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リアクション
六章 未来へ臨む
話は自然と、サイクラノーシュの対策へと移った。
前回のサイクラノーシュの攻撃――その際に各イコンに記録されたデータを基に、皆が話を進めていく。
「大火力を撃たせちゃダメだから、どっかに誘き出した方が良いかな?」
サイクラノーシュを移動させようというルカルカの提案に対し、ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が突っ込みを入れた。
「誘き出す前に最初の一発を放たれたら終わりだぞ」
「ううっ。じゃあ、サイクラノーシュがここに留まってる理由を解消したら……?」
恐らく、サイクラノーシュの推力は桁違いに高いはずだ。飛行も可能だろう。自身の能力をフルに活かせばパラミタ全土を移動できるはずだが、なぜかサイクラノーシュは未だに大廃都に留まっている。
移動しない理由があるにせよ無いにせよ、問題はある。ダリルはそれを指摘した。
「それだと他の街に累が及ぶ」
「あーそっか」
ルカルカとダリルは交互に提案をしていった。『中に入り込み、内側から停止させられないか?』『外部から命令を入力し停止させられないか?』……一通り意見を出すが、ヨルクやカール、サタディはそれらを『不可能』だと判断した。
「彼等と繋がって同化する方が、正直言うと楽なんだがな」
ダリルは【電脳支配】のスキルを持っている。このスキルを使えば機甲虫の機械系統に干渉し、支配できるのではないか?
そう思っての発言だったのだが、サタディは首を横に振った。
「機甲虫は、生物と機械が融合した存在だ。【電脳支配】ではほとんど効果が無い。
……それに、機甲虫と共生している【サートゥルヌス重力源生命体】も忘れてはならないだろう」
サタディに収められた記録映像により、機甲虫はサートゥルヌス重力源生命体と共生している事が明らかになっている。
サタディは、険しい顔で告げた。
「前回サイクラノーシュが放出した黒いエネルギー波は、サートゥルヌス重力源生命体そのものだ。
記録映像の中でも語られていたが、あれは人類には決して手出しできない次元の生物だ。力押しはまず通用しないだろう」
「一つ疑問があるのですが、いいでしょうか」
牡丹が手を挙げ、サタディに問いかけた。
「サートゥルヌス重力源生命体は機甲虫と共生しているだけなんですよね? 記録映像の中でもサイクラノーシュとサートゥルヌス重力源生命体が交渉したと言ってましたし、こちらの交渉次第では味方に付けられるのではないでしょうか?」
「なるほど、その手があったか」
ヨルクが呟いた瞬間、轟音と共に地下シェルターが大きく揺れた。
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