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【ロリオとジュエリン】愛とは奪い合うもの

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【ロリオとジュエリン】愛とは奪い合うもの
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第4章 L’existence en soi・・・pas l’autoriser!l’histoire un-その存在自体・・・許さん!story1-

「ふははは、虫けら共が!!私をせいぜい楽しませるのだぞ!」
 カイラ・リファウド(かいら・りふぁうど)はエンシャントワンドを妖怪に向けて高笑いをする。
「愚民ども!その眼に刻め、我が名はカイラ・リファウド!魔皇のリファウドの末裔よ!」
 サンダーブラストの雷の雨に撃たれていく虫たちを愉快そうに眺める。
「どいつもこいつも、魔法ばっか使いやがって!」
「術なんか使ってんじゃねぇええ!!」
「フンッ。その程度の脳みそでは、魔法なんて使えないだろう?」
 確実に息の根を止めてやろうと微塵に砕く。
「使えるから使いってるのだぞ?それのどこが悪いというのだ!」
 プシュン・・・ッ。
 魔法の不発の音が聞こえる。
「―・・・くぅ!―・・・?」
「あっあれ!?」
 術を使おうとするものの、まったく使えない。
 つまりは・・・。
「し、しまったーー!!」
 ただのSP切れだ。
「すき放題どかどか魔法を使いやがって。懲らしめてやるっ」
「コレ、やめんか!!キャー!どこに手を入れておる!」
 原型に戻った兵たちが彼女に飛びつく。
 カサッ。
「うわぁああ、ふっ服に!!?」
 カサササッ。
 必死に取り出そうとするが、逃げられてなかなか出て行かせられない。
「くぁああ、気持ち悪いっ。やめろぉおお」
「殿!今行きますよ!」
 姫橋 空馬(ひめはし・くうま)は轟雷閃を放ち、妖怪どもを感電死させる。
 ビバシィイイッ。
「みぎゃぁあああっ。くほ・・・」
 ぽくーん・・・。
 カイラを囲んでいた兵たちを卵もろとも死滅させた。
「殿、もう少し、ご自重下さい」
「ふん!余計な事を、だが大儀であった、礼を言うぞ」
「―・・・殿、背中に何かが・・・」
「むっ?―・・・・・・!?」
 もぞっ。
 背中にカイラが手を触れたとたん、指に嫌な感触が・・・。
 もぞぞっ。
 ブゥウウ〜ンッ。
「―・・・・・・こんな、虫なんかに・・・っ」
 背中から結構大きなサイズのアレが飛び出し、カイラはショックのあまり気を失ってしまった。
「殿ーーーっ!?しっかり、無傷ですよっ!!」
 しかしカイラの心には深いメンタルダメージを受けてしまっている。
「仕方ありませんね・・・」
 カイラを背負い、魔法学校へ避難することにした。



「人の恋人を横取りしようなんて許せません・・・。そんな腐った野望、私たちが阻止してやります!」
 馬賊の銃を抱えたまま緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)はプルプルと震えながらも、略奪者たちに向かって怒鳴る。
 本当は大嫌いなソレを相手にしたくないが、その姿を見ただけで気絶してしまったジュエリンを守ろうと立ち向かう。
 霧雨 透乃(きりさめ・とうの)の後ろに隠れたまま・・・。
「なんていうか。こいつらの原型の姿って、ゴキ・・・」
「や、やめて透乃ちゃんっ。そんな汚い者の名前を口にしちゃいけません!」
「う、うん。分かったよ」
 彼女の異様な怖がりに、“ブリ”と言葉を続けるのをやめた。
「適当に片付けるから、陽子ちゃんは遠くから留めを刺してね」
「はい!」
「(あいつらって、狭いところに隠れたりするんだよね)」
 人型から原型に戻り、カサカサッと動き回る妖怪を見て、行動予測しようとする。
「たとえば・・・排水溝とかさ!」
 金網を剥がし黒い集団を引きずり出し、毟るように四肢をもぎ取る。
「これでもう動けないよねっ」
「甘いぞ、小娘!」
「えっ、うそぉおお!?」
 足を引き千切られた妖怪どもが、ブビィイインッと飛ぶ。
「怯えているあの弱そうな小娘から狙うぞ!」
 強そうな透乃に反撃せず、怯えて弱そうに見える陽子を狙う。
「きゃぁあ、来ないでくださいっ!」
 陽子は得物を持つ手をカタカタと震わせて銃口から魔弾を放ち、ダークネスブルーの凍てつく霧で妖怪を包み込む。
 カチコチに凍った虫たちが芝生の上に転がり落ちる。
「後ろにも!?」
 ナイフを手に背後を狙う襲撃者を、ディテクトエビルで感知した彼女はパッと振り返り様に、人型の兵の胴体を撃ち抜く。
「このまま死ねるものかっ」
 半分に断裂させられたにも関わらず、兵は陽子の足元へずるずると這い、彼女の靴の上で原型に戻って足によじ登ろうとする。
「ひっ、いやぁああ!!早く取って、取ってください、透乃ちゃんっ」
 メンタル攻撃を受けたように陽子が泣き叫ぶ。
「虫のくせに、私の陽子ちゃんに触るなぁあ!!」
 彼女の足に這おうとする虫を毟り取り、爆炎波の怒りの炎で灰にする。
「なんかもう30匹どころじゃないね。そこに隠れているんだね?」
 カササッ。
「うわっ!?この数、反則すぎだよ!!」
 原型から人型になった集団の襲撃をくらい、ギラリと輝く刃に手足を傷つけられてしまう。
 行動予測しようにも数か多すぎるせいで予測しきれない。
「―・・・くぅっ!」
 カサッ、カササッ。
 透乃を傷つけた瞬間、また原型に戻り花壇の中に隠れたり、造園の上を走り襲撃の隙を窺う。
「ん〜っ、もうっ。面倒だから焼いちゃえ」
 ゴォオォォオオッ。
「うわ、くっさ〜!」
 煎餅のように焼き潰された残骸から、ぷわぁ〜んと異臭が漂う。
「ゴキブリって、世界中で意外と食べられているらしいんだよね。こいつらも食えるのかな?ちょっとだけ持って帰って料理しようかな♪」
 ぺろりと舌なめずりをし、何匹かポリ袋に詰める。
「食べるんですか・・・透乃ちゃん」
 貪り喰らう彼女の姿を想像した陽子が顔を蒼白させる。

 -陽子の脳内ムービー上映中-

「透乃ちゃん、美味しそうな音がしますけど。何食べているんですか?私にも1つください」
 お菓子でも作って食べているのかと、後ろから覗き込む。
「ん〜、陽子ちゃんには刺激が強すぎるよ?」
「えっ。これって・・・。足が・・・あるように見えるんですけど・・・」
「だって、それ。獲れたてのゴキ・・・」
「―・・・ひっ。きゃぁああ!!!?―・・・はうっ」
 ぱたぁんきゅぅ〜。

 -陽子の脳内ムービー終了-

「じゃあ・・・。台所が空くまで、私はお風呂に入ってますね」
 透乃が食べているところを見ないように、風呂場へ逃げ込み決定。
「それがいいかな」
 電波で通じ合ったかのように、ニコッと微笑み頷いた。