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【蒼フロ2周年記念】未来の君へ

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プロローグ こんなはずじゃ

2031年、聖アトラーテ病院。
深夜。

「はあ……はあっ」

真口 悠希(まぐち・ゆき)は業病により死に瀕していた。
契約者専門と言われるこの病院でも、悠希の心から至る病を救う術はなかったのだ。

(悠希、あなたは優しすぎたね……)

カレイジャス アフェクシャナト(かれいじゃす・あふぇくしゃなと)は病床の悠希を思う。
悠希は自分を責め続けた。故に死を迎えようとしていた。

(そうだ!)

カレイジャスはあるアイテムを思い出した。それは学習机。
10年前に戻れるというそのアイテムを使えば……あるいは。

「お願い、こんな結末変えて!」

カレイジャスは祈りと共に机の引き出しを開けた。
そこから飛び出したのは……

■□■


「……あれ、ここは?」

悠希は気がつくと百合園女学院時代の自室にいた。
カレンダーを見ると2021年。

10年前に戻っていたのだ。

「悠希、良かった……生きてる!」

部屋に飛び込んできたカレイジャスは悠希に抱きついた。

「そうか、君も同じ夢を……夢じゃなかったのかもね」

悠希の言葉にカレイジャスは頷く。

「あの机から出てきた湯島 茜(ゆしま・あかね)の乗り物で、
ここまで戻ってきたんだ。
茜は言ってた『無茶苦茶になった10年間を戻さないと』って」

「そうなんだ。
僕は皆に迷惑をかけたくなくて百合園から離れたけど、
大事なことから目を逸らしてしまったのかも知れない。

……もう一度やり直して、皆が幸せになる道を探してみる」

決意を新たに悠希は10年前を思い出していた。
死の間際に見た星空は異様に輝いていてキレイだった事を。