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【特別シナリオ】全学最強決定戦!

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■予選 イルミンスール魔法学校 2

ダメージを気にしない、というルイの戦略だが、
闘技場の中で大きな注目を集めてもいた。

さらに、
ザカコ・グーメル(ざかこ・ぐーめる)が、
ディメンションサイトを使いながら、
混戦の位置関係を把握し、
疑似的に2対1以上になるようにする。

「ここは、集中攻撃をさせてもらいますよ!」
ザカコが、極斬甲【ティアマト】を振るい、
ルイの死角から、攻撃を仕掛ける。

ルイは、すでに、なぶらと真言を相手取っており、
3人を同時に相手にすることになる。

「いいでしょう、光栄です!」
ルイは、隙を狙い、接近した相手の急所に拳を叩き込む。

「さすがだな……。
だけど、俺も、そう簡単に負けるわけにいかない!」
なぶらが、ルイに、光明剣クラウソナスを振るう。
「私も、ここで、自分にできる精一杯を試させていただきます!」
真言も、鋼糸での攻撃を強める。

そこに、さらに、藤林 エリス(ふじばやし・えりす)が、
遠距離から大魔杖バズドヴィーラで攻撃を放つ。
体勢を崩したルイに、
エリスが、続けて、
ホワイトアウトで視界と方向感覚を奪う。
そして、天の炎を全力で放つ。

「確かにあんたは強いわ。
けど世の中、強い奴がいつも勝ち抜けるとは限らないのよ。
弱い者の下克上。これが、革命よ!」

集中攻撃を受けたルイは、なおも戦おうとする。
「いいえ……。
勝つのは、己を極限まで鍛えた者、それが、戦いの掟なんですよ!」
ルイの様子は、鬼気迫るものがあった。

しかし、なぶらと真言、ザカコが、続けて集中攻撃を放つ。
ルイは、なおも戦い続けようとするが、ついに気絶した。

闘技場の端で、前のめりに倒れ、場外に落ちたルイを確認し、
ザカコは、すぐに、グラビティコントロールを乗せた一撃を、
エリスに向かって放つ。

「相手を重くするだけが重力ではありませんよ」
「……な!?」
ポイントシフトによって、ザカコの動きをエリスが捉えることはできなかった。
近接戦での備えがなかったため、
エリスは、ザカコの重力を纏った一撃で、場外まで飛ばされる。
「なんですって……!?」
あっという間の出来事に、エリスが呆然として立ちすくむ。

一方。
涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)は、
召喚獣:不滅兵団を召喚して、盾兼囮にしようとしていた。

「太古の兵の欠片よ。今再び、その身に活力を宿し、我を守れ。出でよ、不滅兵団」

近接戦に長けているものが多いことから、
接近されると不利と考え、相手の注意を逸らそうというのだった。

「く、囲まれたか!」
なぶらが不滅兵団にターゲットにされ、気を取られている間に。
「悪く思わないでくださいね!」
真言の攻撃で、なぶらは場外に落とされる。

そこに、なぶらのパートナーのフィアナが駆け寄る。
「なぶら!」
「負けちゃったな……。
せっかく応援してもらったのに、面目ない」
「ううん、勇者を目指す以上、今日の戦いは通過点に過ぎません。
これから、もっと強くなってください。
ずっと、なぶらのこと、応援し続けますから」
「え、それって……」
頬を赤らめるなぶらに、フィアナが、きょとんとして、首をかしげる。



ザカコと真言は、不滅兵団から離脱するも、
直径20メートルの闘技場の多くを占められている。

思うように身動きできなくなった2人に、
涼介は、さらに、ホワイトアウトで、視界を奪う。
「万物の根源たるマナよ。凍てつく吹雪となって闘技場を白く覆い尽くせ」

「く……こんなこともあろうかと……!」
ザカコは、物質化・非物質化で隠していた、
空飛ぶ箒ミランを取り出して、空中へと離脱しようとする。

しかし、涼介は、新たな魔法の詠唱を完成させていた。

「深淵に眠る竜王の力よ。今ここに顕現しその力を示せ。出でよ、バハムート」
召喚獣:バハムートが飛来し、
範囲攻撃によって、ザカコと真言は、衝撃で吹き飛ばされる。

「こんなところで、負けるわけにはいきません……!」
「間合いさえ詰めることができれば……!」
ザカコと真言は、頑張って耐えるものの、
やがて、場外に出されてしまっていた。

そんな中、遠野 歌菜(とおの・かな)は、
アルティメットフォームで、【魔法少女アイドル マジカル☆カナ】に変身し、
涼介に空中戦を仕掛ける。
「修行の成果、今こそ見せる時ですねっ」
2本の槍を構えて、虹色の翼で飛行する歌菜は、
地上の不滅兵団の影響を受けることはない。

「魔法での対決です!
闘技場に響け、私の歌!」
エクスプレス・ザ・ワールドで、
歌菜が、歌を無数の槍に変え、涼介を攻撃する。

「魔法で負けるわけにはいかないよ。
竜王よ、私に力を貸してくれ」
バハムートによって、涼介は歌菜を迎撃する。

槍が降り注ぐ中、涼介は、さらに、魔法の詠唱を続けていた。
「万物の根源たるマナよ。凍てつく吹雪となって、彼の者の動きを封じよ」
涼介が、ホワイトアウトをさらに放つ。

魔法と魔法のぶつかり合いが続くが、
ダメージの蓄積で、涼介がついに倒れる。



優勝は、歌菜に決定した。
「さあ、イルミンスールの旗を、優勝して掲げてくるのですぅ!」
エリザベートが大きな旗を、一生懸命、運んでくる。
「わかりました。頑張ってきます!」
歌菜は笑顔でうなずいた。

「入学当時から、切磋琢磨してきた歌菜さんが優勝なら納得できるよ。
私や皆の分も、頑張ってきてくれ」
涼介も、歌菜に握手を求める。
「ありがとう。皆と戦えてうれしかった。
この想い、大勢の人に届けてくるからね」
歌菜が握手を返し、力強く言った。

一方、のぞみは、真言を笑顔で出迎える。
「あたしには、真言が一番だもん!」
のぞみは、そう言って、幼馴染みを抱きしめた。
「ありがとうございます、のぞみ」
「うん、これからも、あたしや皆のこと、守ってね。
あたしも、真言の背中を守るから」
のぞみは、傷つく姿も、それでも立ち向かう姿も、真言の戦いをすべて見届けた。
そして、改めて、2人で歩いていく未来への決意を固めたのであった。

涼介のことも、妻のミリア・フォレスト(みりあ・ふぉれすと)が、笑顔でねぎらう。
「涼介さん、格好良かったです」
「どうもありがとう。ミリアさんたちに応援してもらえてうれしかったよ」
涼介も、にっこりと微笑んだ。

「じゃあ、皆、ひとまずお茶にしよっ」
のぞみの提案で、お茶会が開催される。
ミリアのいつもの美味しいお菓子を食べ、一行は、戦いの疲れを癒したのであった。