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古城変死伝説に終止符を

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古城変死伝説に終止符を

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「……でも……でも」
 自分が何をしたのか分かっているリリトはみんなの優しさが痛くてたまらず言葉を詰まらせる。
「……謝りましょう。悪い事をしたらごめんなさいです」
 ホリイが提案をした。蘇生は出来ないが、謝罪する事は出来る。それはきっとリリトにとっても前住人にとっても悪い事ではないはず。
「……」
 リリトは黙っている。子供ながら大変な事をしたという事は分かっているから。ごめんなさいをしてもだめだろうと。
「心配するな。俺達が一緒に謝る。お前がどれだけ辛かったかどれだけ謝りたいと思っているのか話す。もしだめでも他の方法を考える。俺達が必ず何とかする」
 聖夜はリリトが何を不安に思っているのか見抜き、屈み真っ直ぐにリリトの目を見つめ、嘘偽りの無い真摯な言葉をかける。
「…………うん」
 優しい銀の瞳をじっと見つめるリリトの目から再び涙がこぼれてまた泣き始めた。シャンヌは見上げて不思議そうに鳴いていた。

 リリトが泣き止んだところで肝心な用事を済ます必要があった。
「……少し魔法使いさんについて知っている事を教えてくれないか?」
 と甚五郎。
「……ママに貰った本に出て来た魔法使いさんにそっくりだった」
 リリトはずっと昔の記憶を呼び起こして答えた。
「それはローブを被った感じですか?」
 ホリイは昔話に出て来るありふれた魔法使いの風貌を想像し、確認のため訊ねた。
「……うん」
 リリトはこくりとうなずいた後、じっとホリイを見ていた。
「どうかしましたか?」
 ホリイは小首を傾げた。
「お姉ちゃんの声、聞いた事ある。歌と同じ……少しだけパパとママに会えた」
 落ち着いた今リリトは自分の記憶を思い返す事が出来た。眠っていた時に遠くから聞こえたホリイの優しい励ましや歌を。
「……ありがとうございます」
 リリトの言葉にホリイは照れながら礼を言った。少しでも役に立てた事が嬉しかった。
「ホリイのした事が証言されておった事を起こしたという事かのぅ。しかし相手にとってこれも想定内かもしれぬ」
 羽純はエース達から貰った植物達の証言を思い出していた。ホリイの行動がわずかながらでもリリトの心に残り、魔法使いさんの影響を薄めたのだろうと考えるも相手が相手だけに安易に考えない方がいいとも思っていた。
「……やはりあの正体不明の魔術師でしたか」
 エオリアは予想通りの事に驚きもしていなかった。
「それで顔や声、いつ出会ったのか、出会った時の事を教えてくれませんか?」
 舞花が本題に戻し追加で必要事項を問いただす。この時にはすっかり元の姿に戻っていた。
「顔は隠れて見えなかったよ。声もいつ会ったのかもぼんやりで覚えてないけど会った時にね、何か不思議な感じがしたんだよ。えと、本に出てた不思議な力を貰ったお姫様みたいな感じ、でも今はしないの」
 リリトは残念な答えと自分の身に起きた不思議な事を話した。
 答えはそこで終わりではなく、少しばかりリリトは考え込み、
「……魔法使いさん、あたしやみんなと違ってた気がする」
 首をひねりながら魔法使いの正体についてぼやっとした事を口にした。
「違うとはどういう事じゃ? 幽霊でも実体でも無いという事かのぅ?」
「……そんな気がするの。でも分かんない。ぼんやりして……」
 詳細を訊ねる羽純に困った顔になるリリト。何とか思い出そうとするも思い出せず、力になれないとうつむき泣きそうになる。
「いや、とても助かったよ。ありがとう」
 涙がこぼれると感じたエースが笑顔でリリトに礼を言った。
「…………うん」
 リリトは顔を上げて小さくうなずいた。
 この後、リリトは謝罪を提案したホリイと手を繋いでみんなと共に貯蔵庫を出た。