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聖戦のオラトリオ ~転生~ 第1回

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聖戦のオラトリオ ~転生~ 第1回

リアクション


(・ドラッヘン)


 【ドラッヘン小隊】
 ドラッヘン1:龍皇一式松平 岩造(まつだいら・がんぞう)フェイト・シュタール(ふぇいと・しゅたーる)
 ドラッヘン2:カムパネルラ鳴神 裁(なるかみ・さい)アリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)
 ドラッヘン3:ゴッドサンダーオルフェリア・クインレイナー(おるふぇりあ・くいんれいなー)ミリオン・アインカノック(みりおん・あいんかのっく)

* * *



『ドラッヘン小隊、これより状況を開始する』
 【龍皇一式】を駆る松平 岩造は、他の小隊によって連携を乱された敵へ向かって飛び込んでいく。
「目標捕捉、殲滅開始致します」
 フェイト・シュタールが敵機へと照準を合わせる。兵装管理をしているのは彼女だ。ロックが完了したところで、岩造はマシンガンのトリガーを引く。
 弾幕を張って牽制を行い、その間に敵機へと接近。白兵戦に持ち込む。
「鏖殺寺院、貴様らは全世界から滅べ!」
 ソードを構えて、シュメッターリンクへと斬撃を繰り出す。相手の機体へと切り込んだところで、今度はナックルでコックピットを直接殴打した。
 それだけではない。胸部へと剣を突き立てる。そして、遠心力を利用して機体を他の敵機へと投げつけた。
 敵機の密度は高い。【龍皇一式】の攻撃によって相手に隙が生まれたところで、躊躇することなく敵機を両断する。
 岩造の攻撃に容赦はない。敵機を無力化しようというのではなく、始めから相手を「殺す」つもりで戦っている。
 それはシャンバラ教導団の軍人としてというのもそうであるが、寺院に対し強い敵愾心を持っているからだ。
(このままではキリがない。デッキを潰すか)
 歩兵や地上部隊はなく、敵の戦力はイコンに依存しているようだ。
 機関銃の銃撃をかわしつつ、【龍皇一式】は同じ要領で敵機へと飛び込んでいく。今度はソードだけでなく、イコン用の光条サーベルも引き抜き、二刀流で攻める。
 敵の背部フローターを破壊し、機体を敵の基地へと墜とす。もちろん、コックピットを貫いてパイロットを始末してからだ。
 墜落した機体は炎上し、基地の一部がそれに巻き込まれていった。しかし、敵のイコンは既に全機展開されているようである。
 そのとき、【龍皇一式】の死角から一機のシュバルツ・フリーゲが機関銃を放とうとしていた。
「――!!」
 そこへ、【ゴッドサンダー】がマジックカノンを撃ってきた。
(たいちょ〜、あまり先走んないでね)
 鳴神 裁からの声が飛んでくる。彼女が魔鎧として装着しているドール・ゴールド(どーる・ごーるど)のテレパシーによるものだ。
 
「それにしても、話に聞いていたほどではないなぁ」
 寺院のことである。海京決戦までに比べ、敵は異常なまでに弱体化している。シャンバラに再進出したとはいえ、おそらく末端の者達なのだろう。
 それでも、テロ活動を起こし、エリュシオン帝国との協力関係も囁かれている連中を野放しにしておくことは出来ない。
 【龍皇一式】をフォローするようにして、ガトリングガンで弾幕を張る。無論、これは牽制だ。
 機動力に関してはイーグリットである【ゴッドサンダー】の方が上。といことで、岩造が攻撃を仕掛けやすくなるように、陽動を行う。
「ちゃんと食いついてきてるよ」
 敵機の位置確認をしているアリス・セカンドカラーからの情報を頼りに、相手を引き寄せる。
 そこから機体を反転させ、遠心力を生かして蛇腹の剣を振るう。そのまま反撃に備え間合いを取り、敵の銃口がこちらに向いたタイミングで【龍皇一式】が機体を両断する。
「まだ!」
 すぐに加速し、別のシュメッターリンクとの間合いを詰める。
 イーグリットの機動力を生かし、すれ違いざまに敵機を斬り裂く。
 戦況はシャンバラ側優位で進んでいる。地上からの攻撃もなく、ただ烏合の衆と化した寺院イコンを蹴散らしているという状況だ。

(オルフェリア様、距離200、間もなく敵機の射程に入ります)
(了解なのです)
 【カムパネルラ】が動く。
 アサルトライフルで牽制しつつ、敵機へと向かう。
 ドラッヘン小隊は皆近接兵装の機体であるため、後方からの援護は別小隊と連携するしかない。
 だが、射撃援護がなくとも連携は図れる。【龍皇一式】と【ゴッドサンダー】によって切り崩された敵陣へと加速していく。
(他に敵機は……)
 まだ五十機は残っている敵機を全てレーダーで把握するのは難しい。オルフェリア・クインレイナーは超感覚によって、視覚・聴覚を強化し、ミリオン・アインカノックのレーダー捕捉と合わせて敵機の位置を掴む。
 最優先は、味方が気付いていない機体の無力化だ。
 照準を合わせ、アサルトライフルのトリガーを引きながら前進する。弱点となる部分を狙い、動きを鈍らせる。
 敵は二機。そこから、ビームサーベルによって続けざまに腕を落として離脱する。無力化するだけならば、これで十分だ。
 武器を失った敵に対し、【龍皇一式】がとどめを刺した。
 敵を無力化した後は、逃亡を防ぐことが重要となる。そのため、【龍皇一式】の岩造が弱った敵を屠っているのだ。
 撃墜では足りない。なんとしても殲滅しなければならない、というのが小隊長の考えのようだった。
 
 そこには、敵に対する学院と教導団の温度差があるような気がしてならなかった。