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【蒼フロ2周年記念】未来の君へ

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人類○○○○○化計画

空京の片隅にある隠れ家的なショットバー、『リバティ・ベル』。

エールヴァント・フォルケン(えーるう゛ぁんと・ふぉるけん)が開店させた店である。

「落ち着いて蒸留酒をじっくり楽しめる店にしたい」

というエールヴァントの想いで作られた店は、
男性客を中心に着実にファンを増やしつつあった……のだが。

エールヴァントのパートナー、
アルフ・シュライア(あるふ・しゅらいあ)は絶句していた。

「……男性が多いとか、そういう問題じゃないよな、これ」

店はドワーフ(髭小人)だらけになったのである。

「男性が多いだけの時は店の雰囲気のせいかなと、思ってたんだけどね」

しかしそのころから異変は起きていた。
最初は20代が中心だった男性客は
いつのまにか40代以上にしか見えない渋いオジサマが中心となっていたのだ。

同時期、空京では男性が渋いオジサマになるという奇病が流行り始めていた。

「それで終わりなら良かったが……」

今度はそれらの客がドワーフになってしまったのだ。

店がテナントで入っているビルの地下も
ドワーフによって掘られて街が作られている。

仕方なく、最近ではドワーフ向きに蒸留酒以外にも斧も販売している。

斧の調達には不慣れなエールヴァントだったが問題なかった。
地下にドワーフの鍛冶屋がいるからだ。

■□■


「はあ〜素敵なオジサマが
素敵なドワーフサマになっちゃったわよね。
残念〜」

白銀 司(しろがね・つかさ)はこのバーの常連客にして数少ない女性客であった。

彼女が通ってきている理由は30代以上の男性と知り合うため、
というのが主な理由であったのだが。

「新作のカクテルでも飲んでおくか?」

「飲む、飲むよ!」

バーテンもつもめるアレフが作った新作カクテルを司は美味しそうに飲む。
そして次にススメられた強酒も飲み、すっかり酔い潰れてしまった。

「女性にはキツすぎたかな」

心配するアレフだったが、司は気持ちよさそうに寝ていた。
司は寝言を話し出した。

「う〜ん。やっぱ“オジサマ化ウィルス”の突然変異かなあ。
ドワーフだらけって……私の“人類オジサマ化計画”があ〜」

とブツブツ話し始めた。

(……そういえば)

エールヴァントは司が魔法の研究をしていて
ウィルスがどうのこうのと言っていたのを聞いたことがあった。
つまり、

「「司(さん)のせいか!」」

ということで司は警察に連行された。

30代以上のオジサマ好きだが婚活に失敗した司は、
研究の末、男性を“オジサマ化”するウィルスを作り上げたのだった。

しかし司の研究成果を応用することで、
オジサマ/ドワーフ化ウィルスの特効薬も完成した。

そして『リバティ・ベル』も元の落ち着いたお店に戻った。
しかし、それはさらなる混乱の始まりであった。