リアクション
百合園女学院 敷地内
『くっ……!』
ノイエ13のコクピットでシリウスは歯噛みした。
来里人の駆る漆黒の機体は拳銃をヒップホルスターに戻すと、代わって人間で言えばレッグホルスターにあたる部分に取り付けられたハードポイントに格納されたナイフを抜き放つ。
左右大腿部から抜き放たれた二本のナイフは着々とノイエ13にダメージを重ねていく。
恐るべき操縦技術でノイエ13を追い詰めていく来里人。
漆黒の機体がとどめの一撃を突きたてようとした時だ。
突如割り込んだ機体がソウルブレードの刃を振るってナイフを受け止める。
『北都!』
シリウスの声に応えるようにして、割り込んだ機体――ルドュテの清泉 北都(いずみ・ほくと)が言う。
『百合園が心配なのは解るけど、突出し過ぎだよ。第三世代機のスピードで飛びだされちゃ、置いていかれてしまう』
苦笑交じりに言う北都。
『もう少し頼ってください、なにせ――』
クナイ・アヤシ(くない・あやし)が言うと、それを引き継ぐようにして北都はシリウスに告げる。
『――なにせ、今のドラコ1はシリウスさんたち。そして、ドラコ2は僕たちなんですから』
するとシリウスは意気軒昂に戻り、笑みを浮かべる。
『そうだったな。すまねえ。なら早速行くぜ、ドラコ1とドラコ2の初陣だ!』
『うん、あれでいこうか!』
『おうよ! 三機の所を二機って変則的なトコだが、オレらとお前ら――ドラコ1とドラコ2ならやれるさ! フォーメーションはファストドラコだ!』
合図を交わすとともに、連携を見せる二機。
本来は三機で行う攻撃ゆえに、本来の威力は発揮されていないものの、ドラコ1と2の技量や連携が卓抜しているゆえか、その力は決して低くはない。
瞬く間に逆転し、漆黒の機体を圧倒する二機。
やがて漆黒の機体は撤退し、“シュピンネ”もそれに追従したのだった。