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リアクション
初めてのお使い?
男女の境目と言ってもいい、薔薇の学舎校門で一組の親子、いや、パートナー同士が別れを惜しんでいた。
火村 加夜(ひむら・かや)とミント・ノアール(みんと・のあーる)である。
加夜がメールで連絡していたイエニチェリルドルフ・メンデルスゾーン(るどるふ・めんでるすぞーん)のパートナーのエリオ・アルファイ(えりお・あるふぁい)も校門まで来ていた。
「ミント、一人で寂しくない?
「大丈夫だよ」
ちょっと不安なのは加夜には内緒。
誰だって、初めての場所に信頼していると離れて行けと言われたら、不安。
だけど、心配かけたくないから笑顔で。
「加夜、心配しないで。僕一人でも立派にルドルフやエリオの役に立って見せるから」
「そう。なら、行ってらっしゃい。エリオさんよろしくお願いしますね」
「分かった。行こう、ミント」
「じゃあね、加夜」
寂しさを紛らわすためかぶんぶん手を振っている。
加夜も見えなくなるまで小さく手を振る。
「大丈夫だよね。ルドルフさんもエリオさんもいるんだし」
心に言い聞かせて校門に背もたれミントが帰ってくるのをひたすら待とうと決めた加夜だった。
兄弟の再会
複数ある喫茶室の一室のテーブル、金髪を後ろに束ねた青年神楽坂 翡翠(かぐらざか・ひすい)とお茶の準備をしている青年山南 桂(やまなみ・けい)が、翡翠に話しかける。
「主殿、弟さん、いたのですか?初耳なんですけど」
「言って無かったかな?」
「はい、聞いておりません」
「そうか、言ってなかったか?」
「どんな方ですか?」
それを聞いて翡翠はいたずらな笑みを浮かべると。
「会えば分かるよ」
ただ、楽しそうな微笑みを浮かべる翡翠に桂は、黙々とお茶の準備をしていた。
翡翠がより一層楽しそうに微笑んでいるのを眺めながら。
学舎に向かい走る学生がいた。
天御柱学院の制服を着ている。
「……まさか寝坊するとは……不覚」
「寝みい……しょうがねえだろ、オレ、朝、弱いんだから」
「それにしたって、自分まで寝坊するとは思ってもみなかったんです。……久しぶりに兄さんに会うものだから緊張して眠れなかったし」
言い合いながら神楽坂 紫翠(かぐらざか・しすい)とシェイド・ヴェルダ(しぇいど・るだ)の二人は学舎の門をくぐる。
「だ〜オレ達の学校とは、違って派手だわ。濃い人集まっているみたいだよな〜」
周りを見ながらポリポリと頬をかくシェイド。
「大丈夫です。濃いのは、一部の学生と校長だけらしいですから」
二人は走る。
喫茶室を目指して。
だが廊下を走っていると見知らぬ者に『神楽坂』と呼びとめられることもあったが、紫水は、そのすべてを無視して走った。
「おい、しかとしていいのかよ?」
「いいんです。多分、自分に用事があるわけじゃありませんから」
そして見えた喫茶室の一室に敬愛する兄の姿があった。
「紫水」
兄の声が聞こえる。
横にいる人物は自分の顔に驚いているようだ。
無理もない。
翡翠と紫水は血を分けた兄弟と言うだけではなく、一卵性の双子なのだ。
髪の色を除いたら、瓜二つなのである。
「主様、双子でらっしゃいましたか?」
「そうなんだよ、君の驚く顔が見れてとても嬉しいよ」
桂の驚きに微笑をたたえる翡翠。
「やっと、着いた……兄さん……待たせて……ごめん」
「大丈夫、待ってないよお茶でも飲んでゆっくり話して」
「じゃあ、失礼します。ほらシェイドも」
「ヘイヘイ」
喫茶テーブルうを囲む四人。
「神楽坂紫翠です。……どうも、よろしく」
桂に向かって丁寧にお辞儀をする紫水。
「私、主殿と主従関係を結ばせて頂いている、山南 桂と申します。以後お見知りおきを」
桂も礼儀正しく挨拶する。
シェイド達も挨拶しようとしたがそれより先に、紫水が口を開いた。
「そうそう……兄さん……実家に連絡しておいてくれ……裏の仕事溜まっているみたいだから……大きい声じゃ言えないけど」
その言葉を聞いて翡翠の品のいい額にしわが現れる。
「あとで連絡入れときますよ。……苦手なんですけどねえ実家」
その後も兄弟そしてパートナー同士でティータイムは続いた。
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