リアクション
プロローグ というわけで、と、スタッフ参加のトオルは組分け表を確認する。 「何かメンツが偏ったなあ? まいっか」 スタッフがルールを説明する。 とは言っても、イコン使用と空を飛んで進む以外の禁止は無しの、何でもアリのルールだが。 「透乃さん、わくわくしてますね」 緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)の指摘に、解る? と緋柱 透乃(ひばしら・とうの)は笑った。 「どっちかっていうと、旗取りより、誰かと対戦するのが楽しみかなぁ。 でも、勿論狙って行くけどね! どんな相手と戦えるのか楽しみだなっ」 ぶんぶんと腕を回して肩をならす透乃に、陽子は微笑む。 「それでは私は、防御に徹しますね」 「こういったゲームには参加したことがないのですが」 「そう? 楽しいよー!」 張り切っている小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)に誘われたベアトリーチェ・アイブリンガー(べあとりーちぇ・あいぶりんがー)は、僅かに戸惑いもあったものの、それでも折角誘ってくれたのだと楽しむことにする。 勿論、美羽と新婚ほやほやの、コハク・ソーロッド(こはく・そーろっど)も一緒だ。 「が、頑張ります……私だって、リョージュくんがいなくたって戦えます。 ……今回は、エッチなこととか無いでしょうし……」 話を聞いて、面白そうだとパートナーのリョージュ・ムテン(りょーじゅ・むてん)に誘われた白石 忍(しろいし・しのぶ)が、ひっそり決意を固める。 「あの、でも、死にかけるまで戦うとか、聞いたんですけど、そんな恐ろしい競技なんですか?」 「ちょっとしたゲームだって♪ 本当に殺されるわけじゃねーよ」 恐る恐る訊ねた忍に、リョージュは笑う。そうそう、とトオルも頷いた。 「ヤバいと思ったら降参すりゃいいんだけどさ。 皆大体、起死回生を狙ってギリギリまで頑張るからなあ」 成程と忍はほっとした。 「というわけで、お前の戦闘服はこれな!」 渡された服を見て、忍は絶句する。 「あの、これ水着なんですけど……しかも何か危険な感じなんですけど……」 「忍に求められてるのはこれだよ」 「誰が何を求めてるんですかー!」 きっぱりと言ったリョージュに、忍は叫ぶ。 「心配しなくてもホラ! 忍だけじゃないから!」 びし、と指差された方を見ると確かに、ビキニ水着とレオタード水着を着た二人組がいる。 「う、でも……」 助けを求めてトオルを見るが、彼はくすくす笑っていて止めようとしなかった。 本人達の意志に任せる、という様子だ。 セレンフィリティ・シャーレット(せれんふぃりてぃ・しゃーれっと)と、名実共にパートナーとなったセレアナ・ミアキス(せれあな・みあきす)は元より、水着と見まごういつもの姿である。その姿は勿論、リョージュの目の保養になっていた。ナンパ不可なのが惜しい。 「セレン、 『たかがゲーム? ゲームだからこそ真剣にやるに決まってるでしょ』 とか言ってたのにやっぱりこの格好なの」 セレアナが溜息を吐くが、セレンフィリティはしれっと答える。 「だって暑いじゃない。 それに身軽で素早く動けていいんじゃない」 「んじゃ、時計を合わせるぞー。10時ジャストにゲームスタートな」 トオルの声に、セレンフィリティの表情が真剣なものに変わって、セレアナはふと微笑む。 何事も全力で取り組む性質の彼女らしい。ゲームとはいえ、手を抜くつもりは全く無いのだろう。 むしろ、普段から命のやりとりをしている軍人でもあるセレンフィリティには、この手のゲームに手を抜けない気持ちがある。 「……検討を祈るわ」 「セレアナもね」 二人はこつんと拳を合わせて、それぞれのスタートポジションに向かう。 「折角だから、今回は敵と味方に分かれてみようよ」 というルカルカ・ルー(るかるか・るー)の提案で、ルカルカは赤チームに、夏侯 淵(かこう・えん)は青チームに分かれることにした。 「とか言ったら、この人数差なのね……」 「俺の出番はあるのか?」 予想外の人数差に、二人は驚く。 「ま、それはそれとして、本気で行くからね」 「こちらの台詞だ」 二人は笑いあい、自陣に分かれた。 |
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