生駒はそちらを振り返りもせずに言った。
「そーいうあんたも酒気帯びでしょーが」
 生駒の言う通り、声の主――シーニー・ポータートル(しーにー・ぽーたーとる)は顔がほのかに赤い。
 その原因を示すかのように、彼女の前にあるデスクは酒瓶が置かれている。
 
 彼女が酒気帯びであることはいつものことと生駒は気にしない。
 ただ、今は彼女がうっかり酒瓶を倒しかねないか、そしてそのせいでキーボードを濡らしかねないかが少し心配だった。
 
「酒気帯びぃ……? ぜんぜん……むぁだ……ずぇんずぇんよっれらい……すぴー……」
 反論しようとするも、シーニーはろれつが回っていない。
 もっとも、反論をすべて終えるより前に寝息を立てて寝入ってしまったが。
 
「……」
 苦笑して溜息を吐くと、生駒はシーニーに上着をかけた。
 それと同時に、モニターに目を向け、彼女の今まで調べていた内容に目を通す。
 
「これは」
 シーニーの座っていた椅子を横に動かす生駒。
 キャスター付きの椅子だったこともあって、シーニーを乗せたままでも椅子はすんなりと動く。
 
 生駒は自分の椅子をシーニーの使っていた端末の前まで移動すると、彼女がしていたデータ閲覧の続きを行う。
 酒気帯びだったにも関わらず、どうやらシーニーはちゃんと有益な情報を掴んでいたようだ。
 
「なるほど。学校の枠を超えたイコンサークル……そのメンバーの中にやっぱり天学生もいたんですねー」
 冷静に情報に目を走らせる生駒。
「でも、これだけじゃあ確証がないですねー。裏を取って、確証を得たい所ですー」
 閲覧を終え、一人ごちる生駒。
 その時、その背に声がかけられる。
 
「確証なら既に得ているぞ」
 生駒が振り返った先にいたのは、シーニーと同じく生駒の契約相手――ジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)だ。
 前回の戦闘で被害を受けた海京の修理。
 および、イコンの整備に追われていた彼は、それらの作業を終えてようやく生駒に合流したのだ。
 
「どういうことですー?」
 問いかけてくる生駒に向け、ジョージはモニターを指さしてみせる。
「動き回るついでに古株の教官等からも聞き込みをしてきたんだが、ちょうどその話をわしも聞いての。どうやら、その話は本当らしいぞ」