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「それでは、第1回オリュンポス杯、開始だ!」
 ドクター・ハデスの宣言と共に、こちらでもイコンバトルロイヤルがスタートしました。
「こういうときは、まずは距離をとっての攻撃が基本……!?」
 最初から戦いに巻き込まれないようにと、朝霧垂がいったん後退して様子を見ようとしました。ところが、一瞬空がキラリと光ったかと思うと、周囲一帯が爆発しました。その巨大な爆発の中に、朝霧垂のの鵺が呑み込まれていきます。回避する間もない、帯域破壊攻撃です。
「ふっ、ぞうさんは、ありんこを踏みつぶすにも、全力を持って当たるのであります。最初から出し惜しみはなしであります」
 いきなり問答無用でビッグバンブラストをぶっ放した葛城吹雪が、勝ち誇って言いました。
 いや、さすがに鵺はLタイプのイコンなので、簡単に踏みつぶされたりはしないのですが、いきなりの最大級の攻撃にふいをつかれてボロボロです。
「止めであります!」
 半壊した鵺に、伊勢の荷電粒子砲が追い打ちをかけました。
「だ、脱出!」
 さすがに、朝霧垂が脱出します。超空間無尽パンチを出す余裕がありませんでした。イコン戦だというので、イコンや小型のパワードスーツに死角を突かれることを警戒していたため、逆に巨大な伊勢の行動を見逃してしまったのが敗因のようです。まあ、普通でしたら、伊勢からはイコンが発進してくると思うでしょうから、しかたがないと言えばしかたがありません。

「どうなんだい、解説の兄ちゃん」
 なぜか司会を頼まれたお菊さんが、急遽作られた解説席でドクター・ハデスに聞きました。
「迂闊の一言に尽きるな。とかくLタイプはでかいので狙われやすい上に、派手な色をしていたから真っ先にやられたとしか言いようがない」
「そこまで言うことはないだろうが!」
 ドクター・ハデスが好き勝手言うので、解説席に朝霧垂が乱入してきました。片手には酒瓶を持って、すでにやけ酒でできあがりかけています。
「ええい、負け犬は大人しく観戦していろ!」
 ドクター・ハデスが叫ぶ間にも、戦いは進んでいきます。

 縮界を発動させて一気にカイザー・ガン・ブツに攻撃をしかけようとした紫月唯斗でしたが、狙いさえつけずに周囲にビームアイで無差別攻撃をかけるカイザー・ガン・ブツに、まぐれ当たりを恐れて直接打撃を与える距離まで近づけませんでした。狙われた攻撃なら避けることもできますが、狙いもつけずに弾幕を張られたのでは敵攻撃の予測がつきません。
「はははは、全て極楽浄土へ行くのです!」
 浄土どころか周囲を焦土にしながら願仏路三六九がビームを発射し続けていきます。

「あれは……。撃ちます!」
 空の彼方に何かがキランと光ったのをBMIで感じとったソフィア・ヴァトゥーツィナが、ユノーナ・ザヴィエートの多弾頭ミサイルを発射しました。これで、敵イコンは木っ端微塵のはずです。ところが、手応えがありません。
「落ち着いて、相手を確認しない攻撃は、まぐれでもないと当たらないわよ」
「は、はい」
 富永佐那に言われて、ソフィア・ヴァトゥーツィナはそう答えましたが、雨霰と飛んでくる子ミサイルを姿も見せずに避ける敵とは、いったいどんな恐ろしい敵なのでしょう。
 けれども、いったん発射されたミサイルは、敵を求めてさ迷います。運悪く、その鉾先は、ゴスホークへとむけられました。
「迎撃します!」
 ヴェルリア・アルカトルが、BMIのシンクロ率を80%まで上げて、レーザービットでミサイルを迎撃しました。
「よし、反撃に移るぞ」
 BMIのシンクロを自分に切り替えると、柊真司がブレードにパイロキネシスで炎を纏わせようとしました。とたん、ブレードが溶解します。運の悪いことに、プラズマライフルを内蔵しているため、誘爆しました。
「力の使い方を間違ったか!?」
 倒れかけたゴスホークのバランスを柊真司があわてて復元しようとしました。
「すいません。おちてください」
 そこを、ペルセポネ・エレウシスがレーザーライフルで狙撃してきました。脚の関節に追い打ちをかけられ、横転したところに、フローターに直撃を受けてゴスホークが擱坐します。

「まったく、これだから加減を知らぬ者というのは……」
「いったい、何がいけなかったんだい?」
 知ったふうな口ぶりのドクター・ハデスに、お菊さんが訊ねました。
「なまじBMIでスキルが使えるからと、むやみに使おうとすれば効果が出すぎる場合もあると言うものだ。男は拳一つで戦うべきだな」
 なんだか正論のようで、言っているのがドクター・ハデスなので、納得したら負けのような気もします。

「ひーひーはー、ひーひーはー。裁さん、覚悟ー!」
 なんだか変なふうに呼吸を整えると、メイ・ディ・コスプレがブレードビッドで鳴神裁を攻撃しました。
「ごにゃ〜ぽ☆ そんなのは当たらないよ!」
 楽々避けようとした鳴神裁ですが、自身の身体はそう動いて避けようとしますが、ペガサススポーンの方はそうもいきません。わずかなタイムラグで、挙動が遅れます。もちろん、通常の人間にとっては知覚するのも難しい遅れですが、BMI2.0によって拡大されたメイ・ディ・コスプレの感覚には充分な遅延でした。ブレードビットが、あっけなくペガサススポーンを破壊します。
「やったあ!」
 メイ・ディ・コスプレが喜びました。
「まだまだあ! 動きやすくしてくれたんだもん!」
 逆に、身軽になったテンペストが、本来の機動性を発揮して続く攻撃を易々と回避していきました。