リアクション
第6章
「……なんてこともありましたねぇ」
「そうですねぇ……」
とある建物を見て、美緒とラナが呟く。
彼女達が今居るのは、過去ワイハーが建っていた場所であった。
「あの後、色々と騒がれてましたね」
美緒が呟くと、ラナが頷いた。
――ワイハーは、あの件で壊滅的なダメージを受けた。
施設の一部は壊滅状態となり、その被害は相当な物であったらしい。
更に、捕獲した一部の赤モンキーは廃人のように真っ白になっていたらしく、その件で動物愛護団体からバッシングを受けていた。
そのダメージに耐えられず、ワイハーはその後間もなく閉館となったのであった。
「けど、信じられませんね」
「ええ、私もです」
美緒とラナが、今建っている建物を見て言った。
「「こんな早くリニューアルオープンするだなんて……」」
今現在建っている建物。それは、『新ワイハーリゾート』だった。
「この前は酷い目に遭いましたわ……」
美緒が着替えつつ溜息を吐き出す。
「まあまあ前回の事は忘れて、今日は思いっきり楽しみましょう」
そんな美緒を慰めるようにラナが言った。
「ええ、そうですね」
そう言って、美緒とラナは更衣室を出て、プールへと足を踏み出した。
「おや、奇遇だな」
直後、ばったりと鋭峰と出くわした。
前回同様、身体に樹の葉を巻いた状態で。
「きゃーーーーー!!」
美緒が悲鳴をあげ、眼を両手で覆う。
「な……あ、貴方、何故またそんな格好を!?」
「ああ、また猿に水着を取られたのだよ」
ラナの問いかけに、鋭峰は目を細め言った。
「さ、猿……まさかまた赤モンキーが!?」
ラナが驚愕の声を上げる。
「ああ、そのまさかだ」
「ま、また手違いが起きたのですか!?」
「いや、手違いではない」
美緒の言葉を、鋭峰が即座に否定する。
「え? 手違いではない?」
「うむ、何でも新たなアトラクションだそうだ」
「アトラクション、ですか?」
「そうだ。何でも、前回の騒ぎが一部では好評だったらしくてな、オーナーが赤モンキーを雇って中で放しているそうだ」
「……それ、大丈夫なのですか?」
「そう思うか?」
そう言って、鋭峰がプールへと目を向ける。
「きゃああああ!! 私の水着があああああ!!」
「ぐあああああ!! 何でこんな所にバナナの皮があああああ!!」
プールの至る所で、阿鼻叫喚の声が上がっていた。
その様子を見て、美緒とラナは顔を見合わせる。
「美緒、帰りましょうか」
「ええ、そうしましょう」
美緒とラナはそのまま回れ右をして、更衣室へと戻っていった。
ここまでお付き合い頂きありがとうございます。今回GMを担当しました高久高久です。
この度御参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。
今回、初めてリアクションという物を書かせてもらい、勉強させて頂きました。
皆様個性的なアクションが多く、楽しみながら書くことが出来ました。
又、公開が遅くなってしまい大変申し訳御座いませんでした。
今回は皆様の活躍により、ワイハーが壊滅するという結末に至りました。
しかし最後の最後で復活しています。こちらも皆様の活躍があっての事です。
……ワイハーしぶといです。
このようなリアクションとなりましたが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、皆様とご一緒出来る事を楽しみにしています。
御意見、御感想などありましたら気軽に言って頂けるとありがたいです。