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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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第四師団 コンロン出兵篇(序回)

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空路 4
ツァンダ

 
 飛空艇団、本隊はツァンダへ到着。
 ここで、この空の旅最後の仲間となる男を乗せることになる。乗船する傭兵は、全て空京に集まっていた筈なのだが、この男は何故か、ツァンダにいた。男、そして女。
「……」「……」
 玉藻 前(たまもの・まえ)のおおきな胸をいきなりわしづかみにしている、霧島 玖朔(きりしま・くざく)
 ……
 
 さて、ツァンダに着いた教導団の飛空艇。
 輝石ライス(きせき・らいす)が、手を挙げて艦の外へ出てくる。
 すっかり、任務にも慣れてきているようで、いい感じである。物資の運び入れをするための新兵らが続いて、下りてくる。
「パレードか……教導団?
 ツァンダに立ち寄り、これから出立するのか……」
 荷を積み込む湖賊に話しかける男。
「教導団は何処に攻め込むんだい?」
「あんたは何だ? 市民、か。あやしいやつではないな。
 ああ、教導団は、コンロンに出兵する。俺たちは、その出兵に協力することになったヒラニプラ南部の湖賊だけど」
「コンロン……む」
 そのとき男は、湖賊らに混じってある重要なものを見つけた。
「おい?」
 呼びかける湖賊がすでに目に入ってないように、無言で駆けていく男。
「なんだったんだ、あいつは」
 その先にあったものは……
「……」「……」
 玉藻 前(たまもの・まえ)のおおきな胸。をいきなりわしづかみにしている、男は――霧島玖朔(きりしま・くざく)
「……」「……」
 玉藻は平然としている。霧島は無言でわしづかみ続けている。と、
「……おっ?」
 霧島玖朔の首の後ろに、鋭い剣の切っ先が、すっ、と突きつけられた。
「おまえ何だ?」
 樹月 刀真(きづき・とうま)である。
「何しているの?」
 横からは、漆髪 月夜(うるしがみ・つくよ)が銃を突きつけている。
「むう……」
 霧島を一筋の汗が伝う。何かを考えている様子。いや、何も考えていないのかもしれないが……とりあえず、そのつかんでいる胸をはなせばいいのに、と、周囲に集まってきた観衆も皆思っている。
「鏖殺寺院関係者の可能性がある。念の為に連行して事情を聞こう」
「坊や我が欲しければまずは口説く所から始めろ……靡かぬがな、夜伽をして欲しければ命と引き替えだ」
 玉藻がふっと軽く言う。
 霧島は応えて、
「変な事言ってんじゃないぜ、お嬢ちゃん」
 胸の手をやっとはなすと突然、いい気になって言うが……
「命と引き替えでも駄目だ」
 刀真は、玉藻にそう言いつつ、まだ霧島から切っ先をそらしていない。
「我の男がこう言っている……夜伽も無理だな諦めろ」
 扇で口元を隠して、玉藻は嬉しそうに笑った。
「さて、刀真これが終わったら我の部屋に来い……昼間からスルというのも中々に良いぞ?」
 刀真の表情は見えなかった。霧島は何かを想像したのかちょっとだけポの紅くなりながら、刀真と月夜に連行されていったのであった。
 
 教導団員らが来る。輝石ライスはきちんと事を上部へ報告していた。
「何があった?」
 曖浜少尉だ。
 教導団員が補給先で騒動を起こすのはまずい……オレからしたらアウェーだってこと、そう思っていたところであったが。
「えっと、あんたは確か……教導団員……?」
「……違う。(今は空大生ってことで。)」
 もう、出発まで時間がない。男は湖賊の船で、捕虜として扱われることとなった。
「行きましょうか」「うん」
 連行されていく男の後ろから、謎の二人の美女が――勿論霧島のパートナーのハヅキ九十九であるが――普通に付いていき、湖賊の艦へと乗り込んでいった。
「? 何なんだろうな……ともあれ、出発だな」
 湖賊、続いて教導団の艦と、飛び立っていく。次はタシガン、である。