リアクション
第3章 「私も料理したことないんですが、とにかく焼けばいいんですよね?」 ★☆★ エリオットの注意が一瞬離れた際に、 百合園生のネージュ・フロゥ(ねーじゅ・ふろう)は、 リンネに提案する。 「リンネちゃんと一緒に、地上で流行の衝撃波の調理法を やってみたいと思うんだ。 どうかな?」 「へー、爆発で料理できるんだ! うん、やってみよう!」 リンネは了承して、ファイア・イクスプロージョンを放つが、 ネージュごとぶっ飛ばしてしまう。 「きゃあああああ、お約束だよー!?」 ネージュはお星様になった。 「あれー? おっかしいなあ」 黒焦げになった食材を前に言うリンネに、 百合園生のメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が、接近する。 「新入生の方々を守るためですぅ。 パラミタ撲殺天使、降臨!」 「ぎゃふっ!?」 メイベルは、リンネの後頭部を野球のバットで殴って気絶させた。 「危険が危ないところでしたぁ」 メイベルは額の汗をぬぐう。 メイベルのパートナーの剣の花嫁セシリア・ライト(せしりあ・らいと)と、 同じくメイベルのパートナーの英霊フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)は、 料理の準備を手際よく行おうとしていた。 「今のうちだよ! 特に、火を使う料理は早くすませないと!」 フライやサンドイッチなどの歓迎会用料理を、セシリアは率先して行う。 フィリッパも、セシリアが料理を張り切っているのでメイベルとともにサポートする。 「これからの学校生活、パラミタに来ての第一歩です。 皆仲良くにっこりとしたいですね」 フィリッパは、新入生の伊礼 悠(いらい・ゆう)と、 パートナーの守護天使ディートハルト・ゾルガー(でぃーとはると・ぞるがー)に声をかける。 「は、はい。サンドイッチとか、軽食なら作れますし、 配膳も手伝えると思います。 え……っと、これで大丈夫……でしょうか?」 「ええ、大丈夫ですよ」 引っ込み思案だが、だからこそ友達を作りたいと参加していた悠は、 フィリッパに優しく微笑まれて安堵する。 「私は料理はできないが、配膳は手伝おう。 それと、力仕事の必要があれば、言ってくれ」 悠に危険が迫ったら守ろうと考えていたディートハルトは、 メイベルもヤバいのではとちょっと思っていたが、悠が真剣なので黙っているのだった。 ★☆★ 「そういえば、一年前も似た様な光景があったな。 皆、疲れて帰って来るだろうから私は彼らの為にうまいものを作って待っているか」 ルクオールの町が冬になってしまった、パラミタに来て初めての事件を思い出しながら、 本郷 涼介(ほんごう・りょうすけ)は、 ミートボール入りのトマトソーススパゲッティを作る。 涼介は、得意の料理を新入生達に披露しようと考えていた。 パートナーのヴァルキリークレア・ワイズマン(くれあ・わいずまん)は、 クルミやアーモンドなどのナッツ類に、 レーズン、ドライオレンジ、チェリーなどのドライフルーツを使った パウンドケーキを用意していた。 「今から作れば、みんなが帰ってくるころにはできあがってると思うから頑張らないと。 ね、おにいちゃん」 「ああ」 クレアと涼介は笑顔で言う。 出雲 竜牙(いずも・りょうが)は、食材を森で調達してきた。 「まあ色々と面倒くさいけど、 こういうサバイバル技術を身につけておかないと、 イルミンで生きていくのは辛いぜ?」 山菜に魚、野兎、猪などをとってきた竜牙は言う。 「何しろ森が広くてたまに迷うからな。 それで家に帰れなくなって食料もゼロ、あるのは己の身一つになったら、 こうやって狩りをするしかないからなー」 野兎や猪を捌いているのはさすがに皆ドン引きだろうと考え、竜牙は裏に行く。 赤城 花音(あかぎ・かのん)も、新入生だが歓迎会準備に参加していた。 「ボクは新入生だけど、よろしく! 一応……メイドだから! 全ては歌姫になるための修行なんだ!」 涼介やクレア、肉を持って戻ってきた竜牙にあいさつし、 花音は炊飯ジャーで料理を作る。 炊飯ジャーは、校内放送のアナウンスで大量に集めてある。 「肉じゃが、風呂吹き大根、鶏の水炊き、カレー鍋、ビーフシチュー、ロールキャベツ……etc。 ナポリタンパスタやホットケーキも美味しいんだよ!」 パートナーのシャンバラ人リュート・アコーディア(りゅーと・あこーでぃあ)は、 ブレーカー落ちに注意する。 「僕は銀シャリで、特製おにぎりを作ります。 ネタは鮭、明太子、天蒸す、梅、昆布……etc。 注文に応じて、握らせて頂きます。 皆さんで、楽しい思い出に出来ればよいですね」 リュートは言う。 「日本人に銀シャリは心の故郷だよね。 たくさん食べてね!」 「たしかにそうだな。森の食材に銀シャリはよくあうよな」 「これだけ炊飯ジャーが並んでると壮観だな」 花音の言葉に竜牙はうなずき、涼介もよい香りを立てる炊飯ジャーを見回す。 こうして、まともな料理ができていくのであった。 |
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