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リアクション
ヴァイシャリー湖豪華クルージング・6
師王 アスカ(しおう・あすか)は、
以前のように、ジェイダス・観世院(じぇいだす・かんぜいん)をダンスに誘った。
「かまわないよ」
「えへへーありがとうございます」
外見が若くなったジェイダスは、
身長が155センチと、アスカと変わらなくなっている。
(ジェイダス様の瞳がすぐ近くで見れてラッキーな感じ♪)
ジェイダスの紅い瞳を見つめて、
アスカは、将来、肖像画を書く時のための観察をする。
「ずいぶんと見つめてくれていたね?」
「わー、恥ずかしいです。
でも、早く皆に認められるようなパラミタ一の画家になって、
ジェイダス様のことを描きたくてしかたないです」
アスカは、正直に、自分の気持ちを伝えた。
「美の追求をすることは素晴らしいことだ。
精進を怠ってはならないよ」
「はい、ジェイダス様!」
芸術に関する話題に、ジェイダスも真剣なまなざしになる。
(やっぱり、ジェイダス様の瞳、すごくきれい……)
アスカは、ジェイダスにまたもみとれていた。
「あ、そうだ、乾杯しましょう!」
アスカが、ノンアルコールのシャンパンを用意する。
(私、お酒飲むと抱きつき魔になるのよねー)
うっかりジェイダスに粗相のないようにと、
アスカは配慮していたのだった。
「乾杯。美の追求に」
ジェイダスとアスカがグラスを合わせる。
「ジェイダス様、
シャンパンの口休めに今日持ってきたクッキーは如何ですか?」
「これは?」
「『マナ』っていう名前で天国のお菓子って言われるんです。
旧約聖書に出てくる天から降ってきた食べ物が由来とか……。
仲間に教えて貰って作ってみましたぁ」
ちょっと不揃いなクッキーに、アスカが慌てて言い添える。
「ちょっと形が歪で美しくないですけど、
ふわふわ感は成功してるので保証済みですっ」
ジェイダスが、クッキーを口に含む。
「なるほど。たしかに独特の食感だ」
「絵や彫刻はうまくいくのに料理は中々……。
飴細工なら得意なのにな〜、如何せん奥が深いですジェイダス様。
今度は会える機会があったら完璧なマナを届けますねぇ」
「ふふ、期待しているよ」
ジェイダスは妖艶に微笑んだ。
「あ、そうだ、
後、またいい絵が描けたらお誘いしていいですかぁ?
ジェイダス様の評価が聞きたいです!」
アスカが、ぽん、と手を打って言う。
「しがない画家のわがままですが、心に留めてくれたら嬉しいな〜って」
ジェイダスは、穏やかに笑むと、
自分を子犬のような瞳で見つめるアスカに言った。
「今日は、楽しい時間をありがとう。
また機会があれば、一緒に楽しもう」
「はい、ジェイダス様!」
アスカは、良い作品を描こう、腕を磨こうと、決意を新たにしたのだった。
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