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王子様と紅葉と私

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王子様と紅葉と私
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リアクション

「さて、と。これで一応準備は整ったわよ」
 とある秋の日、セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は、秋物の服に身を包んでデートに出かけた。
 セレンとセレアナは六月に結婚したばかりだが、シャンバラ国軍中尉という立場もありなかなか休暇がとれず、新婚旅行にも行っていない。
 なんとか休暇が取れた二人は、落ち葉の舞い散る中手を繋いでデートに出かけたのだ。
「あら」
 街中を歩いていると、ふとセレンが見知った顔を見かけて足を止めた。
 あれは誰だっけ……と目を凝らしてみれば、ヴァレリアだった。
「久しぶり! 何してるの」
「あら、セレン様、セレアナ様」
 ヴァレリアは、見知った顔の二人に、安心したような笑顔を見せた。
「デートと女子会をしようと思いますの」
「デートと女子会?」
 デートの後で女子会なのか同時進行なのか、とセレンがよく分からない表情を浮かべたのも束の間。
「ま、とりあえず女子会なら参加したいわ! それで、店の予約はしてあるの?」
「あら……すっかり忘れていましたわ。そうですわね、お店を予約しなければなりませんわね」
 やっぱり、というようにセレアナは小さい溜め息をつき、セレンは明るく笑った。
「それならいい感じの店をキープしておくわ!」
「そうね。お店は私たちが探しておくから、心配しなくていいわよ」
「まあ、よろしいのですか? そうしたら、他にも一緒に女子会に参加できそうな方を探して参りますね!」
 ヴァレリアはセレンたちに店の確保を頼み、何処かへと消えていった。
「手ごろなお値段で、ある程度の人数に対応できて、料理もお酒も種類が豊富な、女の子が入りやすい店ね……」
 セレアナはすぐさま店を探しはじめた。ほどなく適度な店が見つかり、予約を入れた。
 店の前でセレンたちがヴァレリアを待っていると、綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)とともに、ヴァレリアがやってきた。
 アイドルデュオ<シニフィアン・メイデン>のさゆみとアデリーヌは、たまたま休暇だったところにヴァレリアから電話を受け、呼ばれてきていた。
「後からまた何人か来て下さるそうですわ!」
「じゃあ、先にはじめちゃいましょ!」
 セレンが適当に話を進めて、早速女子会が始まった。
 翌日にバラエティ番組の収録を控えているさゆみとアデリーヌは酒類はほどほどに、セレンのハイテンションなおしゃべりに笑った。
 セレアナは、ハイテンションなセレンを微笑ましく見つめている。
「そうそう、ここでカラオケもできるのよ!」
「本当? そうしたら歌いたいわ!」
「良いですわね」
 さゆみが言い出し、アデリーヌも快く賛同した。
 二人が持ち歌を歌い始めると、ヴァレリアは目を輝かせて二人を見た。
「あははは、仕事抜きで歌を歌うなんて本当に久しぶりよね!」
 一曲歌い終えると、拍手を受けながらさゆみが笑った。
 仕事以外で思いっきり好きなように歌える機会は、なかなかない。
 さゆみとアデリーヌの突発ライブが始まると、セレンとセレアナも楽しげに聞き入った。
「まだまだいくわよ!」
 そうこうしながら、女子会はまだまだ続いていく。