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第1章 獣化でにゃにゃにゃにゃわおーん!?

「にゃにゃにゃにゃーん。にゃにゃにゃにゃ」
雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)は、
猫耳カチューシャと尻尾をつけていたが、
精神が猫化してしまい、
ジャック・オ・ランタンにじゃれついていた。


一方、博季・アシュリング(ひろき・あしゅりんぐ)も、
愛する妻のリンネ・アシュリング(りんね・あしゅりんぐ)とともに、
おそろいの猫耳と尻尾をつけてきていたのだが。

「博季くん、とっても似合ってるよ」
「……そうですか?
ちょっと恥ずかしいな」
「とってもかわいいよ!」
リンネが、博季の猫耳をさわさわする。
「リンネさんこそ、とってもかわいいですよ」
博季は微笑を浮かべ、
リンネに自分も手を伸ばしたつもりだった。
……が。

「にゃーん」
博季の口から出てきたのは猫の鳴き声で……というよりも、
博季の姿は、完全に猫になってしまっていた。
「博季くん!?」
リンネが目を丸くする。
博季の金髪をどことなく思わせる、金色の毛並みの猫だった。
「にゃーん」
猫の博季は、リンネにすりすりして甘える。
「そっかあ。
会場の魔法のせいで、猫になっちゃったんだね」
周囲を見回してリンネはつぶやくと、
博季を抱き上げた。
「大丈夫、私がついてるから」
リンネは、博季のおでこにそっとキスをした。
「ごろごろごろごろ……」
博季が喉を鳴らす。
元々の性格通り、落ち着いた性格のようだった。

「ふふ、かわいいな、猫の博季くんも。
それに、柔らかくて、あったかいにゃ……にゃ?」
リンネを煙が覆う。
次の瞬間、リンネも、猫の姿になっていた。
リンネのように、青い瞳の、金色の猫だ。
「にゃにゃにゃっ!」
猫のリンネは、元気よく、会場を駆けだした。
「にゃーん」
博季がそれを追いかける。

追いかけっこした二匹の猫は、
やがて、じゃれ合い始めた。
「にゃにゃにゃっ!」
「にゃーん」
仲良くじゃれ合うリンネと博季は、
遊びつかれると、毛づくろいを始める。
お互いになめあったり、すりすりしたり。
猫になっても、2人は仲睦まじい夫婦だった。

やがて、博季にもたれかかったまま、リンネが眠ってしまう。
それを、愛おしそうに眺めながら、博季は、リンネに毛づくろいしてあげていたが。
そのうち、二匹の猫は、よりそったまま、眠ってしまった。
お互いに、ぴったりくっついて。
2人の愛情は、猫になってもかわらないのだった。