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薔薇色メリークリスマス!

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薔薇色メリークリスマス!
薔薇色メリークリスマス! 薔薇色メリークリスマス!

リアクション

 次のグループは、奇遇なことに、全員が今回の給仕担当ばかりだ。
「気に入ってもらえると、いいんだけどねぇ」
 清泉 北都(いずみ・ほくと)が用意したのは、イコン【ファーリス】のイコプラだった。尋人にはオレンジ、ザイン・ミネラウバ(ざいん・みねらうば)にはインディゴの色を選んだ。
「ありがとう。大事にするよ」
 微笑んで受け取った尋人からのプレゼントは、馬の蹄鉄だった。
「蹄鉄?」
 ザインが不思議そうな顔をする。
「ドアにかけておくと、魔除けになるんだ」
 それは、タシガン市街の骨董屋で探してきたものだ。とはいえ、自分でも、プレゼントのセンスに自信などない。尋人にとってはすごく御利益があるものだが、微妙だったろうか。
「どう、かな?」
「尋人さんらしいプレゼントだねぇ」
 北都は微笑み、「ありがとう」と続ける。ザインも「寮の部屋にかけておくぜ」と言い、尋人はほっと胸をなで下ろした。
 最後に、ザインからの贈り物が渡される。入っていたのは、キャンドルホルダーのセットだ。
 くぼんだ部分にキャンドルを置き、火をつけると、それによって生まれる上昇気流で羽部分が回る仕組みになっている。羽根部分には、雪の結晶とトナカイのオーナメントが下がっていた。
「オーナメントから下がってる細い金属棒がベルに当たってくから、回るとリンリンと音がする仕組みってわけ。ま、季節ものの雑貨だな」
「ザインが選んだにしちゃ、可愛いな」
 ザインの背後から、リア・レオニス(りあ・れおにす)がそう呟く。
「……オレが可愛い系用意したらそんなにオカシイかよっ」
「いや、そういうわけじゃないけど」
 ついつい正直な本音が口をついてでただけだ。そんな二人に笑いかけ、北都と尋人は「ありがとう」とプレゼントを受け取った。


「私のお相手は、レモレモ?」
「はい! よろしくお願いします」
 師王 アスカ(しおう・あすか)とレモが向かい合い、プレゼントを交互に差し出した。
「可愛い! ……これ、手作りですか?」
「そうよ〜。気に入ってくれてよかったわぁ」
 プレゼントは、合皮レザーでできたブックカバーだった。色居合いは、アンティーク風のキャラメルブラウンで、そこにテディベアの模様が焼きごてで入っている。背の部分には赤いリボンが、しおり用につけられていた。
 手先が器用なアスカらしく、丁寧に仕上げられたそれは、確認しなければ手作りとはとても気づかないレベルだ。
 男性にあげることになったら、少し可愛すぎるかなとも思ったが、相手がレモならば問題ないだろう。
 レモからのプレゼントは、リースだった。ドライフラワーや木の実、松かさなどをふんだんに使った、可愛らしいものだ。
「ごめんなさい。僕、不器用だから、手作りとかじゃないんですけど……」
 申し訳なさそうに目を伏せるレモに、アスカは笑って、
「いいのよぉ。ありがとう、帰ったら飾るわ〜」
 その言葉にほっとしたように、レモも微笑んだ。
「僕も、たくさん本を読んで、もっと勉強しますね」
「メリークリスマス、レモレモ。今日は、ご招待本当にありがとう〜♪」
「こちらこそ! 来てくださって、ありがとうございます。メリークリスマス!」
 二人はそう言い交わし、プレゼント交換を終えた。
「あ、あの〜」
 アスカはもう一つ、荷物に忍ばせていたプレゼントを手に、サンタ帽姿のジェイダスに小走りに近寄った。
「これは、ジェイダス様に〜。メリークリスマス♪」
 プレゼント交換用とは別に用意していたのは、レザーブレスレットだ。ブックカバーを作った合皮レザーと同じものに、薔薇の小さな焼きごてで模様を刻印したデザインで、シンプルながら可愛らしい。
(余った生地から作ってみたなんて知ったら、ジェイダス様呆れるかしらぁ? でも、使えるものをすぐ捨てちゃうともったいないオバケが出るからその辺りは勘弁して下さいね〜)
 アスカは内心でそう思いながら、ジェイダスの反応を待った。
「ありがとう。使わせてもらおう」
 ジェイダスはそう言うと、ラドゥにブレスを渡して、細い手首を差し出す。どうやら、つけろということらしい。
「仕方がないな」
 そう言いつつも、かいがいしくラドゥはジェイダスにレザーブレスをつけてやる。
「……どうだ?」
 似合うか? とアスカに見せるジェイダスに、「お似合いです〜!」とアスカは両手をあわせて喜んだ。
「メリークリスマス」
 ジェイダスは微笑むと、胸に飾っていた赤薔薇を一輪、アスカへの返礼として手渡したのだった。