校長室
夜遊びしようよ!
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第17章 プレゼント交換 「ファビオさん、見てください。大人っぽくて素敵な簪です。こういうのは錦織さんや桜谷さんに合いそうですね!」 早めの食事を済ませた後、橘 美咲(たちばな・みさき)はファビオ・ヴィベルディ(ふぁびお・う゛ぃべるでぃ)を誘って、ウィンドーショッピングに繰り出していた。 1年ほど地球に戻っていた美咲にとって、久しぶりのヴァイシャリーだ。 ファビオとこうして出かけるのも1年ぶり。 ただ、歩いているだけでもウキウキしてしまう。 「神楽崎優子さんにも合うかな。……勿論、キミにも似合うと思うよ、美咲ちゃん」 「そ、そうでしょうか? 嬉しいですッ!」 美咲はとても嬉しそうな笑みを浮かべた。 つられたかのように、ファビオも優しい笑みを浮かべる。 「……ファビオさんって、凄く優しくて暖かい笑い方しますよね」 「美咲ちゃんは明るくて、元気が出る笑い方をするよね」 そんなことを言い合って、また笑い合い。 そして並んで歩いて行く。 「あ、折角なのでプレゼント交換しませんか?」 「プレゼント交換? 誕生日とかではないよね?」 「記念日でもなんでもないですし、サプライズこそありませんが、お互いに何を贈るか相談しながら、相手に喜ばれるものを贈り合うんです」 笑いながら小走りで走って、美咲は衣料品店の前で立ち止まる。 「私は真っ赤なリボン……とも思ったんですが、これから寒くなるので、真っ赤なマフラーが欲しいです!」 「マフラーか……ふふ、有名ブランドもののバッグでも強請られるのかと思った」 「そんな高いモノ欲しがりませんよ! もし私がそんなことを言いだしたら、もっと高いものを私に強請ればいいんです。交換ですから!」 「そっか、それじゃ俺はHD社のプレミアム飛空艇で」 「そ、それは一戸建てより高いですよ! 大体ファビオさん、飛空艇なくても、自分の翼で凄く速く飛べるじゃないですかー」 美咲とファビオは声を上げて笑う。 それから衣料品店に入って、美咲が欲しがっていたマフラーを2人で選ぶことにした。 「少し長めのものが欲しいです!」 「長いと邪魔じゃない? 美咲ちゃん活発だし」 「だって長いものを貰ったら、いつかファビオさんと一緒に2人でマフラーってのが出来るじゃないですか!」 そう言って美咲が笑うと、ファビオは少し驚いたような顔をした。 「あ、でも一人で付けると腰の下近くまでの長さになって、一昔前の変身ヒーローみたいですね!」 試着して、美咲は「シャキーン」と変身ポーズを決める。 「何だかちょっとだけ強くなった気がします」 「あははははは……っ」 そんな美咲の様子に、ファビオは吹き出して笑った。 「いつかファビオさんがピンチになった時は私が助けに行きますからねッ!」 「ふふふふ、期待してるよ」 笑いながら、ファビオはぽんぽんと美咲の頭を叩いた。 長めの赤いマフラーを買ってもらった後、今度はファビオへのプレゼントを選ぼうと、美咲は彼を引っ張っていく。 「ファビオさんって線が細いですから少し無骨なくらいのアクセサリーを付けたら男らしさがアップすると思うんですが、どうでしょう?」 「それはなんだか、男らしくないと言われているような……」 「そんなことないですよ! 身長とっても高いですし、力もあることよく知ってますから」 にこにこ微笑みながら、美咲はファビオの手を掴んだ。 「さぁファビオさん! 今日も張り切って行きますよッ!」 そう言って、美咲は男性用の装飾品が置かれている店に、ファビオを引っ張っていく。 繁華街のすべての店が閉まるまで、美咲はファビオを連れ回して、彼が選んだ腕時計を一つ、彼にプレゼントした。 互いに笑顔が絶えない、楽しい夜だった。 ふと目を離すと、彼は真剣な顔で何かを考えていることが多い。 出会った時から今も変わらず、瞳は憂いを含んでいて、常に大なり小なり悩みを抱えていることが分かる。 でも今日は、その晩は――今までで一番、彼の笑顔が見られた。 今日の最後に、ファビオは優しい目を向けて。 大きな手で、美咲の頭に触れながらこう言った。 「ありがとう、美咲ちゃん。 ちょっと仕事で遠くに行くんで、今度は俺の都合で、また長い間会えないと思う」 マフラーを一緒に巻く相手は、故郷でみつけておいで、と――。
▼担当マスター
川岸満里亜
▼マスターコメント
夜の少しの時間。 親しい方や、偶然出会った方と、楽しく過ごせましたでしょうか。 今回は夕食後の夜のシーンということで、ちょっと魅惑的な内容にしようかどうか迷ったのですが、それはまた次の機会にということで! ご参加ありがとうございました。 ※貴重なアクション欄を割いての私信等ありがとうございます! お返事が出来ず、申し訳ありません。大変励みになっております。 ご意見もありがとうございます。倍シナリオを担当をする為に、身体がもう1つ欲しいですー。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします!