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最強要塞決定戦!

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3回戦第1試合 フリングホルニ・クリムゾン VS フリングホルニ・スイカ

 
 
「さあ、いよいよ準決勝、ベストフォーが出そろいました。はたして、決勝に勝ち進むのは、誰なのでしょうか。そして、またもや、フリングホルニ同士の戦いが実現しています。かたや、天貴彩羽さんの乗る、稲妻のラインも勇ましいクリムゾンレッドの美しいフリングホルニ・クリムゾン、かたや、イコナ・ユア・クックブックさんの乗る、縞々のラインも可愛らしいフリングホルニ・スイカ。はたして、最強のフリングホルニは、どちらになるのでしょうか」
「見える……。フリングホルニが勝つわ……」
 ラブ・リトルが、両手を組んで軽く目をつむりながらつぶやいた。
「ええっと、あたりまえですね。それでは、試合を開始いたしましょう」
 
    ★    ★    ★
 
「なんだか、ふざけたカラーリングの艦ね。ひとまず、どう出るのか様子を見させてもらいましょう」
 時間を無駄にすることなく、ヤークト・ヴァラヌス・ストライカーを甲板に配置しながら、天貴彩羽がバリアを展開させてフリングホルニ・スイカと対峙した。
 
    ★    ★    ★
 
「はははは、見なさい。敵は、今までのわたくしたちの戦いに恐れを成して、攻撃すらしてきませんわ」
 ガチガチにバリアを展開しながら、イコナ・ユア・クックブックが勝ち誇った。攻撃されなければ、怖いと言うことはない。
「やれやれ、睨み合いか。今度こそ活躍させてほしいものだな」
 甲板で待機しながら、マルコキアスの中で源鉄心がつぶやいた。
 
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「仕掛けては来ないか……。よし、前進開始。バリア解除。弾幕を張り、敵バリアの隙間を索敵する。全イコン、砲撃開始!」
 様子見は終わったと、天貴彩羽が攻撃を開始した。
 甲板に等間隔に配置した多数のヤークト・ヴァラヌス・ストライカーを砲台として、一斉に攻撃を開始する。フリングホルニ・スイカに、ショルダーキャノンの砲弾やミサイルが、雨霰と降り注いだ。
 
    ★    ★    ★
 
「あわわわわ! 撃ってきましたわ、撃ってきましたわ、撃ってきましたわ!!」
 平和を噛みしめていたイコナ・ユア・クックブックが、一転しての猛攻にすっかりと恐れをなした。
「こ、ここは、サラダの出番ですわ!」
 そう言うと、ミニいこにゃに命じてポチッとボタンを押させる。あくまでも自分の手は汚さないあっぱれな態度である。
 艦尾の発着口のハッチが開き、そこから機晶爆弾を山ほど取りつけられたサラダが外へと追いやられた。本物ならどう行動したかは謎だが、今回のシミュレーションではAIが司令官の命令通りに行動させている。たとえ、それがどんなド外道な命令であってもだ。
 
    ★    ★    ★
 
 雲海に身を沈ませたサラダは、敵に察知されずに近づいて、いきなりフリングホルニ・クリムゾンの稲妻マークの施された左舷フローターに体当たりして自爆した。
「敵からの攻撃!? いったいどこから……。ミサイルの熱源反応は? イコンのレーダー反応は? まさか、ステルスミサイルかフラワシによる攻撃だとでも言うの?」
 敵の攻撃方法が分からないと、天貴彩羽が困惑した。まあ、普通は、こんな風に味方を犠牲にする攻撃方法はとるはずがないので、考えつかなくても不思議ではない。
「時間をかけるのは不利ね。全イコン、敵艦首に砲撃を集中。バリア収束を確認後、第二部隊は上下左右へと誘導ミサイルを発射し、敵を一気に押しつつんで殲滅する。砲撃、開始!」
 一気に勝負をつけるべく、天貴彩羽が火力で押し切る攻撃に出た。
 
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「バリア、バリア、バリアですわー。もっと厚くして、砲撃を防ぐのですー。あっ、ティー・ティー。レガートさんとポーさんを出してください。頑張って、敵を落としてもらいますわ」
『何を言ってるんです。そんな命令聞けるわけないですうさー!!』
 イコナ・ユア・クックブックの命令に、イコンデッキにいたティー・ティーがレガートの首に手を回して叫んだ。
 さっきから機晶爆弾をはずそうとしているのだが、どうしてもワイヤーが切れない。そのため、何か工具を探していたのだが当然のように見つからない。もっとも、イコナ・ユア・クックブックがデータ上、絶対に切れないようにしているのかもしれなかった。どうも、爆弾込みがレガートさんたちの真の姿であるというデータ登録をしているようだ。
「ああっ、レガートさん、逝ってはダメだうさー!!」
 自分の手をふりほどいて出撃していくレガートさんたちに、ティー・ティーが必死に訴えた。だが、ミニいこにゃがブリッジで出撃ボタンを押すと、レガートさんたちは黙々と明け放れたハッチから出撃して行ってしまった。
「イコナちゃん、もう、許さないうさー」
 ティー・ティーが、目を真っ赤に燃やして復讐を誓った。
 
    ★    ★    ★
 
「よし、バリアが収束して、範囲が狭まった。第二部隊、ミサイル発射用意。それぞれ、ターゲットを捕捉。撃……!」
 天貴彩羽がまさに発射を命じようとしたとき、またもや船体に大きな爆発が起こった。船体を支えていた残り一つのフローターが跡形もなく吹き飛んでしまっている。こうなると、浮力を維持することはできない。
「くっ、やはり、一人で機動要塞のすべてを動かすのは無理があったようね。せっかく機械にその性能があっても、やはり人間一人の認識能力では、すべてを把握することはできなかったみたい。勉強になったわ」
 敵の攻撃を察知することができなかったのが最大の敗因だと、天貴彩羽が心に刻んだ。偵察機などを出していれば、また結果は違ってきたかもしれない。
 
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「勝負ありました。フリングホルニ・クリムゾン、戦闘域を離脱しました。フリングホルニ・スイカ、なんと決勝戦へと進出です」