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平行世界からの贈り物

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第二部 送り主の調査


「送り主、不明か。何か気になるね。しかも媒体がUSBって何か近代的だし」
「調査に加わるか」
清泉 北都(いずみ・ほくと)と白銀 アキラ(しろがね・あきら)は送り主不明の映像データと聞きつけ、嫌な予感を抱きながら調査のため上映会にやって来た。
 そして、調査に加わるべく調査員が集まる現場に向かった。

「……映像データをどうやってここに送り込んだんだ。そしてその理由も気になるな」
 グラキエス・エンドロア(ぐらきえす・えんどろあ)は平行世界ではなく平行世界から送った技術や送り主の意図が気になって仕方が無い様子。
 しかし、そんな好奇心を抱かぬ者が二人。
「……(平行世界からの映像には我等の名はなかったか。存在しないという事なのかそれでは……苦痛なき生など最初からなかったと存在する限り、グラキエスは苦痛から逃れられぬという事なのか……)」
 前向きに歩もうと決めたというのに悩みの根は深いのかゴルガイス・アラバンディット(ごるがいす・あらばんでぃっと)はリストに自分達の名前が載っていなかった事に思い悩んでいた。
「…………(リストに無いだけで平行世界にもエンドロアは存在するのだろうか。狂った魔力を持たず、災厄にもならず、そんな生き方をするエンドロアが……しかし有り得ない。知っているのだからエンドロアがそう生まれついたと災厄になるか滅びるか、それしかないと)」
 ウルディカ・ウォークライ(うるでぃか・うぉーくらい)もゴルガイスと同じであった。ウルディカはグラキエスが災厄となる未来から来たため暗くなっていた。
 暗い二人を見て
「……ゴルガイスとウルディカはまた悩んでいるな。きっと悩みの種は俺だ。何とか二人を元気付けられればいいんだが……俺まで悩んだら場が余計に暗くなるな」
 グラキエスは心配そうに言葉を洩らした。二人に聞かなくても悩みは分かっている。なぜならいつもそうだから。そういう仲間を見るのが辛く、自分の悩む姿を見せて余計に暗い思いを与えたくないとも思っていた。
「……やれやれ、アラバンディットだけでなくウォークライまで。エンドの前だというのに」
 ロア・キープセイク(ろあ・きーぷせいく)はグラキエスとゴルガイス達の様子を窺い、どうしようもない状況に溜息をついた。ロアは二人と違いあまり悩まない。グラキエスの魔力があってこその存在でありグラキエスのために何かする事こそが喜びで存在意義であるため。
 この場を収めるために
「二人ともエンドを心配させないで下さい。悩むなとは言いませんが、一番大事な事を蔑ろにしないで下さい。私達は誰のために何のためにいるのですか」
 ロアはゴルガイスとウルディカに発破をかけた。
「……そうだな」
 ゴルガイスはこちらを心配そうに見ているグラキエスに気付き、気を取り直した。
「……あぁ」
 ウルディカも同じくうなずいた。元いた世界に戻れない上に今いる場所がそこに繋がるかも不明だが、グラキエスを守ると決めた、その事を思い出していた。
「早速、調査に加わろう」
 また場が暗くなってはいけないとグラキエスは急いで仲間と共に現場に向かった。