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平行世界からの贈り物

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平行世界からの贈り物
平行世界からの贈り物 平行世界からの贈り物

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「映像を見ましたが、真面目な校長は立派ですし、微笑みの魔女のアーデルさんも素敵でしたよ。もちろん、こちらの世界のアーデルさんの方が何倍も素敵で、自分は好きですけど」
 ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)アーデルハイト・ワルプルギス(あーでるはいと・わるぷるぎす)を手伝おうとやって来た。ついでに平行世界のアーデルハイトについての感想を好意込めて付け加えた。
「……そうか。何も無く毎日が平和であれば怒る事も無いのじゃが」
 アーデルハイトはザカコの褒め言葉に溜息で答えた。
「騒がしいのがいますからね。しかし、あちらの自分はどうなんでしょうか。ひょっとしたら凄い適当でいい加減だったりして……気になりますね」
 溜息の意味を知るザカコは上映会を楽しむ双子の方をちらりと見た後、平行世界の自分を予想した。
「もしかしたら会えるかもしれぬぞ。妙な事はこれまであったからのぅ」
 アーデルハイトは少し悪戯な笑みを浮かべながら言った。少々、興味があるかのように。
「そうですね。とりあえず、カードを調査しますね」
 ザカコは軽く笑ってから調査対象としてカード選んだ。
 その時、
「僕はこのリストを確認してみるよ。何か起きるのかと危惧するのは同じだから」
 同じく調査に加わるべく来た北都はリストを手に取り、
「この映像ファイルを読み取ってみるわね」
 ミリアがUSBを取った。
 三人の『サイコメトリ』によって込められている唯一の情報が読まれていく。
 調査が終了したのを見計らって
「どうじゃ?」
 アーデルハイトは三人に訊ねた。
「……視点が撮影者で姿は見えませんが、このカードを入れる時の様子が見えました。これを見れば貴方達は平行世界があると知り準備をしてくれるだろう、と。つぶやいていました」
 と、ザカコ。
「僕も視点は同じで貴方達鑑賞者が馴染みが持てるように同じ年齢か確かめて撮影したと」
 と、北都。
「平行世界のそれぞれの学校には警告を送ったのでこちらの世界は貴方達に任せると」
 と、ミリア。
 撮影者の顔は当然不明だが、聞こえた声には感情が無いかのような淡々としたものであり、読み取れれたのは報告したものだけだった。
「撮影者と送り主は同じという事じゃな。その上、貴方達……任せる……まるでこちらが読み取る事を知っていたかのようじゃな。USBに至ってはもはや伝言じゃ」
 アーデルハイトは首を傾げた。
「自分もそう思います。しかし、何の準備かは分かりませんでした。次は、映像の撮影日やファイルの作成者を調べさせて貰いますね。後、付属品の出どころも調べなければ」
 ザカコは映像ファイルの確認を始める事に。
「付属品は私が調べるですよ〜」
 スノゥが付属品の調査に名乗りを上げた。
「私は流れる映像から何かヒントが無いか確認してみるわ」
 ミリアは映像から手掛かりを掴むため翠達の席に戻り、撮影者の手掛かりを少しでも得られる事が出来ればと楽しむ顔ではなく真剣な顔で映像確認を始めた。ちなみに翠達が映像に現れた後だ。
「校長室は今の上映中誰もいなよな? 他に空けていた時間はあるか? これが届く前後で」
 白銀が校長室の人の出入りをアーデルハイトに訊ねた。
「そうじゃな、届く前はほんの少しじゃった。届いてからはずっと空けておった。調べてみた方がよいな」
 アーデルハイトは今日一日を振り返り、調査の必要性を感じ取った。
「あぁ、そこはオレらが」
「ついでに周辺で目撃情報を探してみようか」
 白銀と北都が向かう事に。
「……大図書館に何か平行世界について情報は無いか調査をしたいんだが」
 グラキエスが今回の事を説明する事が出来る資料があるのではと思いつく。
「ふむ。大図書館、か。奥の方に何かあるかもしれぬ。力を貸すように司書に連絡しておこう」
 アーデルハイトはそう言うなりすぐに行動を起こした。
 その後、グラキエスとゴルガイス、ウルディカは大図書館へロアは技術的な事を調査するため付属品調査に加わった。
 そして、調査は始まった。

 付属品調査組。
「カードもUSBもラッピングに使用された包みも見た目どこにでもある物ですぅ」
 スノゥは隈無く付属品を確認してから一言。そこら辺の文具店や家電店に売っているような安物だ。
「そうですね。しかし、媒体の容量よりも映像の量が多い気がします」
 『博識』を有するロアは媒体が中身の量に不釣り合いな事を指摘した。
「確かにそうですね〜。動画は容量が大きいですからねぇ。そちらで容量を確認出来ますかぁ?」
 スノゥは映像の撮影日を確認しているザカコに訊ねた。
「……はい、大丈夫ですよ……確かにおかしいですね。USBの容量を随分超えてますね。普通では超えると圧縮しなければ入らないと思いますが」
 訊ねられたザカコはすぐさま確認し、首を傾げた。
「それは普通じゃないですねぇ。そうなると……魔法、ですかねぇ。でもそんな感じしませんよ〜」
 一番に思いつく仮説を口にするも媒体からは魔法の気配は感じられず、小首を傾げるスノゥ。
 『ナゾの究明』を持つロアは少々考え込んだ後、
「……これは保存する物です。と言う事は、撮影機器が別にあるという事になりますよね」
 これまでの経験から新たな可能性を思いついた。
「そうですねぇ、その機器に何かあるかもですぅ」
 ロアの言葉の先を知ったスノゥは同意した。手元の物に異常がなければ、手元に無い物に異常がある可能性は高い。
「おそらく。その事を確認する物が何かあればいいのですが。映像で見る限り、撮影機器が映っていないのが残念です」
 とロア。今の状況では推測を確定にする事が出来ない上に映像には当然映り込んではいない。
「確かに……そちらはどうですかぁ?」
 スノゥはザカコに調査の案配を問うた。
「当然、年はどれも同じですが、月日や時間が同じものが幾つかありますね。作成者名は全て撮影日になっていますので正体は不明ですね」
 ザカコは調査を終了させ、報告した。
 今出来る調査を終えたスノゥは
「映像を確認するですぅ」
 と言って調査を終えたミリアもいる翠達の所に戻った。
 それからしばらくして校内に調査に赴いた人達が戻って来た。