シャンバラ教導団

リアクション

　
　　　　　〜２〜


「ぶぅえっくしょ！　ぶえっくしょ！」
　むきプリ君は、自分のくしゃみと共に目を覚ました。ホレグスリの効果はすっかり消えている。勿論、すっぱだかだ。そして、どうやら風邪を引いてしまったようだ。まあ、この時期の夜はまだまだ冷えるので無理も無いことと言える。
「ん？　何故俺はこんな所で裸なんだ？　ずずず……」
　鼻水をすすって周りを見回す。そこは丈の長い草の藪の中。近くにはやはりすっぱだかの秘伝　『闘神の書』（ひでん・とうじんのしょ）が尻を表に爆睡していて。
　これはどういう状況だろう。昨日の夜、何があった？　何故裸？　ボコられて復活して花見に誘われて、酒を飲んで……飲んで……？
　ぼんやりと記憶が蘇ってくる。本当にぼんやりとだが。
「…………！！！！！！！！　俺は、俺は……！　俺自ら、男に…………！！？」
　今まではヤられていた訳だが、３度目にして、ついにヤってしまったのか……！！？　とパニックになってナニをぶらさげたまま藪を出る。敷きっぱなしのシートの上にはラルク・クローディス（らるく・くろーでぃす）が寝入っていて。
「お、おい……！　起きろ！　起きてくれ！」
「あー……？　何だ、どーした？　むきプリ」
「お、お前、昨日のこと覚えてるか！？　俺達はどうして裸なんだ！　何があった！！！」
　何も無かった、と言って欲しくてもう必死だ。だが、ラルクは「んー？」と首を傾げ……暫くして、言った。
「いや、覚えてねえなあ……飲み過ぎたか？」
　そこで、起き出した闘神も藪の中から出てくる。夜の件にホレグスリが絡んでいると知らない闘神は――
「おうむきプリ！　昨日は告白嬉しかったぜぃ！　これからパートナーとしてもよろしくでぃ！」
　――完全にうきうき恋人気分であった。
「…………告白、だと……？」
　やはり、ぼんやりと残っている記憶は夢ではなく――――真実のようだ。
「ま、待て、俺は男とは……！　そ、そうだあれは、あの酒の味はホレ……」
「きゃーーーーーーーーーー！　痴漢！　変態！！！！！」
　だが、その言葉は公園に犬の散歩に来た善良なる女性の叫びによってかき消された。
「おっと！　服を探さなきゃな！　風に飛ばされたみたいだぜ！」
　ラルクが言ってそれぞれに服を探しに行き、むきプリ君はそのどさくさにまぎれて公園から逃げた。それは同時に、誤解を解くのを放棄したとも言えるがそこまで頭が回らず――
　公園から出たところでしょっぴかれ、留置場にて再び現実を思い出して叫んだのはまた別の話――

　なのか？




　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ＥＮＤ）