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第ニ章 海軍軍議2
「鋼鉄船が手に入るの? 一隻だろうと素晴らしいわ」
武神 牙竜(たけがみ・がりゅう)の土産に、ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が手を叩いて喜んでいる。
ツァンダで発掘された飛空艦があり、それを輸入することになったのだ。
ただし数はなく、1。よくて2隻が限度だった。
「それでも、これをモデルに改造船を建造できるかもしれない。マホロバの独自性を磨き、他国にはない魅力を引き出すことができれば、貿易をする上でも便利だ。なにより他国を味方にできるカードをこちらが握ることになる」
七篠 類(ななしの・たぐい)もお急ぎで頤 歪(おとがい・ひずみ)と連絡をとる。
「超特急で……一ヶ月で改造するでありますか。職人が過労死……い、いやいや。戦争が起きないよう、争いが起きないよう、精一杯動く所存であります! 全ては、マホロバの民の為、果ては全ての世界に住む民の為! 吾輩も死ぬ気で造船所を守るであります!」
尾長 黒羽(おなが・くろは)が、さっそく職人に仕事を依頼する。
「どうぞ皆様が心安らかに仕事ができるよう、この尾長、働かせて頂きますわ。もし、規律を守れない方がいたら、わたくしの目玉と交換してくださらない?」
黒羽はパーツを組み合わせてつくった機晶姫である。
目玉を出せとは、艶やかな微笑みがいっそう恐ろしい。
職人たちは彼女の命令のまま、逃げるように即時持ち場へ急ぐ。
「私も、この前より、お料理も勉強したからご飯もおいしくなるよう工夫したし、洗濯物も毎日してるよ。あと私にできること、ないかな? あれ?」
グェンドリス・リーメンバー(ぐぇんどりす・りーめんばー)が甲斐甲斐しく造船所の雑用をしていると、観測のある三人の提督が現場の様子を見に来ていた。
「あ、あの……」と、グェンドリスが尋ねる。
「大丈夫だよ、お嬢さん。これが出来上がったら、さぞ見ものでしょうな」
ホレーショ・ネルソン(ほれーしょ・ねるそん)が、まぶしそうに見つめている。
差し迫った状況であるといい、自ら一人の船乗りとして指導を行っていた。
より、実践的な訓練をネルソン提督は言う。
「私も楽しみです。時間もあまりないから、乗組員の一致した団結力と意思の疎通を行わないと!」
ジョン・ポール・ジョーンズ(じょんぽーる・じょーんず)はただひたすら、マホロバ海軍の船の上から模擬弾を発射し、それを海軍の船が操舵により回避するという実践的な訓練を課している。
今にも皆、根を上げそうだ。
「そんなことでは、一人前の空海軍人にはなれんぞ。
ヴィルヘルム・フォン・テゲトフ(う゛ぃるへるむ・ふぉんてげとふ)は明日のマホロバ空海軍の艦隊を夢見た。
『一月後、マホロバの軍艦が雲海を切る!』を合言葉に、人々の希望をのせて夢が走りだしていた。
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