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新ジェイダス杯第1回

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新ジェイダス杯第1回

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『さあ、気を取り直しまして、エントリーナンバー15、神代 明日香(かみしろ・あすか)選手は、エターナルコメットでの参加です。イルミンスール魔法学校の指定水着を着用です』
 緋山政敏を華麗にスルーしたシャレード・ムーンが、選手紹介を続けた。
水着を着ていますが、泳げないので、沈まないように頑張りますぅ」
 ちょっと不安気に、神代明日香が言った。
 
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『続いては、エントリーナンバー16、天城 一輝(あまぎ・いっき)選手です。なんでも、飛空艇同好会を主催しているそうで、是が非でも優勝して飛空艇をアピールしたいそうです。海パン一丁の姿が凛々しいです』
 希望道理コミュニティを紹介してもらった天城一輝が、真っ赤に塗装した小型飛空艇ヴォルケーノを前にして満足そうにうなずいた。海上レースと言うことで、いつ濡れてもいいように水着姿だ。
 
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『続いては、エントリーナンバー17、薔薇の学舎の大久保 泰輔(おおくぼ・たいすけ)選手とフランツ・シューベルト(ふらんつ・しゅーべると)選手です。乗っているのは……ええっと、ちょっとお待ちください。はい……。はい……。そうですか。エントリーは、黒船で行われていたのですが、黒船は浦賀からの出港許可が出なかったそうです。そのため、大久保泰輔選手の所有する小型飛空艇オイレでの参加に変更されます』
「なんやねん。使わせてくれてもいいやんか。せっかく、ジェイダス様に黒船の美しい姿を披露できると思っとったんに」
「まあ、仕方ないですね。ただでさえ、浦賀からここまでは結構距離がありますし……」
 大久保泰輔をなだめながら、フランツ・シューベルトが残念そうに言った。
 
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『続いては、エントリーナンバー18、空飛ぶ円盤セントリフューガで参加の、師王 アスカ(しおう・あすか)選手です』
「ジェイダス様、優勝を目指して頑張りまあす。私の飛行技術をどうか御覧くださあい!」
 ちょっと緊張で強張った顔になりながらも、師王アスカがジェイダス・観世院にアピールした。
 
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『続いては、エントリーナンバー19、小型飛空艇で参加の綺雲 菜織(あやくも・なおり)選手と彩音・サテライト(あやね・さてらいと)選手です』
「頑張って、政敏を追っかけます。政敏は私の婿です」
「ちょ、ちょっと、何を言っているんです!」
 綺雲菜織の言葉に、大あわてでカチェア・ニムロッドが乱入してきた。
「じゃあ、こうしようじゃないか。このレースで先にゴールした方が、今晩、政敏と一緒に夕食をとる」
「ば、バカなことを言わないでください! 今日は、私が夕食を作りに行くんです。いいでしょう、受けてたちます!」
 売り言葉に買い言葉で、カチェア・ニムロッドが綺雲菜織に言い返した。
『ええっと、なんだか、別な戦いが始まっているようですが。こちらの推移も楽しみに御観覧ください』
 収拾がつかなくなる前に、シャレード・ムーンが締めて次の選手の紹介に移る。
「ええっと、俺は蚊帳の外ですか、そうですか……」
 いったいどうしろと言うんだと、緋山政敏が頭をかかえた。よしよしと、彩音・サテライトが上に飛びあがって緋山政敏の頭をなでる。
 
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『続いては、エントリーナンバー20、笹野 朔夜(ささの・さくや)選手です。なんと、無謀にも千里走りの術で水上を走ると言うことです。誰かと同じような気もしますが、触れないでおきましょう。はたして、完走できるのでしょうか?』
『――というふうに言われていますが、俺もそのとおりだと思いますよ』
 笹野 桜(ささの・さくら)に憑依されている笹野朔夜が、頭の中で意志を伝えた。
「ふっ、いけますよ」
 心配げな笹野朔夜とは対照的に、笹野桜は自信満々だ。
『――いや、俺の身体の体力が……』
「重ね言葉ですか。まさか、持たないなんて言いませんよね。それに、私は身体を動かすのが好きなんです」
『――はあ』
 なぜかジェイダス杯のポスターが家にあったときから今日のことは予測すべきだったと、笹野朔夜が溜め息をついた。いずれにしろ、笹野桜が離れてくれない以上、頑張って走るしかない。せめて溺れないように頑張ろう。
 
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『続いては、エントリーナンバー21、リース・エンデルフィア(りーす・えんでるふぃあ)選手です』
「頑張って、お師匠様を守り抜いて見せます!」
 これまた、何やらレース以外の目的を声高に叫ぶリース・エンデルフィアであった。その手には、空飛ぶ箒スパロウがしっかと握られている。
 
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『さて、最後の選手となりました。エントリーナンバー22、アガレス・アンドレアルフス(あがれす・あんどれあるふす)選手です』
 シャレード・ムーンに紹介されて、小型飛空艇の上に立つアガレス・アンドレアルフスの姿がスクリーンに映し出された。だが、何やら映像の縮尺がおかしい。観客の何人かが、錯覚かと目をこすった。
 実際問題として、光術でピカピカに輝いているように見せた剣を掲げたアガレス・アンドレアルフスの大きさは、ずいぶんとちっちゃかった。
「わあ、凛々しいなぁ〜」
 観客席で観戦していたセリーナ・ペクテイリス(せりーな・ぺくていりす)がパチパチと手を叩く。
「じいさん無理しなきゃいいがなあ。まあ、リースがいれば大丈夫……かな?」
 セリーナ・ペクテイリスのおつきとしてやってきていたナディム・ガーランド(なでぃむ・がーらんど)が、ちょっと心配そうに言った。
「リースよ、ボディーガードの修行として、みごと我が輩をゴールまで導いてみせよっ!」
「はい、お師匠様!」
 剣を掲げてポーズをとったアガレス・アンドレアルフスに言われて、リース・エンデルフィアが力強く答えた。