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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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 夜。
 船団は、葦原島へ到着。
 葦原明倫館はこれを快く迎え入れてくれ、一日目は、ここで滞在することとなった。明倫館は、教導団と同じ西側ということもある。
 全室、和室の旅館が用意されていた。
 夕飯は勿論、和食。
 シェルダメルダ、教導団からはクレアが、明倫館総奉行ハイナ・ウィルソンに挨拶する。
 そしてシェルダメルダは、ここで、教導団と明倫館を行き来し下準備を進めてくれたローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)と再会する。
「そう期待されるかな、なんて思って着物を着ててみたのよ。……ってね」
 ローザマリアの明倫館での姿を見てみたかったと言ったシェルダメルダはその艶やかさを誉めてまた再会を喜んだ。「ええ。……」セオボルトは、頬をほの紅くした。
「でも明日からは……いよいよ軍服に着替えるとき」
「それでいったらどうだい? 今回の出兵は。クレア中尉やクレーメックがいいと言ったら」
「……その格好できちんと操舵ができれば、まあいいのでは。か。第四師団的に言うなら」「私はイイと思います」
「やったぁ」
 他の団員たちもまた、旅館に料理に、旅気分を味わってこのときは楽しげな様子であった。
「湖賊の船員も、せっかくのおもてなしを楽しんでおきな。(数日後には、戦いになる……)」
「……(それにタシガン。無事に越せるか)」「……(頭領殿。そのことについてこの夜にでも)」こうしてシェルダメルダ、クレア、クレーメックらは会議を行う。一条アリーセや、ローザマリア、それに刀真の意見も必要になろう。司令部となると皆が楽しんでいる間もなかなかそうはいかないが……。
 他の皆は。
「親睦会やります!(予算の許す範囲でね)」
 補給のときは、全部の船の人員が一緒になれる良い機会。今後の団結のためにも大事なこと、と夏野夢見(なつの・ゆめみ)はあらかじめ出発前に、このことを騎凛先生に相談していた。「いいですよ。予算ですか? えへへ。キャンペになって前よりは沢山おりるようになったから。えへへ」と言って、騎凛先生は笑っていた。
 この先何か起こったときは共に力を合わせて頑張ろう――このムードを作るのが、大事なんだよね。夢見は、教導団、湖賊、傭兵その他船員らの団結と士気を高めることに大きな役割を果たしたと言える。
「飲も。あ、ジュースね。新兵さん? はじめまして夏野夢見だよ」
「ん? ああ、どーも。よろしく輝石ライスっていうんだ。あ、ジュースね。……(ん。これはジュースだ)」
「こんにちは、クロス・クロノスさんっ第四師団では去年の修学旅行以来!」
「はい。何だか、去年の修学旅行よりも、こっちの方が修学旅行みたいですね」
「ねー! あ、ジュースね」
「あ、ジュースね。ですね。……(はい。これはジュースです)」
「(これは、ジュースだよ?)」
 バーテンの文治、「(これは、ジュースだぜ? 良い子の皆)」
「お頭ぁ。ふふ。また一緒に暴れたいな」
 夢見は、シェルダメルダのところへ。
「わ、あたいはこのあと会議なんだから。そんなに」
「だって、あ、ジュースね」
「ああ、ジュースだね」
「それと……巻き込んじゃってごめんね。お頭」
 夢見はちょっと静かにそっと言った。
「何を言う。いいんだよ。こんな旅は二度とないだろう。楽しむよ。
 今回もよろしくな、夢見」
 
 この間、別室で行われた会議については、次章に語られることになる。