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そして、物語は終焉を迎える

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そして、物語は終焉を迎える

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「しかし、バーストエロス、お前はどうして、その事件を調べていたんだ?」
 ジェイコブ・バウアー(じぇいこぶ・ばうあー)がそのように口にする。
「俺は例の屋敷の事件の、第一発見者のひとりなんだ。そこのメイドの霊に会ったからな」
「前に、出るっていう噂の屋敷を調査した際に、昔そこで働いていたっていうメイドの幽霊が現れて。そこの地下室で、その、奇妙な実験が行われていたらしくて」
 綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)が言葉を続けた。
「あのときは、これ以上捜査してもなにも出そうにないって感じで終わったんだよな。しっかしバーストエロス。引き続き調べていたとはな」
 ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)は軽く笑いながら言う。
「蜃気楼については、なにかわからないのか?」
 武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)は尋ねる。
「そうよ、蜃気楼のことについて聞きたいわ」
 セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)は身を乗り出した。
「なによセイニィ、ずいぶんとやる気ね」
 リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)が声をかけると、
「あたしは劇場のほうには顔を出さなかったから、最初の、とてつもなく硬いイメージしかないのよ。それが二体もいるんでしょう? 熱くもなるわよ」
 セイニィは拳を叩いて言う。
「まあまあ。熱くなりすぎるのもよくないですわよ」
 ユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)はセイニィの肩に手を置いて言う。
「話はうかがいましたわ。確かにかなりの強度を持っているようですが、やれないこともないということがわかっています。協力すれば戦えますから、冷静に行きましょう、セイニィ」
「……わかってるわよ。それで、バーストエロス、蜃気楼の詳細は?」
 セイニィは言うが、
「それが……俺も蜃気楼の詳細はわからん。中が男か女か、そもそも中があるのかもわからない」
 竜平は息を吐いて答えた。
「前回のカイザーたちの例、生物らしからぬ点からみて、アンデットか、アニメイテッドイコンのような憑依物あたりかな、と思うんだけど、どう?」
 リネンが口にするが、
「あり得るな。間接部に攻撃をしても、びくりともしなかったし出血もなかった。中身は人間でないのは理解できる」
 牙竜が答える。
「私は前回、実は召還獣かなにかだと思ったんだ」
 口を開いたのは涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)だ。
「だからこそ強い魔力をぶつければどうにかなると思ったが……違っていたようだな」
「そうとも限らない。なんらかの方法で防いだ、あるいは、効果を受けなかった、という可能性もある。まあ、涼介の魔法を完全に防ぐとなると、相当上位の術がかかっているということになるから……その説だと厄介だけどね」
 長曽禰 ジェライザ・ローズ(ながそね・じぇらいざろーず)は言う。
「魔鎧とか、ギフトだという考えもあるぞ」
 ハイコド・ジーバルス(はいこど・じーばるす)もそう説を唱えた。
「ボクは、機昌姫ではないか、とにらんでるんだけどね」
 アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)はそう言った。
「ジブリール、確か、【サイコメトリ】したんだよな?」
 ベルク・ウェルナート(べるく・うぇるなーと)は隣の人物に尋ねる。
「うん……見えたのは、人形遊びをしていた小さな子供の絵だった」
 ジブリール・ティラ(じぶりーる・てぃら)は自信がなさそうに答える。
「気になるな。一体、なんの映像だったんだ」
 牙竜が腕を組む。
「アーシャルの映像か、それとも、蜃気楼の映像か。それとも、他にまだ、なにか理由があるのか」
 リネンもあごに手をやってそう言った。
「どちらにしても、正体不明に変わりはないですね」
 そして最後はゆかりがそうまとめる。結局この話に関しても、明確な結論が出ないままだ。





3、それぞれの理由





 酒杜 陽一(さかもり・よういち)からの、綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)たちは無事だという知らせに、龍ヶ崎 灯(りゅうがさき・あかり)は安堵の息を吐いた。
「よし。これでなんとか、全員の無事を確認できたな」
 武神 雅(たけがみ・みやび)も息を吐いて口にする。
「それにしても大きな地震だったわね……」
 リネン・ロスヴァイセ(りねん・ろすヴぁいせ)はリネンは崩れて通れなくなった道を見つめて口にする。
 彼女たちはアンデッドモンスターたちとの戦闘中、大きな地震と落盤により、一時期はメンバーがばらばらになるという事態に陥っていた。なんとか連絡を取り合い合流し、はぐれたメンバーも無事だということに、現在は落ち着いている。
「ま、あの数を相手にせずに済んだってのは、不幸中の幸いってとこだな」
 ハイコド・ジーバルス(はいこど・じーばるす)も崩れた道を見て言う。
「この辺りは地震が多いのですかぁ?」
 ミュート・エルゥ(みゅーと・えるぅ)は少し後ろのニーナ・ジーバルス(にーな・じーばるす)に尋ねる。
「そんなことないわ。それに、地震という感じでもないわよね」
 ニーナは息を吐いて答えた。
「なんていうか、奥のほうから力が伝達しているような感じ。例の『邪石』とやらを作っているのかしら」
 少し冗談めかして言う。
「あの女、なんでうちの里の近くに居るわけ? どんだけ私に陵辱されたいのよ」
 その隣のソラン・ジーバルス(そらん・じーばるす)がふー、と息を吐いて口にする。
「前回陵辱された奴がなにを言って……信、聞こえてるかー、こっちの位置はわかるよなー?」
 ハイコドは耳の通信機に指をやって声を出す。
『ああ、そっちの位置は把握している。地盤が緩いって?』
 答えたのは藍華 信(あいか・しん)だ。彼は【フェンリル(サンダーブレードドラゴン)】、【ブリッツブラスト(アルティマレガース)】の力を使って空を飛び、洞窟の上空で待機している。
「ああ。さっきから地震みたいなのが起きているな。ちょっと、落盤っぽいのも」
『上から見てもわからないな……近隣で地震みたいなのは起きてないみたいだから、洞窟の中だけみたいだ。位置はマークするけど、潰れたりはしないでくれよ』
 通信の音声は近くのメンバーにも聞こえるように設定されている。「わかったよ。なんかあったら知らせてくれ」とハイコドが話し、『了解』との言葉が返ってきた。
「ヘイリー、そっちはどう?」
 リネンも通信機に向けて声をかける。
『出口は何箇所かあるのはわかったわ。雅、データを送るから、とりまとめ、お願いね』
 ヘリワード・ザ・ウェイク(へりわーど・ざうぇいく)の声が皆の耳に届き、雅は「わかった」と【テクノコンピューター】を使ってデータの整理をする。
 ヘリワードも上空だ。引き続き洞窟の構造、特に出口のマークを行っている。アーシャルに、そして、もしかしたらいるかもしれないドクター・ハデス(どくたー・はです)一味、辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)一味を逃がさないためだ。
「出口も多いな……とりあえず、便宜上の記号をつけておこう」
 言って、雅は数箇所の出口にAやらBやらと書き込む。
「俺たちが入ってきたのは、この図で言うとD地点かな」
 武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)が覗き込んで言う。
「ああ。羽純が言っていた最深部がこの辺りだとしたら、この二箇所の出口を塞げば、こちらからは逃げられなくなるだろう」
 雅は地図を眺めながら言う。
「そう都合よく行くかしら」
 セイニィ・アルギエバ(せいにぃ・あるぎえば)も、地図を覗き込んで言う。
「いつだって予定外のことは付き物だ。だが、だからと言ってなにもしないわけにいかないだろう。妹なら、そのくらい理解するのだ」
「だだだだ誰が妹よ!」
 雅の言葉に、セイニィは顔を赤くして言う。
「セイニィさんよ、顔が真っ赤ですぜ」
「うるさいわよバカ忍者!」
 笑いながら言う紫月 唯斗(しづき・ゆいと)に、セイニィはそう口にした。くくく、と唯斗が笑う。 
「まあまあ。セイニィも、そんな過剰反応しないでさ」
 ルカルカ・ルー(るかるか・るー) がセイニィのほっぺをむにむにといじりながら口にする。「むー」とセイニィは不満そうだ。
「ダリル、どう、道はこっちでいいのかな?」
「ああ。他の道はどうやら戻っちまうみたいだ。進むなら、この道だな」
 少し先で道を確認していたダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が、振り返って答える。
「一本道ですか……どうも、嫌な感じですわ」
 ユーベル・キャリバーン(ゆーべる・きゃりばーん)は進むべき道の先を眺めて口にする。
「確かにそうだな……なるべきにしてなった、って感じで嫌だね」
 ハイコドも先を見つめて言う。
「とは言え、進むしかないですからねえ。どれ、俺が先に行って、見てきますよ」
 唯斗は首をこきこきと鳴らして歩き出した。「俺も行く」と、ダリルも続く。
「気をつけてくださいね」
 灯の言葉に、ダリルは振り返って頷き、唯斗は手のひらをひらひらと振って答える。
「仕掛けてくると思う?」
 リネンが隣のミュートに声をかける。
「どうですかねぇ……道が一本しかないということなら、罠を張るには絶好のポイントですけど」
 ミュートは歩きながら口にした。
「ここは、なんだ?」
 前を歩くダリルが口を開く。
「見事な一直線ですねぇ……」
 唯斗も口にする。照らしても奥まで見えないほどの、まっすぐな道だ。
「途中に曲がる道はあるみたいね」
 セイニィも奥を覗き込んで口にした。
 彼女の言うとおり、別の道へと入る道はある。
「それにしても、ずいぶんと奥まで続いて……避けろ!」
「きましたぜ!」
 ダリルが言葉を途中で切って、壁に背をつける。唯斗もしゃがみこんだ。
「セイニィ!」
 牙竜はセイニィの前に出た。
「っ!」
 ミュートが道の影に隠れつつ、【ソーラーフレア】を取り出す。
「イブ・シンフォニール……!」
 リネンが口にした。
 長い直線の先――【カモフラージュ】で姿を隠している、イブ・シンフォニール(いぶ・しんふぉにーる)の放った【機晶ロケットランチャー】が、こちらに向けて迫ってきていた。
「やらせませんよぉ?」
 ミュートは【ソーラーフレア】を撃つ。イブの放った【機昌ロケットランチャー】は途中で撃ち落され、爆発と真っ白な煙を洞窟の中へと散らせた。
「見えますか!?」
 ユーベルはミュートに話しかける。
「暗いですが、なんとか見えますよぉ」
 ミュートは【ミュート専用サイバーアイ(移殖眼)】の力で、隠れているイブの位置を把握する。
「そこぉ!」
 次はミュートが先に撃った。
「っ!」
 イブはロケットランチャーをあきらめ、横へと回転しながら【六連ミサイルポッド】を洞窟の天井に向かって撃つ。天井が崩れ、ミュートの放った攻撃はイブへと届かなかった。
「ダリル、【超加速】!」
「おう!」
 ルカルカの能力を受け、ダリルがイブの元へと駆ける。
 全速力でイブの元へと向かうが、崩れた天井が道を塞いでしまう。
「くそ……」
「任せてくださいよ」
 少し遅れてやってきたハイコドが、走る勢いを殺さずに拳を後ろへと振った。ダリルは彼のやろうとしていることを理解したのか、崩れた場所から離れるように大きく跳ぶ。
「【滅破牙狼拳】!」
 そして放たれたハイコドの両手が、崩れた岩へとまるで突き刺さるように衝撃を与えた。衝撃で岩は内側から爆発し、通れなかった道は見事に開き、通れるようになる。
「俺の目に闇は通じねぇんだよ……出て来いや、悪い奴ら! ぶっ飛ばぁすぞぉ〜っ!」
 崩れた箇所から顔を出し、暗闇に目を光らせてハイコドが叫ぶ。
「……っ、ハコくん下がって!」
 ニーナの叫びが響いた。ハイコドがなにかと見回すと、洞窟が崩れた埃によるものとは違うものが、なにか周りを漂っている。
「っ! 【しびれ粉】かっ!?」
 ハイコドは身を引くが、
「お行きなさい、わが子たち」
 声が聞こえ、なにが小さくて黒いものが迫ってきているのが見えた。大きく後ろに跳ぶが、まっすぐに飛んできた【毒虫の群れ】を完全には避けきれず、ハイコドの周りに虫がたかる。
「ハコっ!」
 ソランは【青赳槍】を射出、ハイコドの周りの虫たちを弾き飛ばし、そのまま洞窟の闇へと飛ばす。
 ハイコドが開けた穴から女王・蜂(くいーん・びー)が飛び出してきて、【チェインスマイト】による連続攻撃を放つ。一撃は回避するが、続けて放たれた攻撃をソランは回避しきれず、【青赳槍】でぎりぎり弾く。
「っ!」
 そこに隙が出来た。女王・蜂は一瞬で間合いを詰め、槍による再度の攻撃を行う。
「やらせない!」
 そこにニーナが飛び出した。
 【焔狼牙】により槍の攻撃を弾き返すと、体を一回転させて次の攻撃。女王蜂は一瞬で後方へと下がり、【アルティマ・トゥーレ】を放って闇の中に消えた。
「逃がさない!」
 ニーナは前に出るが、
「っ、まだ【しびれ粉】が!」
 途中でその粉を吸い込んだのか、ひざをつく。
「出すぎだニーナ!」
 そこに迫ってきた【毒虫の群れ】を、ハイコドが自らを盾にしてニーナに効果が及ばないようにする。
「【煉獄斬】!」
 ダリルが前に出て、【羅神鞭『断空』】に炎をまとわせハイコドの周りの虫をすべて払う。
「ハイコド、平気!?」
 二本の霊刀を手にしたルカルカが前に出て、ハイコドの前に立つ。
「ダリル、ハイコドさんを回復! 唯斗、牙竜、リネン、来て!」
 ルカルカは叫んで、暗闇に飛び出す。言われたとおりダリルが【ホーリーブレス】でハイコドを回復すると、名前を呼ばれたメンバーがそれぞれの武器を手に、前へと飛び出た。
「刹那さんかい!?」
 唯斗は叫ぶ。
 暗闇に隠れているシルエットは、女王・蜂とイブだけでなく、辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)の姿も存在した。
「逃がさないわよ!」
 リネンも前に出るが、
「ふん」
 刹那は【煙幕ファンデーション】を放ってさらに視界を悪くし、
「イブ」
「了解シマシタ」
 そこにイブがもうひとつの【六連ミサイルポッド】を放った。
「任せろ!」
「ほいっと!」
 牙竜が【22式レーザーブレード】で、唯斗が【青のリターニングダガー】を投擲することで、こちらに向かってきたミサイルを撃ち落す。ばらけた数発が別の場所に着弾して地面が揺れ、ルカルカたちは地に足を付いた。
「逃がした……」
 ルカルカは息を吐いて口にする。
「ハイコドは大丈夫だ。それほど大きな怪我じゃない」
 ダリルが言う。「悪いね、ダリルさん」と大きく息を吐いて、ハイコドは立ち上がった。
「退いたってことは、近くに他の連中もいるってことだろうな」
 ダリルは息を吐いて口にした。
「そう考えるのが妥当ね……ちょうどいいじゃない。あの連中も、今度こそ捕まえましょう」
 リネンも言う。
 その言葉に皆が頷いて、イブが去った方向へと歩き出した。
「聞こえるわね、ヘイリー、Bの出口を潰して!」
 歩きながら、リネンはそのように声を上げた。


「了解! 親衛騎兵団、出るわよ。これよりB出口を破壊する!」
 ヘリワードが叫び、【空賊団 親衛天馬騎兵】が対艦用の爆雷で爆撃を始めた。雅がB地点と名づけた一箇所の出口が、爆撃により塞がる。
「俺はA地点をマークするぜ!」
「頼むわよ信。こっちは任せて!」
 信も【機昌スナイパーライフル】を構えて別の地点へと向かって行った。
「リネン、洞窟内部は大丈夫?」
 爆撃が終わってB出口が塞がると、ヘリワードは無線機に声をかける。
『平気よ。これで向こうの逃げ道はなくなったわね。あとはこっちで追い詰めるわ』
 リネンの声が響き、ヘリワードは「頼むわね」と声を出した。



「見事に出口を塞がれたようじゃな」
 B地点出口近く、刹那は崩れた道を見つめてそのように口を開いた。
「予想の範疇ですよ。こんな場所にいれば、出口を塞ぐのは想定済みです」
 ファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)はメガネを指で持ち上げて答える。
「しかし、よいのかファンドラ。直接の援護を拒否されたのじゃぞ。あの女、信用に値するのかえ?」
 刹那は小さく笑って言う。
「信用しているわけではありませんよ。ですが、同じ目的を持っているのです。協力するという手段も、利用するという手段もある。どちらにせよ、彼女の真意を測るためにも、恩は売っておかないと」
 そういうファンドラはどこか嬉しそうだ。同じ目的を持った者の登場に、なにか感じるものでもあるのだろうか。
「彼らも、蜃気楼たちが暴れている以上、そちらに集中するほかないでしょう。そこでひとりでも多くの者を始末し、数を減らせばいい」
「ふ……そうじゃな」
 ファンドラの言葉に、刹那は頷いた。
「ならば、こちらも、依頼された以上はやるべきことをするとしよう。ゆくぞ、女王・蜂」
「はい、主様」
 刹那は女王・蜂(くいーん・びー)と共に歩いてゆく。
「ふむ……」
 ファンドラは、蜃気楼だけに頼るのは危険だと考えていた。前回、一体がほぼ戦闘不能状態に陥っている。
 が、彼女に――アーシャル・マクレーンにあんなものを見せられたら、援護の拒否されても仕方ないだろうと思う。
 それに、彼女はどうも他人を一切信用していない節がある。だとしたら、せいぜい彼女が動きやすくなるようにすればいい。
 そうすれば、互いの目的も前に進むというものだ。その過程で、信頼を勝ち取っていけばいい。
「そのあとどう動くのか……私を失望させないで欲しいですね、アーシャル・ハンターズ」
 ファンドラはメガネを再度持ち上げ、くくくと怪しげな笑みを浮かべる。
 そして、パチンと指を鳴らした。



「フィーッ!」
「な、なんだ!?」
 突然現れた人物の姿に、牙竜は驚きの声を上げた。
「こいつら、ドクター・ハデスの戦闘員かっ!?」
 ハイコドも声を上げる。襲いかかって来た戦闘員たちを、それぞれおのおのの装備で迎え撃った。
「こちら灯です! ドクター・ハデスの戦闘員が現れました! 気をつけてください!」
 灯が通信機に向かって声を出した。