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【ダークサイズ】灼熱の地下迷宮

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【ダークサイズ】灼熱の地下迷宮

リアクション

 ヴァルトルート・フィーア・ケスラー(う゛ぁるとるーと・ふぃーあけすらー)は、今にも顔がニヤけてしまいそうなのを、持ち前の端正な顔立ちで隠し、フィーア・四条(ふぃーあ・しじょう)の肩に手を置く。

「この世の極楽が、ニルヴァーナの灼熱の、ともすれば地獄に見える地の底にあるとは……フィーア、キミのダークサイズ加入。私は全力で支持するよ」

 フィーアもヴァルトルートに同意して、

「でしょ。特に拠点設営に回ったのは、大正解だね」

 と、彼女は隠さずにんまり笑う。
 商業地域には、現在の時点で唯一の水源がある場所だ。
 遺跡のモンスター『草津』の尻尾が地面に突き刺さり、その先からは地中から引っ張り上げた水があふれて来ている。
 なにはともあれ、この暑い地下遺跡には、汗を流す施設がまず必要だろうと、レティシアとミスティ、彼女が誘ったネネ、安定の水着姿のセレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)セレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)、さらに、

「遅くなりました!」

 ネネとレキも集まってくる。

「ああーんモモちゃん、遅かったですねぇ〜」
「れ、レティさん抱きつかないでください! 私、汗がすごくて」
「おや〜? いつもと拒否の口実が違いますねぇ。調教は順調ですねぇ〜」
(女の園……!)

 ヴァルトルートにとっては、これこそこの世の天国。
 厳密に言うと、水を汲みに来た天音とブルーズがいるが、彼女の中には男二人は存在しないことになっている。
 セレンフィリティがパンパンと手を叩いて言う。

「さ、とにかく穴掘って水引きこんで、温泉とっとと作っちゃいましょ」
「でもみなさん? 穴を掘る道具はございますの?」

 ネネがぽつりと発言する。

『……えーと……ね……』

 周りを見ると、全女子(天音とブルーズを含めても)は土建、特に穴掘りができる者がいない。

「そ、そうね……あ。あたしこれがあるわ」

 セレンフィリティが【機晶爆弾】を手に持つ。
 レキは【ペンギンアヴァターラ・ロケット】を出して、

「これ、地面に向かって撃ってみる?」

 さらにフィーアが【零式戦闘飛行脚・改】、ヴァルトルートが【小型飛空艇アルバトロス】で、

「これ墜落させたら、いい感じの穴が開く、かも」

 などと、完全なる素人集団と化している。

「温泉作る時ってこんな感じだっけ?」
「んー、そうなんじゃない?」
「この辺狙って、みんなで撃ってみようよ」
「あーあ。か弱い女の子だけでこんな重労働なんて」
「男って肝心な時にいないわよねー」
「そうよねー。男ってダメねー」

 と、女子が集まるとキャラがいつもと変わって姦しい。

「さ、ブルーズ。水も手に入ったし、戻ろうか」
「助けないのか……」

 天音、危うきに近寄らず。
 彼らと入れ替わりに、またクマチャンが登場する。

『俺にいいいい! 任せとけええええ!』

 クマチャンがクマ・クローの鋭さを頼りに、ガンガン露天風呂を作りだす。



☆★☆★☆



 そんな中、リニア組立班がフレイムタン・オアシスから帰還してきた。
 早速ローズの休憩所と天音のバーがフル稼働し、翡翠のおにぎりも配られる。

「さあ、温かいうちにどうぞ」

 ベアトリーチェはパラミタチキンのオレンジソース煮を手渡しで配り、

「さーさー、エニグマニルヴァーナ出張所開店だよー」

 椎名も忙しそうだ。

「そういえば、戻って来ても暑いのに変わりはないんだったわ……」

 イリスは冷気の収まった『亀川』にしがみついて、ため息をつく。
 笠置 生駒(かさぎ・いこま)は早速腕をまくり、

「ふー。戻ってくるとフレイムタンより全然マシだなー。おし、やるぞー」

 と、リニア作成にやる気満々で臨む。
 合金材はどれも真物で綺麗な直線だが、一つだけいびつな合金材が紛れ込んでいる。

(ふっふっふ……誰も気づかないようだな、俺の完璧な変装に!)

 何故その作戦を選んだのか分からない。
 どうしてそうなったのか本当に分からないが、七篠 類(ななしの・たぐい)は全身を銀色ベースのメタリックな寝袋に入れ、顔も銀色に塗りたくって、合金材のフリをして転がっていた。

(ダイソウトウめ。リニアモーターカーを作るだと? ダークサイズにニルヴァーナの交通を握らせてなるものか! そんなことを許せば、本当にダークサイズがニルヴァーナ征服を叶えてしまうかもしれない! 俺は止める! 絶対に!)

 という彼の思いは立派だが、ここから先がいけない。

(どうやって止めるか……いや、ここは発想の転換だ。リニアは作らせてしまえばいい。ただし、リニアは俺が支配する! 俺がリニアそのものになって、ダークサイズに使わせなければいいんだ。リニア=俺、俺=リニア! これだああああ!)

 というわけで、部品になって自分をリニアに組み込ませてしまおうという、不可思議極まりない作戦を実行する類。
 いまだにツッコミが一つも入らないあたり、本当に誰も気づいてないのだろうか……

 このダークサイズ特製リニアモーターカーは、フレイムたんとの反応で発生する『亀川』の冷気を使って、コイルに超電導を発生させ、それが浮力を生む、というシステム。
 コイルをリニア車体の底に当たる部分に固定し、その上に『亀川』が配置できるようにする。
 その近くにはフレイムたんを置く台座をつけ、その台座を動かすことで『亀川』の冷気の具合を調整すると、超電導の強さが変わり、速度調整ができるだろう、という設計である。
 生駒はイレイザーから発掘したコイルと、マグマイレイザーから発掘した超耐熱合金の素材を見て、早速頭を悩ませる。

「……台座がないじゃん……」

 発掘した超耐熱合金は、どれも棒状パイプ状のもので、残念ながら板状のものがない。

「枠は作れる、マグマイレイザーの皮膚で、車体の外壁は何とかなる……『亀川』とフレイムたんの台座だけは、超耐熱合金素材じゃないと、到底もたないな……」
「フハハハハ! 『亀川』の台座もマグマイレイザーの皮膚を使えばよいではないか」

 ハデスは自信ありげに提案するが、

「いや、超電導が発生する時の『亀川』の周辺温度は、絶対零度に近いんですよ? 有機物じゃあっという間におじゃんですよ〜」
「フハハフフうぅぅ〜む……」

 生駒に言われて、自称天才科学者も、材料不足は笑い飛ばせない。

「それに、舵がねえんじゃねえか? これじゃ直進するだけで溶岩にダイブだぜ」

 優希と一緒に、リニア組立に顔を出しているアレクセイ・ヴァングライド(あれくせい・う゛ぁんぐらいど)
 彼もニルヴァーナに輸送手段を作ろうとするのには賛成のようで、一緒に腕を組んで考えている。
 イリスがふと思い出し、

「そういえば、トマスたちが線路を作るって言ってたけど?」
「あー、それがねー……」

 トマスが頭を掻きながらイリスの隣に来て、

「オアシスの行きしなに測量はしてみたんだけど……合金の量がこれだけじゃ、足りないなぁ。それこそ公共事業でもするくらいの予算と資材が必要だねぇ」

 と、こう見るとコイルと合金材とマグマイレイザーの皮では、色んなものが足りない。

「となると……他にもマグマイレイザーがいて、そいつの中に合金板があるってことか……」
「うわー、そりゃまた御都合的な……」
「フレイムタン・オアシスに使えそうなものあったのかも……」
「でもあそこは、そのまんま使えそうな雰囲気がしたからな……施設崩して拝借するのはどうも……」

 生駒は現状やれることは、と頭を回転させ、

「とりあえず、リニアの枠と外郭だけはなんとかなりそうですね。『亀川』とフレイムたんの台座は最終的に組み込むとして……」

 と、超耐熱合金の合金材を並べてみる。
 白夜がそれを見て、

「ふうむ。現在の量じゃと、列車とはいかぬのう。運転車両くらいの大きさと見ておいた方がよさそうじゃ」
「えー? レーダーは? ロボットみたいな変形はー?」
「気持ちは分からぬでもないがクラウン、まずは基本形で作るしかないのう」
「えー? 自爆スイッチはー?」
「じば、何を言っておるのじゃ……」

 と、クラウンにツッコむ白夜だが、生駒がニコリと笑い、

「これ、ですね?」

 と、自爆ボタンを見せる。
 クラウンの瞳がきらきら光る。

「やたー! 自爆―!」
「何を喜んでおるのじゃ、全く」
「決まってるじゃん! 悪の秘密結社の乗り物といえば」
『自爆でしょ!』

 クラウンと共に暑い眼差しの生駒に、

「そ、そうなのか……」

 と、白夜が気押される形になる。

「ところで、冷気と熱の排気はどうしますか? パイプ状のものがあるので、上手く配管すればルートは作れると思いますが……」

 と、優希が議題をあげる。
 それにはイリスが反応し、

「え? せっかくの冷気よ? 外に出すなんてもったいないわ。空調とか……フレイムたんの熱でお風呂とか、搭載できないかしら」
「けどよ……」

 と、アレクセイが口を挟み、

「あの温度差の気圧変化は生半可じゃねーぜ? 今まで外で反応してたからいいものの、密室でアレやられたら、中はとんでもねー暴風になると思うけどな。パイプに穴開けて、いくらか空調に回すのはアリだけどよ」
「そうね……じゃあどこから外に逃がすのがいいかしら?」
「私は、側面に逃がすのがいいと思います。弁をつければ風圧で方向転換につかえるかも。これならレールがなくても走行できますね」
「ふうん。それなら、底面に逃がすのはどう? どこかにそういうのがあった気が……」

 イリスの意見を聞いて、生駒が手を叩く。

「それ、イギリスのリニアですね。クラックト・ホバークラフト、だったかな?」
「そう、それよそれ。コイル一つより、ホバーのフォローがあれば、揺れが少ないと思うの」
「側面か底面か、どっちかに絞らねーとだな。両立できるほどのパワーはねーと思うぜ」
「いいですね! じゃあ、実験!……が……」
『できないんだよなぁ……』

 部品不足で実験すらままならない。
 ここで、生駒が閃く。

「そうだ! 一つだけ少し平べった合金材があったんだ。アレで実験しましょう」
(えっ……?)

 類がピクリとする。
 生駒が段取りの説明をする。

「合金材で枠を作り、それをマグマイレイザーの皮膚で覆い、車内環境を再現します。で、この合金材を二つに切って」
(えっ)
「『亀川』とフレイムたんを乗せて」
(えっ)
「車内に入れて距離感を測りながら、反応と風力を測りましょう」
(ええええええ)

 イリスが合金材(類)を引っ張り出し、

「クラウン、とりあえず二つに切ってちょうだい」
「はーい。合金材って堅いかなー。【レジェンダリーソード】で切れるかなー」
「ご! ごめんなさーいっ!!」

 クラウンが【レジェンダリーソード】を振り上げたところで、ついに類が音を上げる。
 同時に全員が、

『ちっ……』

 と舌打ちし、イリスがさらに閃く。

「そうそう、トマス。線路に使えそうな合金材があったわよ。少しいびつだから、溶かして鋳造しなおしたほうがいいんじゃない?」
「へー、いいのかい? 助かるよ。こいつをもとに分析すれば、鉱物を集めて量産できるかもしれないね。みんなー、材料が手に入ったぞー!」

 トマスの声に、子敬とテノーリオとミカエラが集まってくる。

「おお、素晴らしい」
「これであの複雑なレールもばっちりだぜ」
「鋳造? そんなもの、溶岩を使えばお手の物よ」
『わーっしょい、わーっしょい』
「うおおおい! ごめんなさいってばー!」

 トマスたちは、しゃべる合金材を胴上げしながら去って行った。
 ダークサイズはパラミタ大陸征服を目論む悪の秘密結社である。
 作戦を一つ間違えれば、悪の幹部達が容赦なく叩きのめすだろう。
 正義の戦士たちは、心してダークサイズと戦わねばならないのだ。
 生駒達は類で遊んでちょっと気を紛らわせたものの、実験ができない現状は変わらない。
 煮詰まった雰囲気を変えようと、ジョージ・ピテクス(じょーじ・ぴてくす)が口を挟む。

「ところで一つお聞きしたいのじゃが……このリニアと拠点の名称はどうされますかの? 『リニア』『遺跡の拠点』『フレイムタン・オアシス』じゃと、どうも味気ないんじゃがのう。この議題で頭を柔軟にしようではないか」
「そうだ、その問題もあったな」
「あれ。うわぁ、ダイソウトウいないじゃん……」
「それも決められないな……」
「うわぁ……」
「……」

 組立班は完全に沈黙。

「仕方ない。どの道食料の運搬もあるし、フレイムタン・オアシスに戻れる人は戻ろう。別のマグマイレイザーを見つけて、その体内に期待するしかない」

 という結論に落ち着いた。

 ロア・ドゥーエ(ろあ・どぅーえ)は、レヴィシュタール・グランマイア(れびしゅたーる・ぐらんまいあ)に【奈落の鉄鎖】で縛られたまま、眠るグラキエスの顔を見て愕然としている。

「な……グラキエス……何故だ! 自分の属性も顧みず、何故こんな無茶を! どうして俺の到着を待たなかった!? まぁ、遅れた俺が悪いんだけれども!」

 ロア本人の言葉通り、グラキエスがダークサイズと行動を共にしていると聞いて、今しがた遺跡に到着したロアとレヴィシュタール。

「くっ、おいレヴィ。この鎖を解け。グラキエスの看病をする」
「ならぬ。これを解いたとたん、看病どころか食いついて血を吸うのは目に見えておる」

 ロアは、グラキエスを可愛がりながらも、時々つい血を吸っちゃうらしい。

「何言ってる! グラキエスがこんな状態で、俺がそんなむごいことをするわけないだろう」
「ふむ……それもそうか……では、解いてやろう」
「ま、看病の流れで牙が食いこんで、結果的に血を吸ってしまう事故があるかもしれないけど」
「前言撤回だ」

 レヴィシュタールは【奈落の鉄鎖】に【氷術】を加えて、ロアの拘束をがちがちに固める。

「待て待て! 死んじまうだろ!」

 そんなロアの騒ぎにグラキエスは目を覚まし、またフレイムタン・オアシスへ向かおうと身体を起こす。
 そして例によって、ゴルガイスたちが反対しながらもグラキエスの気持ちを優先する。
 ロアは、グラキエスが何としても戦おうとする瞳に、

「グラキエス……お前、どうしてそこまでして戦うんだ? あの奥には一体何があるって言うんだ……」

 と、驚愕を隠さない。
 そんなロアの疑問には、ウルディカが静かにフレイムタンの方向を指さす。
 ロアは、再度フレイムタンに進もうとするダークサイズを見て、

「なるほど……自分の目で確かめろってか。よし、グラキエスにくたばられても困る。俺も行くぜ……!」

 ロアはレヴィシュタールに縛られたまま、ダークサイズを追いかけた。



☆★☆★☆



 フレイムタンの入口周辺では、リニア組立班の一時帰還、補給、再出発が行われているころ、商業地域の水源周辺には、形ばかりではあるが温泉(というより公衆浴場に近いが)ができあがる。
 ただでさえ暑いのに、女の子たちはすっかり汗まみれで、もはや我慢ならぬと地熱で人肌程度に温まったお湯につかりだす。
 男の気配がないのも手伝って、特に身体を隠す必要はない。

「意外だ……いや、予想どおりかな。キミのキメの細かい肌、とても撫でがいがあるね……」
「ひぃ、ちょ、あの、背中はやめ……」

 ヴァルトルートが、モモの背筋を指でなぞる。

「目の下には少し疲れが見えているね……さあ、私の胸で眠るといいよ」

 モモの顔を、ヴァルトルートは自分の胸にうずめさせる。
 そしてレティシアが、

「ちょぉーっと! モモちゃんにちょっかい出されては困りますねぇ!」

 と、何とかヴァルトルートを引きはがそうと後ろから羽交い絞めにする。

「モモさん、最近すっかりモテモテですわね。わたくし、ジェラシーですわ」

 と、一方のネネはフィーアを抱いて湯につかっている。
 フィーアはネネの胸に身体を預けながら、

「うはぁ〜。苦しゅうない。苦しゅうないぞ〜」

 と、ご満悦。
 湯船のすぐ脇ではセレンフィリティが、

「ひと仕事の後のデッキチェアは格別ね……」

 などと、まるでビーチかプールにいるようなくつろぎ方。

「ちょっと待ってセレン、ていうかみんな!」

 と、すっかりリラックスする面々には、セレアナが注意し始める。

「私たち、まだ温泉しか作ってないわよ。ていうかほとんどクマチャンが穴掘ってたけど。セレン? あなた要塞化に保管庫とか会議室とかオペレーションルームとか、あと地熱発電もしたいって言ってたわよね?」
「慌てない慌てない。一休み一休み」
「どこぞのお坊さんみたいなこと言ってないで。やることやってから温泉使うべきじゃない?」
「だめよー、セレアナ。気張って一気に全部やろうったっていいものはできないわ。要所要所で体力温存するのも、あたしたち幹部の務めじゃない」
「疲れるほど働いてないじゃない……」
「何言ってるの。ここはニルヴァーナよ? もしイレイザーが不意打ちでもしてきたらどうするの? 疲れきってるあたしたちに、太刀打ちできて?」
「……」

 こうなりゃ話なんて聞きやしない。
 セレアナはとっとと諦めて、自分もデッキチェアで眠ることにする。

きゅぴん

 セレアナが眠り込んだ直後、セレンフィリティの瞳が輝く。
 セレンフィリティはフィーアを抱くネネの元へ。

「ネネ。セクスィー☆ダイナマイツ、お仕事の時間よ」
「あら、セレアナさんは眠ってしまいましたのに」
「フッ……それが今日の狙いというもの……!」

 と、カメラを取り出し、

「ネネ、あたしたちセクスィー☆ダイナマイツ、お色気要員だけがアイデンティティじゃなくってよ! ダークサイズもお金がかかるんだから、資金面でもバックアップしなくちゃね」
「というと?」
「あたしたちにできることといったら……『セクスィー☆ダイナマイツ・グラビア写真集』に決まってるでしょ? 撮れ高が全然足りないわ。特にセレアナの分がね」

 というわけで、セクスィー☆ダイナマイツのグラビア写真集の撮影会開始。

「いいわ……いいわよセレアナ」
「うぅん……んん……」
「あぁ、その寝がえり、最高ですわよ、セレアナさん……」

 全裸のセレアナを、全裸のセレンフィリティとネネが撮影している。

「いっけない! これじゃ18禁になっちゃうよ。隠す所は隠さなくっちゃ」

 と、全裸のレキがセレアナの要所要所を隠してみる。
 レキ本人(全裸)が写り込んでいるだけなので、修正としての意味はほとんどない。

「……どいつもこいつも上玉だぜ……どいつから我が毒牙にかけてくれようか……」

 ヴァルトルートは、興奮しきって言葉遣いがおかしくなっている。

「モモちゃぁん。あちきたちも若い肉体を永遠に記録に残さないと、もったいないですねぇ〜」

 レティシアはモモの開発に余念がない。
 ミスティは一人離れて普通にお湯につかる。

「ふぅ、安らぐわ……たまには一人で落ち着くのも悪くないわね。あ、サウナも作りたいから考えておかなくちゃ……」

 遠くからミスティに助けを求める嬌声が響くが、今日のミスティには聞こえない。
 そんなこんなで、当然セレアナはこの騒ぎに目を覚まし、

「何やってんだああああ!」

 と、【鳳凰の拳】。

「ったく、女ってのはしょうがねえなぁ。おかげで湯船から出られねぇぜ。色んな意味でな……!」
「てめー、いつからそこにいたああああ!」
「ヤッダァバアアァァァ!!」

 と、総司は全裸で吹っ飛ばされていった。