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七夕祭りinパラミタ内海

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七夕祭りinパラミタ内海

リアクション

 短冊を書いた後。
「さすが祭りや、屋台が色々あるな。今日は受験の息抜きをするで」
「そうね。短冊も書いた後はたっぷりと歩きを楽しむだけね」
 蒼空学園大学部受験の合間の息抜きの上條 優夏(かみじょう・ゆうか)フィリーネ・カシオメイサ(ふぃりーね・かしおめいさ)は賑やかな屋台の方に目を向けていた。
 しかし
「…………」
 チルナ・クレマチス(ちるな・くれまちす)は離れた場所にいる熱心に短冊を書いて笹に付けているカップル達の仲睦まじい様子を見ていた。
「チルナ、何見てんねん」
 優夏が小首を傾げながら訊ねた。
「……どうしていっしょかみてる」
 チルナはじーっと端から見ると恥ずかしくなるほどの仲睦まじいカップル達をまばたきせずに見ていた。
「カップルをか?」
 訊ねる優夏に
「あたいちょっときいてくる」
 チルナは疑問を解決しようと何事かを訊ねに行こうととするが、
「おいおい、ちょい待て」
 質問内容は分からぬが嫌な予感がした優夏が慌ててチルナの腕を掴み
「そうよ、チルナ、邪魔しちゃ悪いし、それにお腹も空いたでしょ」
 フィリーネも説得に加わる。チルナの親代わりである二人は必死だ。
「いく」
 チルナはこくりと賛成した。
 それにより浴衣を着た三人は仲良く近くの歌菜達が経営する海の家に入店した。
 そこでちょっとした騒ぎが起き、チルナの親代わり達は恥を掻き大慌てとなった。

 歌菜達が経営する海の家。

「さて、何にするかな」
「どれも美味しそうね」
 優夏とフィリーネが楽しそうにメニューを見て何を食べるのか迷っている間も
「……」
 チルナはじーと忙しく動き回る歌菜と羽純の仲良し夫婦を目で追い、何事かを考えていた。
 空になった食器を運ぶ歌菜に声を掛けて注文を取って貰う事に。
「俺は夏野菜たっぷりのカラフルカレー」
「あたしカラフルなスペイン風オムレツとデザートにカラフルなオレンジゼリーとスイカゼリーもお願い」
 優夏とフィリーネはそれぞれ注文しチルナも同じようにすると思いきや
「ねぇ、きすしたらこうのとりがきゃべつをもってきてそれをままがたべるとあかちゃんがくれるってほんとなの?」
 チルナは無邪気な笑顔で訊ねた。なぜなら祭りで男性と女性がくっついるのを見るなり前々から疑問に思っていた事を聞きたくて堪らなかったのだ。
「……え」
 いきなりの質問に戸惑う歌菜に。
「この子もあたしと同じメニューでお願い」
 フィリーネが急いでこの場を何とかしようとチルナの分も注文し歌菜を行かせた。
 それから
「チルナ、何、聞いてるんや。相手困ってたで」
 優夏は自分達に注がれる視線に慌ててチルナを問いただした。
「どうやったらこどもがうまれるかきただけだよ。あたい、ちゃんとべんきょうして、どうやったらこどもがうまれるかしらべたんだよ〜」
 チルナはにこにこと言った。
「勉強ね〜、ったく、誰やねんチルナにこんなアホな知識植え付けたんは!?」
 優夏は慌てて軽く喚く。
「好奇心旺盛な子だから知りたい年頃なのよきっと」
 フィリーネが子供の好奇心に慌てる夫を慰める妻の如く優夏を宥めた。
「ねぇ、ゆーかとふぃーはしってるの?」
 チルナは身を乗り出し、目を輝かせ訊ねる。答えを得られると期待して。
「……まぁ、知らん事もないけど(といってもチルナの年齢でホントの事詳しく教えるわけにいかんし、此処はフィーに頼んで誤魔化してもらうかな)」
 優夏はどうしたものかと困ってしまい、ちらりと目でフィリーネに救いを頼むと合図を送る。
「……(任せて)」
 合図を受け取ったフィリーネが何事か説明しようとした瞬間、
「……おはなしよりもゆーかとふぃーが「じつえん」してくれたらわかりやすいんだけどなぁ〜」
 チルナがぽつりと子供らしい無邪気さで何気なしに優夏達にぼやくと
「実演なんてできるかいな!? 子供がどうやったら生まれるかはもー少し大人になってから……っ!?」
 優夏はチルナの発言に驚きと戸惑いで大声になり、周囲の視線を集めてしまい一気に黙る。
「?」
 当然理由知らぬチルナは頭に疑問符。
 ここで
「実演? いいわね、食べ終わってからゆっくりと分かりやすいように演出して見せてあげる。だからここでは大人しくしよう」
 チルナのママになった気分のフィリーネが笑顔で騒ぎ起こさないように上手く止めた。
「わかった。あとでおしえてね」
 納得したチルナはもう話題にせず、食事に集中する事に。
 すぐに優夏が注文したトッピングした茄子、南瓜、パプリカ、オクラの色がカラフルなカレー、フィリーネ達が注文したロースハムとパセリが鮮やかでじゃがいもの食感が美味しいオムレツ、デザートの見た目も涼しげで甘くて美味しいゼリーが運ばれ、美味しく平らげてから店を出て行った。

 店を出て浜辺へ移動してから
「おしえて、どうやったらこどもがうまれるか」
 チルナは早く知りたがりフィリーネを急かした。
「今から始めるからよーく見ててね(折角だから優夏にも協力して貰おうっと♪)」
 フィリーネはそう言うなり『夢想の宴』を使用して幻想的な物語を紡ぎ、
「で、最後にこうやって二人は幸せになるのよ」
 物語最後に優夏にキスをする。
 しかし、何も知らされていない優夏は
「ちょっ、フィー!? いきなりキスは!?」
 ハプニングに慌て顔を赤くした。
「いいじゃない、おかしな事じゃないんだから」
 フィリーネは悪びれる様子も無くあちこちにいるカップルを目で示す。
「いやまぁ他のカップルも隠れてしとるけど」
 優夏は何とも言えぬ表情に。
「ゆーか、ふぃーありがとう」
 答えを得られたチルナはひとまず二人に礼を言った。
 この後、楽しく食べ歩きをしてから夜明け前に再び浜辺に戻り、夜明けを待つ事に。
 ただし、チルナは
「よあけ? あたいはねるよ〜、よいこははやねはやおきするものだってきいたしね〜」
 と言って早々に寝てしまった。
 それによって優夏とフィリーネは二人きりとなり
「優夏、二人きりになっちゃったね(これって端から見たらカップルに見えるかも)」
 フィリーネはすっかり恋人気分。
「まぁその、これは周りのカップルに合わせてやなぁ……なんというかこの光景は……そういえばフィーは短冊になに書いたンや?」
 優夏は周りのカップルに慌ただしく視線を泳がせ、恥ずかしさで顔が赤い。耐えられず、照れ隠しに何気ない話題を口にした。端から見れば優夏達も立派な恋人だ。
「もちろん『優夏がHIKIKOMORIから卒業します様に』よ☆」
 フィリーネは笑顔で返答した。
 しばらくして、夜明けが訪れ幻想的な光景を優夏とフィリーネは仲良く楽しんだ。