イルミンスール魔法学校へ

シャンバラ教導団

校長室

百合園女学院へ

最強要塞決定戦!

リアクション公開中!

最強要塞決定戦!

リアクション

 

2回戦第2試合 フリングホルニ・スイカ VS 伊勢

 
 
「さあ、いよいよ第2回戦。早くもベストエイトの戦いとなります。なお、今回はシミュレーションですので、第1回戦で受けたダメージは、すべて回復され、完全無傷の状態から戦闘が開始されます。では、その第1試合ですが、生体要塞ル・リエーと加賀が相討ちとなりましたので、天貴彩羽さんのフリングホルニが不戦勝として勝ち上がりとなりました」
「これが、大会名物の棚ぼた、不戦勝による上位進出というやつですわね。過去の大会、運だけで勝ち上がった者たちは数知れず、伝説の……もがもが」
 また、余計なことを言いだして、ラブ・リトルがコア・ハーティオンに口を塞がれた。
「さあ、気をとりなおしまして、第2戦は、共に第1戦の激戦を勝ち抜いて参りましたイコナ・ユア・クックブックさんのフリングホルニ・スイカと、葛城吹雪さんの伊勢の戦いとなります。こちら、対照的な戦い方の両者ですが、勝敗の行方はどうなるでしょうか」
 
    ★    ★    ★
 
「さあ、波に乗っている今こそ、イケイケであります。全艦隊乗組員に告げるであります。勝利の女神は、貴様らに下着をちらつかせているであります!」
 1回戦を突破して調子に乗る葛城吹雪が、初っぱなから全開で攻撃命令を発した。
「全艦隊って言ったって、今はこの伊勢しかないわよ」
 呆れて、コルセア・レキシントンが言った。
「何を言うでありますか。ちゃんと、朝霧S−01が……いない!?」
 レーダーをのぞき込んだ葛城吹雪が、あわてて艦橋の窓から周囲を見回した。本来いるはずの、護衛艦朝霧の姿がどこにもない。
「さっき沈んだから、もうお役御免だとイングラハム・カニンガムが……」
「何を言うでありますか。艦隊は揃ってこそが花。すぐに呼び戻すであります」
 葛城吹雪に怒鳴られて、コルセア・レキシントンが渋々鋼鉄二十二号とイングラハム・カニンガムを呼び戻した。
 雲海の中から、護衛艦朝霧の姿が浮上してくる。
「よおし、揃ったでありますな。全艦攻撃開始であります!」
 気をとりなおして、葛城吹雪が命令した。
 
    ★    ★    ★
 
『イコナちゃん、いるうさ? ちょっと話したいことがあるうさ!!』
「何ごとですにゃ?」
 イコンデッキからの直通回線で呼び出されて、イコナ・ユア・クックブックがきょとんとした顔でティー・ティーに聞き返した。
『とぼけないでくださいうさ。レガートさんのこと……』
 怒り心頭に発したティー・ティーがイコナ・ユア・クックブックにむかって怒鳴ったとたん、フリングホルニの船体が激しくゆれた。
「こ、攻撃にゃあ! バリアは、大丈夫ですの。すぐに後退ですわ! ティー・ティーとの話は後でしますわ。今は、イコンデッキにいるのですわ」
『ちょ、ちょっと、うさ〜!!』
 またもやパニックになって、イコナ・ユア・クックブックが一方的に内線を切った。だが、すぐに今度は源鉄心から連絡が入る。
『反撃しろ、イコナ。バリアを解け、俺が出る』
「いやですのー、おいてきぼりは、一人は嫌ー!!」
 もう、パニックを起こしているので、話にならない。
『じゃあ、せめて、反撃させてくれ』
 源鉄心に言われて、イコナ・ユア・クックブックではなく、彼女と一緒に走り回っているミニいこにゃの一人が、ポチッとバリアをフィールドカタパルトキャノンモードに変えてくれた。まあ、もしかすると、ただパニックで適当なボタンを押したらそうなったのかもしれないが……。
「射線開いたでござる」
 すかさず、スープ・ストーンが源鉄心に告げた。
「攻撃するぞ。他のヴァラヌスにも、極力何か撃たせろ!」
 カタパルトに固定されたマルコキアスからツインビームライフルを撃ちながら、源鉄心が言った。ビームではフィールドカタパルトキャノンの恩恵はまったく受けないが、何もしないよりはましだ。
 甲板に無作為に待機していたAI制御のヴァラヌスたちも、それに合わせて固定砲台として攻撃を開始した。
 
    ★    ★    ★
 
「反撃ですとぉーっ!? これでこそ、砲雷撃戦の極み。こちらの攻撃の手も緩めてはダメであります。S−01と朝霧を前面に押し立てつつ総攻撃であります!」
 要塞砲を防がれ、逆にヴァラヌスなどのイコン砲台による攻撃が伊勢を襲う。致命傷には至っていないものの、このままダメージが蓄積されていけばやはり撃沈はまぬがれない。
「今日は、死ぬにはいい日であろう」
 またもや、思いっきりフラグを立てつつ鋼鉄二十二号のS−01が後部甲板から発進した。
「また、味方に撃たれるのではないだろうな」
 完全に疑心暗鬼になったイングラハム・カニンガムが、伊勢の艦首荷電粒子砲の射線をきっちりと避けつつ前進する。