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リアクション
続いて立ち上がったのは、アシャンテ・グルームエッジ(あしゃんて・ぐるーむえっじ)と、そのパートナーの御陰 繭螺(みかげ・まゆら)、エレーナ・レイクレディ(えれーな・れいくれでぃ)、ラズ・シュバイセン(らず・しゅばいせん)だった。
「アシャンテ・グルームエッジだ」
アルシャンテは技術を見せようと準備をしていたが、警戒態勢が敷かれており、スキルの使用は許可されなかった。
「えっと、ボクは御陰繭螺っていいます。今回、ボク達が先遣隊に志願した理由を、パートナーに代わって説明したいと思います」
繭螺が礼をして説明を始める。
「ボク達は……ボクは主に、パートナーのサポートですが、元々遺跡などを巡っていた冒険者であり、未踏の場所での行動について心得ています」
「能力をお見せしたいところですが、この場では相応しくないようで……あ、申し送れました。自分はラズ……ラズ・シュバイセンという科学者の端くれです」
ラズが繭螺の言葉を引き継ぐ。
「鏖殺寺院の兵器や罠について、科学者としての見地も必要と思われます。鏖殺寺院の危険性についても十分理解しています」
「わたくしの能力、主様――アシャンテ様が使われるヒロイックアサルトの力で、共に行かれる方達の危険度も少しは下がると思いますわよ?」
エレーナがそう言うが、優子は難しい表情をしていた。
「推薦状にこれといった実績が載っているわけでもなく、実戦で見れる状況でもないからな……」
「それなら、後発の本隊で活躍してもらう方が良いのである。訓練で見せてもらい、皆を指導してもらうこともできるであろうし」
エレンのパートナープロクル・プロペ(ぷろくる・ぷろぺ)の言葉に優子が頷き、アシャンテは無言で席につく。続いてパートナー達も腰掛けた。
次に立ち上がったのは、葛葉 翔(くずのは・しょう)のパートナーイーディ・エタニティ(いーでぃ・えたにてぃ)とアリア・フォンブラウン(ありあ・ふぉんぶらうん)だ。地球人の翔は自宅で留守番をしており、会議に出席してはいない。
「イーディ・エタニティ、シャンバラ人です。 シャンバラ人としてシャンバラの離宮の復活に貢献できればと思っています、また危険な事を全て地球人に任せてあたし達パートナーはそれで良いのかと思い今回パートナー抜きで志願しました」
イーディの普段とはまるで違う丁寧な挨拶に、隣に立っていたアリアはちょっと驚きつつ、負けられないと声を張り上げる。
「アリア・フォンブラウン、ヴァルキリーです。私もイーディさんと同じで危険なことを全て地球人の方に任せる事を良しとしないのでこちらへきました」
「ありがとう」
優子の礼の言葉を受けた後、イーディからアピールを始める。
「私はマッピングが出来ます、おそらく大半の方は銃型HCのオートマッピング機能を利用すると思われます、ですが全て機械に頼って地形を記憶していないと大変な事になると予想されます。その為、手書きで地図も作るべきだと思います」
続いてアリアが発言する。
「私はキュアポイゾンが使えます、毒ガスに類するような魔術の罠が有るという話を聞いていたのでキュアポイゾンで対処できないかと考えています。完治が出来ないにしても応急処置的な物にはなると思っています」
「マッピングも回復能力も重要ではあるな」
優子がそう言い、オレグがパソコンに打ち込んでいく。
「応急処置が出来るかどうかは探索では生死を分けますから……」
「備えあれば憂いなしという諺がありますが、今回は憂いがあってはいけないと思っています。また、これでもトレジャーハンターを自称する身です、若干のトラップに関する知識はあると思っています。これが役にたつと思っています」
アリア、イーディの言葉に優子は「そうだな」と言いながら、メモを記していく。
言うべきことを言い終えて、最後にイーディはジョークでもいいたい気持ちに駆られたが、思い切りハズしてそれが原因で選考からも外されたら元も子もないのでぐっと言葉を飲み込んで腰掛けた。アリアもほっと息をついて座る。
「樹月刀真です」
次に立ち上がったのは、樹月 刀真(きづき・とうま)とパートナーの漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)だった。
「西の塔への転送が可能になったとのことですが、でしたら、他の封印が解かれた際には他の塔へと転送できるようになるのではないでしょうか」
刀真の言葉に、ソフィアが頷く。
「俺は、封印が解かれた時にスムーズに転送が出来るよう、事前に他の塔の情報を集めて安全を確保するのを優先したいと思います。西の塔に陣を張るなら、距離的な候補は北と南の塔。占拠されている使用人居住区の場所は北。それを考えると南の塔とその道中から情報を集めるべきかと思います」
「なるほど」
優子が低く声を発した。
「その南の塔や道中への情報は離宮を探索する際の基本になるでしょうから、出来るだけ詳しく多くの情報が欲しいです。その後北側を偵察するか東の塔を調査するかは改めて考えれば良いでしょう。ほぼ情報が無いのだから先遣隊が出来るだけ調査して多くの情報を本部に送る事が大切と考えます」
「つまり、キミの案は、地固めが大切ということだな。攻め入る場所の調査より先に、本隊が向かう先の安全の確保を優先に動くと?」
「はい。迅速かつ確実、安全に動く事を心がけ、臆病な位慎重に、です」
「学園から、通信機借りたようだけど」
月夜が発言をする。
「それよりも、パートナーとは通信による連絡が取り易い、から。陣と調査する人間の中に、連絡要員としてその手段で連絡を取れるようにしたほうが良い」
「通信機はトランシーバーのようなものだ。隊のメンバー間でやり取りが出来る程度と考えてもらった方がいい。離宮と百合園間でその通信機で連絡を取り合うことは不可能だと思っている。陣と調査隊のやりとりも、パートナー通話が出来るだけできるよう、配備をしたいと思っている」
月夜は優子の言葉に頷いて、更に提案を続ける。
「長期戦を想定するなら弾を消耗する銃器よりは、剣などの非消耗の武器で動いた方が良いのでは? もちろん射撃武器があった方が良い。けど、使うのは調査での障害を排除する場合にだけとか。最低限に止めたい」
「銃器類は主に護身用と考えている。百合園生に銃の訓練をさせる予定なのもそのためだ。ただ教導団の者と本隊に参加するヴァイシャリー軍のパラミタ人の方は、場合によっては銃器をメインに扱うことになるだろう。この辺りの作戦は軍人の方々に任せるつもりだ。刀剣類ももちろん携帯してもらうよう働きかけておく」
月夜はこくりと頷いた。
「あとは、怪我や毒、病気は、ある程度魔法で対応できる。だから、精神力を回復する手段が欲しい。魔法的な罠もあるという。魔法で対処できない場合、本部へ戻したい場合の方法はある? 難しいなら医薬品を沢山用意しておきたい」
「転送は頻繁には行えません。物資は出来るだけ持っていってください。ただ、量が多すぎると転送できる人数が減ってしまいます。ですので、重機などは転送することができません」
ソフィアがそう説明をした。
「わかった」
一通り提案を終えて、月夜は刀真を見上げた。
「志願者も多いようですし、調査をする人間は5人と仰っていましたが、もう少し多めにして入れ替えて動くようにしてはどうでしょう? 転送の為に塔の確保が必要になるなら戦闘の可能性もあります。その際に調査目的で編成した5人では荷が重いと思いますので。調査専門と戦闘専門の編成をした方が結果的に迅速な調査が出来るのではないでしょうか?」
「しかし……いや、検討しよう」
言いかけた言葉を止めて、優子は刀真の提案を書き留める。
「俺は以前にもお話したように、剣が得意ですが、調査目的の先遣隊では護衛を主として動きたいと思います」
「了解した。……では次の者の意見を聞こうか」
刀真と月夜が椅子に座り、続いてセシリア・ファフレータ(せしりあ・ふぁふれーた)とパートナーのファルチェ・レクレラージュ(ふぁるちぇ・れくれらーじゅ)が立ち上がる。
「セシリア・ファフレータじゃ。私は魔法が得意なのじゃ。非常時に敵を攻撃することは勿論、味方に害意を抱いている存在を察知する魔法が使える。先行調査中や陣の構築中にもし何らかの脅威が奇襲しようとしても、事前にその存在の場所を感知して備えることができるのじゃ」
「ファルチェ・レクレラージュです。私はセシリア様と一緒の任で動く事になると思います。主に前衛での近接戦闘、特にセシリア様が後衛なので敵を足止めする事は慣れています。物陰に隠れながらの隠密行動及び罠の解除には心得がありますから、調査を目的とする先行調査隊では少し先行して偵察などが行えるかと」
「また魔法考古学の人程ではないじゃろうが東洋、西洋共に魔術の知識は豊富である自信がある。魔法的な装置や仕掛けがあった場合には分析等に役立てると思うのじゃ。他に適する人はいそうじゃが、一応魔法以外にも弓や格闘も扱える」
2人の言葉に優子が頷く。
セシリア、ファルチェは更に言葉を続けていく。
「それと他校生の立場ではあるが、この作戦中は百合園という組織の一員のつもりで働かせてもらうのじゃ。意見は言っても最終的な指示には従う。他の人達とも息を合わせてやっていきたい。こういうのは連携が大切だからの。勝手な行動を取って不利益を被った場合、処罰してくれても構わないのじゃ」
「そして私にはメモリープロジェクターの機能があります。調査中に気になったり不可解な場所の映像を記録し、偵察から戻ったり本部に帰ったときにそれを投影して専門家の人に検証等をしてもらう事も可能ですね。無論直接見た方が良いのでしょうが、それが出来ない場合もあると思うので便利かと思います」
「確かに、メモリープロジェクターは助かる。2人共、自分の能力の有効な使い方については、良く把握しているようだね。動機も聞いてもいいか?」
優子の問いに、セシリアが答える。
「興味があるからでもあるが、私は百合園にも友達が何人かおる。だから百合園の危機ならば全力を尽くしたい。先遣隊以外の任務でもの。よろしくお願いするのじゃ」
セシリアは強く優しい笑みを見せた。
「私の意思もセシリア様と同じ。主人の友を助ける為ならば尽力を惜しみません」
ファルチェはそう言葉を添える。
「ありがとう。だが、無茶はしないように」
優子の言葉に頷いて、セシリアとファルチェは椅子に座った。
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