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 オリヴィエ博士が、せめて監視付きでもいいから、外で暮らせるようになるといいのにな。
 今回もハルカからのビデオレター付きで、彼に面会に来る度に、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)はそう思う。
「そういえば、バレンタインだけど、博士、ハルカからチョコ貰った?」
「貰ったよ」
「そっか、よかった。ルカ達も貰ったの。
 ハルカ、すごく料理上手になってたね。成長、したんだなあ」
 オリヴィエの返答に、ルカルカはほっとする。
 届けようかと申し出たら、自分で届けに行くことになっている、と言っていた。そしてルカルカ達も、ハルカからチョコを貰ったのだ。
「……せめて、時々でもいいから外出できればいいのに……」
「服役中の受刑者が外出できる話なんて、聞いたことがないよ」
 好意は勿論嬉しく思いつつも、ルカルカの軍人らしくない発想に、オリヴィエは微笑む。
「今は友人を心配してるただのルカだもん」
 むー、と口を尖らせて答え、博士だってハルカに贈り物くらいしたいでしょ、と言った。
「まあ、今外に出ても、一緒に暮らせるわけでもないしね」
 オリヴィエは、特別な配慮で籍は置いているものの、イルミンスールには行けない。
 色々あって、イルミンスールから出入り禁止を食らっているし、そもそも刑期を終えた後は、王宮に勤めることが最初の話だ。
 ハルカと一緒に暮らすのは、ハルカが卒業してから、ということになる。
 今は、先のことを気にせず、じっくり学んで欲しい、というのが、オリヴィエの、ハルカに対する考えらしかった。
 年月を気にせず生きてきた彼にとっては、ハルカが何年留年しようが、心行くまで学生生活を過ごして欲しいようだ。
「それでも、好きな時に会えれば、違うじゃない。ダリル、何とかならない?」
「署名でも集めてみるか?」
 問われて、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は、考えた末に答えた。
「ルカは友人が多いから、頼めば署名してくれる者は多そうだ」
「成程!」
「女王は、こちらを全く放置しているわけではないと知っているから、大丈夫だよ」
 オリヴィエは苦笑して、そう言った。
「この状況から脱することを急がなければならない理由もないしね。心配してくれて、ありがとう」
「何か、必要がある時は、絶対に言ってね」
 ルカルカは、せめてそう言う。
「最大限の協力をして、絶対に博士に恩赦を貰ってあげるんだから!」
 そう、女王だってきっと、話を聞けば理解してくれる。ルカルカはそう、信じるから。




――――――――――――――――――――――――――――― 大切な友人のこれからを