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【揺れる想い】

 複数の人から、この祭りに誘われている人もいる。
 恋愛は、いつだって一人のことを一人だけが好きになるわけではないのだ。

 そんな、揺れる想いを取材した。



 昼頃、シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)と一緒にピクニックでランチをしていた。
 シャーロットは事前にセイニィの好物を調べて、朝から一生懸命お弁当を作ってきたのだった。
 そんなシャーロットの想いが詰まった、コロッケなどの揚げ物が中心のお弁当はセイニィも満足したらしい。
「こんな風に美味しいお弁当を一緒に食べられるなら、ピクニックも悪くないわね」
「本当ですか? それなら良かった」
 二人はゆっくりと話をして過ごしていた。
「お弁当を食べ終わったら、麓に降りて屋台や土産物屋を周りませんか?」
 シャーロットがそう提案して、二人は丘を下って行った。
「結構たくさん屋台があるわね」
「そうですね。お祭り、といったら屋台なんでしょうか」
「何か変わったものもありそうね」
 二人は騒がしい屋台の間を抜けて、その先にある土産物屋に入った。
 店内に所狭しと並んでいるお土産を見ている中で、シャーロットはふとお守りが目に留まった。
 それはカップル用の、ペアのお守りだ。
「……将来の夢というか、将来こういうことがしたい、ということはありますか?」
 ぐるりと店内を見回しながら、シャーロットはセイニィに訊ねた。セイニィは目の前にあった「家内安全」のお守りをじっと見つめて、
「それは、結婚したいとか、そういう意味?」
 とシャーロットに問い返した。
「結婚のことには限りませんけれど、将来こんなことがしたい、と考えていることはあるのかなと思ったんです」
 シャーロットの言葉に、セイニィはしばらく悩んだように黙りこんだ。
「家族っていうのがよく分からないから、あんまり結婚したい、とは思ったことないわね。
 でも、シャンバラが平和になったら格闘家以外の道を目指したい、とは思っているわ」
 セイニィはそう答えて、目の前にあるカップル向けの恋愛成就のお守りに触れた。
 シャーロットが先ほど、目に止めた物だった。
「……そのお守り、一緒に持ちませんか?」
 シャーロットの提案に、セイニィはもういちどそのお守りを眺める。
「別にいいわよ。そ、それぞれの恋愛成就に向けて、ということだからね!」
「……はい。それでも、構いませんよ」
 このお守りの力で、どうか想いが伝わりますように、
 シャーロットは、ウサギの形をしたお守りを握りしめて、そう祈った。