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【ニルヴァーナへの道】浮遊要塞アルカンシェル(後編)

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【ニルヴァーナへの道】浮遊要塞アルカンシェル(後編)

リアクション


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「あった、カードキーだよこれ。これならロックを解除できるはず!」
 カレン・クレスティア(かれん・くれすてぃあ)は、道中の機晶ロボットを無力化させて、操縦室前までたどり着いていた。
 操縦室をガードしていた警備機晶ロボットを倒したところ、キーらしきカードを発見したのだ。
 カードリーダーらしき装置に、通すと、ぴぴっと音が響きドアが開いた。
「う……っ」
 しかし、操縦室の中にも、機晶ロボットが2体いた。
「ロボットはボクに任せて! ジュレールお願いっ」
 カレンはあえてロボットへと駆け寄る。機器を破壊するわけにはいかない。
 ロボットの注意を退き付けて、操縦席から離そうとする……が、ロボットは機器の傍から動かず、光条兵器の銃をカレン、ジュレールに撃ってきた。
 近づくことが出来ない。
「こっちも、光条兵器とか、斬るものと斬らないものを決められる武器や能力があれば……」
 ロボットの攻撃は機器を傷つけはしない。回避しつつ、カレンは近づいて、エンペラースタッフで殴り飛ばし、よろめいたところに天のいかづちを放つ。
 だが、頑丈に作られているこのロボットは簡単には倒すことが出来ない。2体の警備機晶ロボットは至近距離からカレンに銃を撃ち、深く傷つけていく。
「カレン、耐えるのだ。仲間ももうすぐ来るだろう」
 パートナーのジュレール・リーヴェンディ(じゅれーる・りーべんでぃ)は、電子機器に精通しているという特技を生かして、周囲を見回し、装置の把握に努める。
 操縦席の位置、副操縦席の位置。モニター、レーダー、計器類……そういった把握は出来るが、操作方法までは分からない。
「レバーの上下で高度くらいは変えられるだろうか」
 操縦が出来る者がここに到達しない場合は、やるしか、ない。
「誰かいるの!? 開けられる?」
 外から声が響く。
 急ぎ、カレンはドアを開けた。
 現れたのは、第二突入班のメンバーの志方 綾乃(しかた・あやの)だった。
「操縦が出来る方が来るまでに、始末しますよ」
 綾乃は光条兵器を持っている。
 機器を傷つけないように、歴戦の武術、アナイアレーションの技術をも用い、機晶ロボットに攻撃を仕掛ける。
 パートナーが近くにいない状態では、光条兵器は長くは使えない。
 素早く、倒す必要がある。
「もう1発!」
 カレンも、一度攻撃を加えた相手に、もう一度魔法を発動。体当たりで転ばせて、何度も何度も攻撃して、沈黙させる。
 だが――。
 ようやく、操縦席に手が伸ばせると思ったその瞬間。
 外側からドアが開き、光の弾が無数飛び込んで来た。
 通路側だけではなく、通信室とつながっているドアからも。
「シンニュウシャヲハイジョセヨ――」
 あらゆる機晶ロボットが、ぞろぞろと入ってくる。

「な、んだ……」
 操縦室の階にたどり着いたシリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)は、凄まじい状態に眼を見開く。
 多方向から機晶ロボットがこちらに向かってきている。そして、操縦室に入り込み、侵入者を排除しようとしている。
「さすがに倒しきれないよ、これは。近づけないね」
 サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)は、シリウスと共に柱の影に隠れ見守る事しかできない。

○     ○     ○


(セラさんはどこかに連れて行かれる寸前……確かに微笑んで一つ、頷いてた。……これから何をされるのかも判らない不安や恐怖の色も見えた)
 なのに、琳 鳳明(りん・ほうめい)のパートナーのセラフィーナは微笑んでいた。
『大丈夫。アナタはアナタのすべきことを全うしなさい』
 鳳明は、セラフィーナのそんな思いを受け止めていた。
 自分のすべきことは、もう決まっている。
 全速力でブライドオブドラグーンを確保し、要塞を止めることだ。
 檻を飛び出してからすぐに、鳳明は最下層を目指した。
「邪魔はさせないんだからーっ!」
 同じく、剣の花嫁をパートナーに持つ小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)も、パートナーのベアトリーチェや優子のことをとても案じていた。
 だけれど、ゼスタや救出に名乗りを上げてくれた人が沢山いたから。自分は当初の目的の達成を目指すことにした。
 銃舞で機晶ロボットの攻撃を回避しながら、弾を撃ち尽くした機晶ロケットランチャーで敵を殴り飛ばして進む。
 鳳明はプロミネンストリックで飛び、美羽は、ヴァルキリーのコハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)に抱き止められながら、吹き抜けを一気に最下層まで降下した。
 下りた先の通路にも、機晶ロボットの姿があった。通路は狭く、数も多いため、倒さなければ進めないか、と思ったその時。
「ここは任せろ!」
 男性の声が響き、マシンガンによる攻撃が機晶ロボットに浴びせられる。
「ありがとう」
「行かせてもらうね!」
 わずかに出来た通路の隙間に、鳳明、美羽とコハクは飛び込んで先へと進む。
 パワードスーツを纏った、三船 敬一(みふね・けいいち)が、機晶ロボットを引き付け、後方の機関室と仲間を護っていた。
「だが、この先は地獄だぞ。機晶ロボットも、俺が引き付けているからだけではない、これ以上進むことが出来ないんだ」
 言いながら、敬一は機晶ロボットを撃っていく。
 確かに、機晶ロボットは痛みを感じないはずだが、銃で狙うだけで動力室の方に向かってはいかない。
 ……その理由はすぐに分かった。
 ビビ……ッ
 電気が走るような音が響き、光の鞭が通路に飛んだ。
「あっ」
「うっ」
「つっ」
 打たれた鳳明、美羽、コハクは小さな声をあげた。
 見れば、機関室のドア、その先のドアも破られており、時折そこから光が飛び出している。
「帰り道は作っておく。気をつけな!」
「はいっ」
「お願いね!」
「お願いします!」
 敬一に返事をして、鳳明と美羽、コハクは注意をしながら機関室へと走る。
「……っ」
 光――動力炉から飛び出したエネルギーは、敬一の背をも打った。
 柱の前に出れば、機晶ロボットに接近することになり、後ろに下がればこうしてダメージを食らうことになる。
「三船さん、私の後ろに」
 白河 淋(しらかわ・りん)は、パイルバンカー内蔵シールドを構えて、前へと出る。
 そして、一番ダメージが少なく、突出してきた警備機晶ロボットに狙いを定める。
 敵が銃を撃ちながら近づいてきたと同時に、アクセルギアで加速。真空派を何度も、そう精神力が切れるまで打ち込んで破壊していく。
 その後ろから、敬一はシャープシューター、エイミング、スナイプの能力で、警備ロボットの頭部を撃ち抜いた。