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レターズ・オブ・バレンタイン

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レターズ・オブ・バレンタイン
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リアクション

30)

空京のショッピングモールにて。
バレンタインの装飾で、ハートやカードなどが飾りつけられた、映画館。
涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)は、
妻のミリア・フォレスト(みりあ・ふぉれすと)を誘い、
『懐かしの恋愛映画』という特別上映を観に来ていたのだった。

「こうやって二人で映画館で映画を見るのは初めてかもしれませんね」
「ええ、今日は、昔、地球で上映された映画を観るんでしょう?」
「ああ、そうですよ。
何せ、25年前の映画だから、
私の両親が私と同じ歳くらいの時の映画だね」
「どんな内容なんですか?」
「え〜と、確か内容はインターネットで知り合った名前も知らない男女が
メールのやり取りをしながらお互いに惹かれ合っていく……」
その時、開場を告げるアナウンスが流れた。
「そろそろ始まるようですね。では、行きましょうか」
「ええ」
涼介はミリアの手を取り、
チケットをもぎりの係の人に渡して、
シアターへと入っていった。

後方の、スクリーンのよく見える、ゆったりとした席。
2人で並んで腰掛ける。

「なんだか、ドキドキしますね」
「ふふ、そうだね。やっぱり映画館で見る映画はまた格別だからね」
やがて、予告編が終わり、会場がいっそう暗くなる。

ロマンチックな映画を観ながら、自然と、2人は肩を寄せ合い、
手を握り合った。
「今では当たり前に出来るようになったメールにそれがきっかけの恋愛だけど、
この映画が公開された当時はそうでもなかったからね」
「そうね。なんだか新鮮です」
「でも、この映画で一番言いたかった事って
『一番大切な人は意外と近くにいる』ってことじゃないかな」
そう、小さな声で告げた涼介に、
ミリアはうなずいた。
「ええ。大切な人は、いつだって、すぐ近くにいるものなんですよね」

やがて、映画はクライマックスに差し掛かる。
涼介とミリアは、映画館の暗がりにまぎれて、
そっと、キスを交わしたのだった。