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    ★    ★    ★

『第4ターンに入りました。相変わらず、1位は遠野歌菜選手&月崎羽純選手が独走です。これは強い! そして、小鳥遊美羽選手、じりっと2位に上がりました。コハク・ソーロッド選手の分まで頑張れるでしょうか。なお、コハク・ソーロッド選手は、無事に回収されたとの連絡が入っています。おっと、ここで驚くべき展開になってきました。なんと、エリシア・ボック選手とクリストファー・モーガン選手がついに本気を出した! 驚異のスピードで一気にトップグループへ近づきました。エリシア・ボック選手は、綾原さゆみ選手&アデリーヌ・シャントルイユ選手に追いついて、3位です!』
「追いつかれた!? もっとスピードを上げるわよ!」
「ちょ、ちょっと、さゆみ……」
 ここで抜かれてなるものかと、死に物狂いにスピードを上げ始めた綾原さゆみに、ちょっと落ち着いてとアデリーヌ・シャントルイユが声をかけましたが、まったく聞いてくれません。スピードアップによる激しい風が、叩きつけるように二人の身体に当たります。
『わずかに競り負けたクリストファー・モーガン選手は、5番手をキープしている風森巽選手&ココ・カンパーニュ選手とならびます。目を見張る追い上げです。これによって、7番手となったクリスティー・モーガン選手の前に出ました』
「えっ、クリストファー……、なんて凄いんだ!?」
 クリストファー・モーガンの分まで頑張ろうと心に決めて走っていたクリストファー・モーガンが、突然の出来事に目を見張りました。
『追い抜かれたため、ルカルカ・ルー選手は8位に後退しています。御神楽舞花選手、9位の源鉄心選手&トレリン選手に追いついてきた。現在10位です』
「きたきた。加速だよ!」
 ミルディア・ディスティンとイコナ・ユア・クックブックが加速器の位置に達するのを見計らって、シンロン・エウテルペがスイッチを入れました。
「ひゃあ、速い速いですわあ!」
「ちょっと、この程度なの!?」
『加速勝負は、イコナ・ユア・クックブック選手に軍配が上がったか。イコナ・ユア・クックブック選手、11位となりました。ミルディア・ディスティン選手、加速されましたが、これは思ったほど追加スピードが出ない。12位です。続く13位はスープ・ストーン選手&ナウディ選手ですが、これは、ジェイダス人形に追いつかれてしまいました。小さな二人の姿が、人形の群れに埋もれてよく見えません』
「すーすー」
「まあ、これはまた雅な人形ナウ。一つもらっておきますナウ」
 居眠りしているスープ・ストーンに代わってふかふかベッドをかたむけてバランスをとっていたナウディが、手近なジェイダス人形を一つベッドの上に引き上げました。ちょっと、絵面が……。
『ティー・ティー選手&リラード選手もジェイダス人形に追いつかれてしまった。たくさんの人形にまとわりつかれています。現在14位です』
「う、うざいうさー」
『ノーン・クリスタリア選手、運を使い果たしてしまったのでしょうか。なんと15位にまで順位を落としています。こちらも、ジェイダス人形の体当たりを後ろから受けて、困惑しているようです』
「あーん、怖いよー、痛いよー」
『未だ最下位から脱出できないか。ダリル・ガイザック選手は16位です。それでは、現在の順位を見てみましょう』

 1.64 遠野歌菜&月崎羽純
 2.57 小鳥遊美羽
 3.45 エリシア・ボック
      綾原さゆみ&アデリーヌ・シャントルイユ
 5.44 風森巽&ココ・カンパーニュ
      クリストファー・モーガン
 7.43 クリスティー・モーガン
 8.42 ルカルカ・ルー
 9.38 源鉄心&トレリン
10.37 御神楽舞花
11.34 イコナ・ユア・クックブック
12.31 ミルディア・ディスティン
      ジェイダス人形群
13.28 スープ・ストーン選手&ナウディ選手
14.27 ティー・ティー&リラード
15.26 ノーン・クリスタリア
16.22 ダリル・ガイザック

「こ、これは、いけるかも! よっしゃあ!」
 思わぬ展開に、力が入りすぎるジェイコブ・バウアーです。
「まさか、やっぱり、こういうのは穴狙いがいいのかしら……」
 でもまだ油断はできないわよねと思うフィリシア・バウアーでした。