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リアクション
■ ☆FAMILY TIES☆ ■
五年近くも前の教導団作戦の際、彼等は唯一、戦車への乗車資格を得た。
宛がわれた小型戦車の整備をしていると、「手伝うよー」と、ルカルカ・ルー(るかるか・るー)達がわらわらと集まって来た。
好意は有難く、しかしそれを機に休憩を入れることにする。
天気も良く、日差しが柔らかい。
砲台の上に乗って、淵はのんびり空を見上げていた。
「ルカ、落書きするな」
こっそりと、操縦士ルカルカが目立たない場所に『びーとる』と書き込んでいるのを、砲手ダリル・ガイザック(だりる・がいざっく)が目ざとく見つけてじろりと睨む。
「えー、いいじゃない、名前あった方が可愛いじゃない!」
抗議するルカルカに、「可愛いとかいう問題か……」と、ダリルが頭を抱えた。
ダリルも戦車を可愛がっているくせにな、と心の中で思いつつ、無線手カルキノス・シュトロエンデ(かるきのす・しゅとろえんで)は助け舟を出す。
「まあ、固体識別はあってもいいだろう」
「固体識別? ものは言いようじゃのう!」
戦車長夏侯 淵(かこう・えん)が呆れ半分に突っ込んだ。
「せめてもっとそれらしい名前はないのか」
「えーっ可愛いじゃないっ」
ルカルカが頬を膨らます。
「狭ぇがな……」
カルキノスがぽつりとぼやいた。
ドラゴニュートが押し込められるようなものではない。そう、乗り込む度に思う。
「いつか、潜水艦に乗る機会だってあるかもね!」
「……それはまた、狭そうだな……」
うんざりと言ったカルキノスに、ルカルカは笑う。
その機会が、現実を以って彼らの経験となるのは、数年後のことである。
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