リアクション
■□■ 「うちは家族5人でバタバタしているけど、楽しくやってるよ。 そっちはどう? 上手い事やれてるんか?」 饅頭を頬張りながらの陣の言葉に、歌菜は羽純に腕組みをした。 「うん、こっちは上手くやってますよ♪ ね、羽純くん! ラブラブっぷりでは、陣さん達に負けませんからねっ」 「ラブラブって……ハァ、相変わらずだな、お前は」 羽純は苦笑していたが嫌そうではなかった。 「まあ、お互い家庭も持てて子供出来て何よりだよな。 オレらは特殊な関係やから籍は入れてないけど、幸せだと思うよ」 「うん、そうだね」 陣の言葉に歌菜も心から頷いていた。 だが、そんなしっとりとした雰囲気など子供たちには関係ない。 「お母さん、テレビつけていい?」 「アニメみたいよ!」 「しょうがないなあ、ちょっとだけだよ?」 リーズが仕方なくテレビをつけ、立体映像が浮かび上がる。 そのテロップには……。 「新大陸出現やて!?」 陣は突如パラミタの付近に現れた新大陸のニュースに目を見張った。 風祭や茜とオキマタの死闘が結果として新しい大陸を出現させたのだが、それは陣たちの知るところではない。 しかし、陣の驚きの顔は一瞬のことで、たちまち目には輝きが現れた。 「また未開の地が出てきたんか。懐かしいなあ。 ……久しぶりに探索でも行くか?」 「陣さん、ナイスアイデア! よっし、すぐに行きましょう♪」 陣の思いつきに歌菜はすぐに乗った。 そもそもパラミタに冒険を求めてやってきた契約者たちなのだ。 新しい冒険の舞台となれば、胸が高まるのは当たり前だろう。 「今テレビ見れる? そう蒼空テレビ。 面白そうやし、久しぶりに探索でもせんか?」 どうせいくなら皆で行こうと、陣は契約者仲間たちに電話をかけ始めた。 歌菜も負けずと電話をかけはじめる。 陣の妻たちも乗り気であった。 「丁度いいや!奈々乃達のデビューも兼ねて探索するのもいいかもね」 「少し早い気もしますが、良い機会かもしれませんね。 だってリーズ様とご主人さまの間に生まれ、私たちが育てた子なんですから……きっと馴染めます」 「僕も冒険するよ!」 「私は未知の大陸のヒミツを解き明かすんだから!」 子供たちは大人以上にやる気であった。 「ボクも友達の皆へ連絡して誘おうっと! 黎さんに遙遠さん、朔さん……」 「私はルカルカ様へおかけします」 その様子を見て仲瀬は苦笑した。 「新たな大地か。 陣の奴も少しは落ち着いたと思ったら、やはりまだ小僧か。 羽純、私達で準備を整えるぞ。手伝え」 「歌菜も連絡に夢中で装備や食糧の事は考えてないみたいだからな」 二人は陣や歌菜たちのサポートに徹することにした。 電話をかけつつ、陣は楽しそうにつぶやいた。 「年甲斐もないかも知れんけど、あの未開の地をまた皆で探索できるかと思うと、胸が躍るな。 この気持ちを表現するなら……そう、『蒼空のフロンティア』をもう一度、ってな」 10年経っても失われない物、それは未知への好奇心。 それがある限り、フロンティアはいつまでも続くのだ。 【未来の君へ・完】 担当マスターより▼担当マスター 沖又陸 ▼マスターコメント
沖又陸です。 ▼マスター個別コメント |
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