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種もみ女学院血風録

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種もみ女学院血風録

リアクション

「あーあ、化粧が台無しだ。醜すぎる……くくく、ははははは……はあ、はあ。笑うのも疲れるな」
 休憩中、鏡で自分の顔を見ながらレディースのパラ実生が笑い声を上げた。
「寒くありませんか? 私の上衣でよろしければお貸しできますよ」
 そう声をかけたのは瑠奈だ。
「いやいい。またすぐ訓練に戻るしね。あんたら、お嬢様なくせに結構な訓練してんだなー」
「それを言うのなら、そちらだって。素敵なお洋服を来ていましたよね」
 そのパラ実の女生徒は、ドレスを纏い綺麗なストールを首に巻き、パンプスを履いていた。
「パーティ用のドレスみたいで可愛いかったです。ちゃんとお預かりしてるので、心配しないでくださいね」
 葵がタオルと飲み物を配っていく。
「あたしヴァイシャリーでキャバ嬢やってんだよ。百合園のお嬢さん達がくるっていうんで、仕事着で着てみたらさ、あんたらの方が洒落っ気のない服装で驚いた」
「ふふ、お祭りやパーティに訪れたわけではないですから。百合園に訪れる時には、あのような格好で来てくだされば違和感なく……あっ、無断侵入は困りますけど」
「しないよ。百合女の子にこっちに来てもらうことが目的だし。ああ、そういえば、よく指名してくれるイケメンボンボンでさ、白百合団の熱烈なファンがいるんだ。あの服も実は彼からのプレゼントなんだよね」
 瑠奈とその女性は、少しの間ドレスの話や、キャバクラに訪れる貴族についての会話を楽しんだ。
 今度ドレスを見せ合おうとか、良い店、いい人紹介するよーとか、軽くそんな話も。
「可愛い服装でも動きやすい服ありますよ♪」
 疲れ顔ながらも微笑む葵。来ているのは魔法少女コスチュームだ。
「魔法少女か……なるほど、皆でソレに変身できるようになれば、違和感なく百合園に通えるわけだな」
「う……っ。それは困ります」
「あはははは。ちゃんと訓練こなして、認めてもらうよ」
 そのパラ実の女性徒は、真面目に訓練に取り組んでいた。
 本気でオアシスのことを考えているらしい――。
「よし、再開! 次はスクワットだ……。1、2、3、5……8、90、95!」
 が、数え方はやっぱりめちゃくちゃだった。

「5のつぎは100でいいじゃねぇかよぉ。細かいことうるせぇよ」
「うく……っ。こんなの日が暮れたっておわらねぇだろ……。百合園はいつから体育女子校になったんだ〜。保険体育の授業しよーぜー」
「どーせドーピングしてんだろ、俺ら金ねぇから、クスリ買えねぇし……ぐぅ」
 女の子の観賞を楽しみつつ、筋トレを行っていたパラ実生が脱落し始めた。
 まだ1セットも終わっていない。
「この程度で音を上げるんじゃぁ〜百合園生と交流は無理だね」
 背筋を終えた魔法少女姿の葵が、余裕な表情でパラ実生に言った。
 本当は相当疲れていたが、頑張って余裕顔を作っている。
「……どうしても交流したいって言うなら……裏技あるけど…聞いちゃう?」
 葵が天使の微笑みを見せた。
「聞いちゃう」
「聞く聞く」
 パラ実生達は這うように、葵の足下に近づいてくる。
「優子隊長の若葉分校生になれば、無理な女装しなくても良いし〜百合園生との交流する機会もあるよ〜♪」
「若葉分校って百合園生来るのか?」
「優子隊長の元に集まったパラ実生と一緒に、ええっと……優子隊長のお友達が作った分校だからね」
 発足には色々あったのだが、そこはぼかしておく。
「あ、そういえばバレンタインパーティとかやってたことあるよな」
「あの時は、入場制限があって、入れなかったぜ」
「うんだから♪ 定期的に通って所属しておけば、そういう時にも参加できますよ」
 興味があったら『保健室』に行くと良いよと、葵が勧めると。
「あたたたたっ、訓練頑張りすぎたせいで、骨が砕けたようだぜ」
「俺も、目にもとまらない速度でメニューをこなしたせいで、副作用が〜」
 などとわざとらしく体を抑えて、何人かのパラ実生は保健室に逃げて行った。
 
「ちゃんと起き上がってきなさい。75……あと、15回よ。残りの数をカウントした方がいいかしら」
 亜璃珠は1セット終了後。パラ実男子の足を座って押さえてあげていた。
 パラ実男子は亜璃珠のカウントの元、意欲的に腹筋に勤しんでいる。
「ふぐ、ぐぐぐぐ……っぱい。う……っぱい!」
 亜璃珠の蒸れた体が、男子を刺激する。
「はい、14……13」
 勢いよく起き上がり、亜璃珠の胸に頭をつっこもうとするがギリギリ届かない。
「俺もあれやって! 乗かって足押さえてー」
「手も引っ張ってくれよ〜」
 レキや舞花にもパラ実生は求めてくるけれど。
「甘えすぎじゃ!」
 すぱーん、すぱーんとミアが叩いて黙らせる。
「まだ自分の分が終わってないから、ね」
 スクワットを終えたレキは、ミアから受け取ったタオルで汗をぬぐう。
「こんなのを毎日やって仕事もきちんと済ませるなんて、流石、神楽崎先輩は凄いなぁ。足や腕がパンパンだよ」
 体を摩るレキに、パラ実生の視線がより集まる。
「お体お拭きしますぜ」
「凄い汗だな。シャツも脱いじゃえよ。お胸なら、そのタオルせ縛ればいいんじゃね?」
 すぱーん、すぱーん。
「訓練をやらぬ輩には、退場してもらうぞ」
 ミアはレキに寄っていくパラ実生の顔をハリセンでひっぱたいた。
「体まで拭いてる時間はないよ。でも、授業前にシャワーは必須だね、これ」
「!!」
「!!!!!」
 レキの言葉に、パラ実生は素晴らしい事を知ってしまった。
 汗の流しあいっこから百合園生の朝は始まるのだということを!
 種もみ女学院にはシャワールームが必須らしい。
「よし、沢山汗をかいてシャワーだ!」
「朝ぶろ必須だよな!」
 彼らのやる気にまた少し火がついた。

「……うん、無理、疲れた!」
 刀真と共に、訓練に励んでいた漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)は2時間くらいの時点で限界を感じた。
「私はティリア達の様子を見てくるから、刀真頑張って」
 刀真にそう言うと、月夜は階段の方へと向かう。
「漆髪、さん」
 呼び止められて振り向くと、真剣な表情をした瑠奈がいた。
「あ……ごめん、瑠奈。ええと、組手コースもちょっと興味があって。ティリアに百合園に誘われたし色々見たり手伝ったりしようかなと」
「うん。あの……実はちょっとお話したいことがあるんです。樹月さん抜きで……樹月さんのパートナーの方と」
 瑠菜は刀真の方を見たりはせずに、彼には聞こえない声でそう言った。
「何?」
「漆髪さん、百合園に来てくれるのなら、樹月さんのパートナーの皆さんと、寮に入りませんか、とか、そんな話です。個人的な事も含まれますので、もし本当に百合園への入学を考えてくれる場合は、どこかで話をしましょう」
「うんわかった。その時は連絡するね」
 そう約束をすると、月夜は刀真を置いて、1人、上層階へと向かって行った。

 真っ先に屋上に到着したパラ実生達は、地上を見下ろしてバンジージャンプは無理と判断した。
「風が強すぎるだろ。塔にぶつかって死ぬって!」
「死んだらオアシス救えないぜェ!」
 というわけで、1人が屋上に残り重りを付けたロープを下ろし。
 途中の階の窓から、ロープを掴んで、バンジーをやったことしして、壁登りをすることにした。
「はあ……はあ……」
 急ぎ訓練を終わらせて、冬山 小夜子(ふゆやま・さよこ)が屋上に到着を果たす。
「筋トレを4回しかやらなかった人達が、先に来ているようですね」
 大きく息をつき、汗をぬぐうと。
 小夜子はゴムロープで体と屋上の手すりを縛って、躊躇することなく空へダイブした。
 風が強く、体が壁面に叩き付けられそうになったが、腕や受け身でガードして衝撃を減らす。
 地面ギリギリの最下点まで落下した後、上方に跳ねると同時に小夜子は壁を掴む。
「1から60階まで……登り切ってみせます!」
 一応これは朝練だ。
 授業のことを考えれば、休んでいる余裕はない。
 白百合団特殊班所属の精鋭として、短時間で完璧にこなして、パラ実生に百合園の力を見せつけなければならない。
「百合園とパラ実の合併は……阻止、しなければなりません、から」
 百合園を魔の手から守るために心を鬼にして小夜子は訓練に臨んでいた。
 体は既に悲鳴を上げていたが、小夜子はこの程度の訓練ごときで弱音を吐きはしない。
 歯を食いしばり、着実に壁を登る。
「ヒャッハー。もう少し早くしてぇ!」
「いててて、あー、飛空艇買う金があれば、楽勝なのに」
「百合園生は空飛ぶ服とか持ってんだろみんな」
「そりゃずりーな。脱がして確かめねぇとな。ヒャッハー」
 そんな会話をしながら、パラ実生が壁を登っている。いや、上から引っ張り上げてもらっているようだ。
「ずるいのはそちらですよね」
 小夜子は遠当てを放った。パラ実生が掴んでいるロープに!
「体の鍛錬が目的なのですから、その方法は認められません! 出直しなさい!」
「うおおおおっ」
「ぎゃーーーーっ」
 ロープが切れて、パラ実生は落下していく――。
「まあ、彼らにこなせるメニューではないですけれど、ほぼ全てサボっていましたしね」
 落ちていったパラ実生を見ながら、小夜子はため息を一つついて。
「さあ、完走しますわよ」
 真っ直ぐ屋上を見据えると、軽身功を補助として、己の力だけで壁を登っていく。

「あと……もう少し、ですから。頑張りましょう」
 白百合団員達も瑠奈も、訓練をこなす事に夢中になり、本来の目的を忘れつつあった。
 種もみの塔1階。屋上へ続く階段を見上げながら、瑠奈の顔は青ざめていた。
「あとは、屋上に出てバンジージャンプ、か」
 刀真は訓練メニューと瑠奈の様子を確認する。
 団長として、彼女は手を抜くことなく訓練を頑張り、そして皆に気づかいを示してきた。
 ただ、どうやらバンジージャンプには臆しているらしい。
「最後の1.5倍だが……。瑠奈、特訓メニューの協力を頼めるかな?」
 刀真が瑠奈に問いかけると。
「え? はい」
 良く分からない様子でありながら、瑠奈は頷いた。
「あっ!」
 途端、刀真は瑠奈をお姫様だっこして、階段を駆け上がる。
「樹月さん、私重いですから! 1.5倍以上大変ですよ」
「それだけじゃないから」
 刀真は瑠奈を抱いたまま、60階登り切り、屋上に出た。
「すご……。人一倍、筋トレこなしてたのに」
 瑠奈は感心しながら、下りようとしたけれど、刀真は瑠奈を離さず。
「このまま、飛ぶ」
「えっ!?」
 瑠奈をお姫様抱っこしたまま、ロープを付けずに刀真は屋上を走る。
「大丈夫、怖かったら抱き付いてて良いから……俺を信じろ」
 優しく、だけれど力強く抱きしめて、彼女の耳元でささやいてから、刀真は飛んだ。
「……っ」
 瑠奈は小さな声を上げた。
 刀真の胸の中でぎゅっと目を閉じながら、彼にしがみつく。
 刀真は軽身功で、塔の壁を足場にして落下速度を落とす。
 瑠奈のことを大切に抱きしめながら、地面に着く瞬間、体術回避の技術で衝撃を抑えて着地。
「しっかりつかまっていて。瑠奈が手を離しても、絶対落とさないけれど」
 自分にしがみついている瑠奈にそう言って、刀真は瑠奈を抱きしめたまま、壁を駆け上がる。
 塔の上部はかなり風が強く、壁を駆け上がるのは刀真といえ容易ではなかった。
 片腕で瑠奈を強く抱きしめながら、もう片方の手で壁を掴み、懸垂のように登り、時間をかけてそれでも勿論常人では考えられないスピードで壁を登りきる。
「瑠奈、着いたよ」
 刀真が瑠奈を開放すると……彼女は少しよろめいた。
 支えようとする刀真に首を左右に振って「大丈夫」と瑠奈は言い、手すりに掴まる。
「風見」
 その時、聞きなれた静かな声が響いた。
「神楽崎、先輩」
 様子を見に来た、神楽崎 優子(かぐらざき・ゆうこ)の姿が屋上にあった。
「ロープなしで飛び下りるなんて……狂ってやがる」
「けど、ちょーかっけー!」
 戻ってきた刀真に対してのパラ実生の反応はまちまちだった。
「守りたい大切な人が腕の中に居たら、その人を守り切るためにこの程度は楽勝でこなせないとですよね?」
 刀真はパラ実生達に当然のように話す。
「だから、彼女達と同じくらいの重さの砂袋を持ってバンジーするべきでしょう?」
「い、いや。俺らは今回体験だから。そう、百合園生のジャンプに付き合ってやってもいいぜ!」
「落ちる時は重さなんてかんけーねーよなァ。登るのは自力でやるからよ」
 そんなことを言って、百合園生をナンパしだすパラ実生。
「神楽崎先輩……すみません」
 瑠奈は優子に謝罪をした。
「何か謝らなければならないことを、したのか?」
 優子の口調は決して優しくはなかった。
「いえ」
 瑠奈は唾を飲み込むと――自分の身体にゴムロープを巻きつけた。
 そして。
「白百合団団長として、任務を遂行します」
 青ざめた顔色のまま、真剣な目で言い切り、屋上から飛び降りて。
 彼女は時間をかけて、小夜子達、白百合団の精鋭と同じように、壁を自らの力で登りきった。
「団長、お疲れ様です」
 心配そうな顔で待っていた葵が、瑠奈に濡れタオルを差し出す。
 瑠奈は頷いて受け取ると、タオルで口を押えた。
 そして、優子に会釈だけすると、瑠奈は塔の中に駆け込んでいく。
 介抱するために、葵も後に続いた。
「あー……あれは、吐いてるな。無理させすぎたか」
 彼女の後姿を見ながら、優子は苦笑した。
「彼女、高所恐怖症なのかしら?」
 亜璃珠が優子に尋ねる。
「いや、そうではないらしいが、絶叫系アトラクションは苦手なようだ」
「そうなの。それを2度も体験させてしまったのね」
 ちらりと亜璃珠は刀真を見る。
「彼女はただ、護られているだけの娘じゃないって、より実感したよ」
 恐怖を感じながらも、気丈に1人で飛んだ瑠奈を――刀真は綺麗だと感じた。
 先月、彼女に聞いた彼女の夢も。
 だから、それでも、刀真は瑠奈が欲しいと思った……。
「で、亜璃珠は」
「いたっ」
 優子に触れられて、亜璃珠は小さな悲鳴を上げた。
「ちゃんと頑張ったみたいだな」
「私も、先輩だもの……見慣れたメニューだったし」
「よく頑張ったな。完走までもう少し、だな」
 優子はそうにこにこ微笑んでいる。
「……鬼! わかってますわっ」
 軽く優子を睨むと、亜璃珠はゴムロープを巻いて、屋上から飛び降りた。
 落下は大丈夫だが、疲れ果てている体で登ってくるのは非常に大変だった。
 到着時には、優子が引き上げてくれて。
 お疲れ様と背中を叩いてくれた。

「し、白百合団ってすごい訓練をしてるんですね……」
 全てを終えた舞花は、ペタンと屋上に座り込んだ。
 もう一歩も動く気力はない。
「ここまでの訓練はしていませんわ。今回は特別です」
 先に終えて休んでいた小夜子が、こっそり、舞花に教えた。
「んー、ここまでのメニューは朝練に組み込めないよね」
 パンパンになった手や足をマッサージしながらレキが言う。
 彼女を眺めまわしていたパラ実生は脱落し、この場にはいなかった。
「どちらにしましても、素晴らしい体験をさせていただきました」
 非常に疲れてはいたが、舞花は最上級の達成感を感じていた。
 レキと小夜子も爽やかな笑みを浮かべ、舞花と微笑み合う。
「皆さん、お疲れさまでしたー!」
 歌菜が、メイドインヘブンの能力で、皆を癒していく。
「完走出来た方も、おしかった方も、皆素敵でした! 頑張っていた皆さん、輝いていましたよっ」
 歌菜と共に頑張ったパラ実生は、仰向けに横になっている。
「百合園生の皆さんもそう思いますよね?」
 歌菜は小夜子にも笑顔を向ける。
「え……まあ、頑張っていた方もいましたね」
 小夜子は視線を彷徨わせた後、レディースの面々に顔を向け、微笑み合った。
「ううう、地獄を見たぜ……」
「ティー……タイム」
「横になっていたら、茶は飲めないぞ」
 歌菜のメイドインヘブンで癒しきれなかったパラ実生を、羽純が命のうねりで回復する。
「ほら、茶の前にどうだ」
 羽純は用意しておいたレモンの砂糖漬けと、スポーツドリンクを配っていく。
「みーずー」
「うおーっ」
 奪うように受け取ると、勢いよく飲んでいくパラ実生。
「歌菜も無理しすぎだ。大丈夫か?」
 心配そうに自分を見る羽純に、歌菜は疲れを隠して微笑んで頷く。
 でも、彼女が本当に疲れていることは、羽純には御見通しだ。
「ほら、ちゃんと飲めよ」
 歌菜を強制的に座らせると、スポーツドリンクの蓋をあけて、彼女に飲ませる。
「で、俺ら頑張ったし、約束通りお前等オアシスに来いよ!」
「なんか百合園生より癒しを感じたぜ……。オアシスの母になってくれ〜」
 パラ実生達が歌菜、そして舞花の手をも握りしめる。
 小夜子はそっとその場から去った。
 労いたいと思っても、今回は仲良くなってはいけないのだ……百合園を守るために派遣された、百合園の精鋭としては。
「え、えええ……っ。そ、それは」
 歌菜は困りながら羽純を見る。
 羽純はやれやれといった表情だった。
「そうだ、蒼学やイルミンと合併として、女子だけ通えることにしたらいいんじゃね?」
「可愛い子ならだれでもOKにしよーぜ」
「オアシスを救えるのは可愛い子じゃなくて、働き者の方ではないでしょうか」
 舞花がくすっと笑みを浮かべながら言った。
「そう、こういう訓練頑張ってこなす、根性ある子とかな。欲しい存在だぜ」
「というわけで、種もみ女学院、入学おめでとー!」
「大歓迎だ〜!」
 パラ実生達は歌菜と舞花の腕をぶんぶん振る。
「え?」
「ええっ?」
 勝手にそう決められてしまった。
 かくして、パラ実生達は百合園以外にも目を向け始めた。